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騙され追放されたSランクタンクは騙されたことに気づかないようですよ?  作者: 暇人
元パーティメンバーとの再会と魔人の影
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心配をしてくれたようですよ?


「シン様!」


ギルドに無事に戻った俺に初めに待っていたのはリンによるタックルにも似た抱擁だった。

あまりの勢いに身構えていなかった俺は押し倒され、尻もちをつく。

そんなこともお構いなしにリンは俺の胸に顔をうずめている。

状況の説明をしてもらいたくて辺りを見回したとき、エチカとファノンの姿が見えず、よからぬことを頭に思い浮かべてしまったが、エリンの説明によるとファノンは地下の避難施設にいるためエチカが迎えに行っているらしい。

リンたち三人は町に入り込んだ鳥型の魔物、バーストバードを処理して回るため、一緒に避難所に移動した宿屋の店主にファノンを任せたのだという。

リンが俺に抱きつき泣いているのは、俺を心配してとのことだ。

エリンの発言には何か含みがあるようにも感じたが心配をかけたのは確かなので素直に謝る。


あの後、残っていたゴブリンロード二体は俺が時間を稼ぐ間に詠唱を終えたウィズの魔法『フレイムランス』により心臓を貫かれ、あっさりと倒れた。

カイル達は満身創痍といった感じだったが、アリアの治癒魔法により傷がふさがれたため大事に至ることはないだろう。


俺は魔物との戦闘や魔人を逃がしてしまったことを素直にギルドに報告をする。

一応切り札のため、どのように魔物を足止めしたのかは伏せている。

まぁ、聞いたところで魔力と気を混ぜ合わせることは簡単にはできないと思うので大丈夫だとは思うが。

今回の件の報酬はまた後日になるだろう。


町の惨状がひどく、それはギルドも例外ではないからだ。

建物のあちこちがバーストバードの爆破後により壊れたり、焼け焦げたりしている。

一、二週間はギルドの復旧のため、クエストは受けられないそうだ。

シエラさんもどこか忙しそうであり、声をかけるのが憚られるほどだ。

冒険者ギルドは素材の買取や販売、各町との連絡や護衛としての冒険者の斡旋など様々なことでその街に根付いているため、数日の間、建物の復旧と通常業務があり、忙しくなるのもしょうがないだろう。


ようやく落ち着いたのか、リンは顔を上げ、俺のことを見つめてくる。

リンの目は涙で潤み、赤くなっている。

こんなになるほど心配してくれたのか、と思うと温かい気持ちになる。


「シン様!私たちじゃ頼りないですか?どうして何も言わず一人で行っちゃったの?私たちが自分の力量もわからずに付いて行くとでも思っているの?」


リンは早口でまくし立てるようにそう言った。

途中から感情が高ぶったのか、敬語から普段使いの言葉に代わっている。

自然と普段通りの言葉が出てくるようになったのは信頼の証かもしれない。

名前にはいまだ敬称がついているが、それもいつか、自然にとれるかもしれない。


そう思うと、自然と口角が上がってしまい、それを見たリンがさらに不満をこぼしていく。


「リン、心配かけてごめんな。次からはちゃんと相談してからにするよ」


俺は自然と湧き上がる笑みが抑えきれず、笑ったままだったが謝罪を受け入れてくれたのか、リンは顔を少し赤らめ、首を縦に振る。


「ところで、そろそろどいてくれないか?」


その言葉にリンは今座っている場所に気づいたようで、赤かった顔がさらに赤くなり勢い良く立ち上がる。

そう、リンはいまだに俺の上にまたがったままだったのだ。

しかもギルドの入り口付近という人の眼が多い中で。


「す、すみませんでした…」


消えてしまいそうなほど小さくなっているリンはこれまた小さな声で謝り、走り逃げて行った。



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