シンは感謝しているようですよ?
「ご主人様、どうですか?似合いますか?」
夕方頃、宿に帰った俺を出迎えたのは昨日とは打って変わって女の子らしい服装になったファノンとその後ろで自慢げにしている面々。
ファノンの着ている服は白のブラウスに青色のスカートで服には全体的にフリルが施され、可愛らしくまとまっている。
「おぉ、似合ってる。かわいい服だな」
「ありがとうございます!」
素直に感想を言うとファノンは顔を綻ばせ、ガッツポーズをしている。
リンたちはその様子を温かい目で見守っていた。
ファノンはみんなの妹ポジションに収まったのだろう。
「私たちも服を買ったりしたので、今度見せてあげますね!」
「まぁ、買ったのは服だけじゃないですけど……見たいですか?」
エチカは元気よく、エリンはいたずらな笑みを浮かべながらそう言ってくるが、見せるのは服だけで大丈夫、と伝えて今日のアリアとウィズの言動について考える。
まずは、ウィズの発言の『ギリーを撒いてきた』ってことはギリーに聞かせたくない事を話しに来たってことだ。
そして確認されたのはなんて言われて、パーティーを抜けたか。
それを答えた後に確認されたのは、ギリーに言われた、で間違いないか、とのことだ。
つまり、二人がしたかったことは内容を知ることではなく事実確認だ。
……そうか、ギリーは嘘をついたのか。
恐らくギリーがついた嘘はウィズが確認したところから『ギリーが言った』のではなく、『俺が言った』と二人には伝えたのだろう。
――――優しい嘘…だな。
パーティーを抜けたのにもかかわらず、二人に嘘をついてまで俺の名誉を守ろうとしてくれたのか。
他の人に実力不足を伝えられてパーティーを抜けるのと、自分から実力不足を訴えるのでは自分からの方が潔いし、自分の実力を正確に測れるという事実にもなる。
つまり、ギリーはせめて俺が二人に、実力不足なうえ自分の実力がわからないバカだったと思われないように取り計らってくれたのだ。
そのことを悟った俺は無償にギリーに感謝の念を伝えたくなり、またそのギリーの厚意を無駄にしてしまったことを謝らなければと思った。
アリアとウィズが魔人の件でこの街に滞在するならギリーもまだ残るのだろう。
ならば、後でこっそり感謝と謝罪を伝えよう。
「シンさ――じゃなくてシン、明日こそはダンジョンに行くわよ」
「わかってるよ。そんなにお金に余裕あるわけでもないしな」
俺は元パーティメンバーに感謝し、今の仲間を大事に大切にしようと再び思い、その夜は更けていった。




