ちゃんとしないと・1
画質はあまり良くない。
窓のそばには古びた学習机がある。小学校に入学するときに買い与えられるようなものだ。
音質も悪い。常時ザーザーと、雨でも降っているような雑音が入っている。
机の横にはベッドがある。こちらも何年も使っていそうなものだ。木の部分に、昭和の終わりごろ流行った男児向けアニメーションのシールがべたべたと貼ってある。
画像は少し離れた上のあたりから、その古びたベッド全体を俯瞰で撮影している。
火災の際の現場検証では、そこに本棚があったことが確認されている。おそらく棚板の上にビデオカメラを固定していたのだろう。
ベッドの上には大柄な男が四つん這いになっている。ズボンと下着は膝の辺りまで下ろされ、毛のはえた尻がむき出しになっている。男の体の下からは、白い脚が二本、突き出している。
『ちゃんとしないから……』
男の濁った声が響く。
『お前がちゃんとしないから……』
『ごめんなさい』
別の細い声が聞こえる。
『ごめんなさい、ごめんなさい。ちゃんとしますから、ちゃんとしますから』
『いつもそう言って、ちゃんとしないから。だから叱るんだ』
『ごめんなさい、ごめんなさい、今度こそちゃんと、ちゃんとしますから……』
細い声は苦悶のうめきになって途切れる。打ち込むように腰を動かしながら、濁った声が繰り返す。
『お前がちゃんとしないからだ。俺を怒らせるからだ。お前のためにやってるんだ』
『ごめんなさい、ごめんなさい、やめてよぉ、やめてよぉ……』
声はどちらも途切れ途切れに、荒い息遣いの中に埋もれていく。
『お前が悪いんだ、全部お前のせいなんだ』
濁った声は繰り返す。
『やめてよぉ、痛い……。痛い、やめてよぉ、痛いよぉ……』
細い声はすすり泣く。
回収された大量の映像ディスクには、こんな光景ばかりが延々と焼き付けられている。




