契約の内容が決まったようですよ?
「危なかった…」
先ほどとは打って変わって誰もいなくなった俺の部屋で俺の独り言が響いた。
今、ファノンを含めた四人はリンたちの部屋でファノンの体をきれいにしている。
お風呂なんて言うものは貴族の館くらいにしかなく冒険者が泊まれるような安宿では、お湯をはった桶がサービスで渡されるくらいだ。
そのお湯で布を濡らし、体を拭く事できれいにする。
今頃はきっとファノンはリンたちのおもちゃにされていることだろう。
…何が危なかったのか、はファノンが見せた笑顔にやられ、新しい世界の扉を開きかけたことだ。
俺は一瞬硬直したのち、それを表情に出すことなく、内容を詰めるのは明日にすることに決め、ファノンをリンたちに任せたのだ。
その時の俺の顔を見たエリンだけは何故か、少し頬を膨らませていたが、俺の内心に気づいていないことを願いたい。
今日は元パーティメンバーと会ったり、少女趣味に思われたりと精神的に疲れたな。
そんなことを思いながら、俺は手早く体を拭き、ベッドで眠りについた。
翌朝、ファノンと内容について話した結果、ファノンとの契約内容は以下の通りになった。
・ファノンはシンの身の回りの世話を健康に支障のない範囲で行う。
・その対価として、シンはファノンの衣食住と身の安全の保障をする。
・シンがクエストに出ているとき、ファノンは宿に待機し、基本自由時間とする。
・給金は、一週間に一度、銀貨20枚と返済分が支払われ、一年で返済は終わりとなる。
この内容に加え、安心させるためにファノンへの性的行為の禁止を加えようとしたらファノンに全力で止められた。
理由は教えてくれなかったが、恐らくそれぐらいしないと釣り合わないと思ったのだろうが、こっちが手を出さなければ何の問題もないので無理に押し通すことはしなかった。
「ご主人様、早速身の回りのお世話をさせていただきますね!しばらくは拙いかもしれませんが頑張ります!」
「お、おう、頼むな」
そう、一番の問題は呼び名であった。
ご主人様とか柄じゃないし、貴族じゃないんだからやめてほしかったのだが、「働くうえでこれだけは譲れません!」と断固としてその呼び名を変えることはなかった。
その光景をリンたち三人が生温かい目で見ていたので、きっとあいつらが何か吹き込んだのだろう。
「はぁ……――――まぁ、いいか。それで今日はファノンの服とか身の回りのものを買うってことでいいよな?」
「うん。さすがにボロの服じゃね」
「えっと、すみません。ご主人様、お給金の前借はできますか?一カ月分もあればご主人様の恥にならないように整えられると思うので……」
「いや、前借とかしないで大丈夫だ。そもそも、服は俺が保証してる範囲内だし」
衣食住は提供するといった手前、それくらいは出さないと契約違反になってしまう。
ファノンは元がいいから着飾ればもっとかわいくなるだろうし、そうなったら俺も嬉しい。
金貨も3枚帰ってきてることだし、そのうち一枚をリンたちに渡し、ファノンの身の回りの物を整えたら後は好きにしていい、と伝えた。
結果として今日は休暇とすることになった。




