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ドアをノックされたのでハンカチで涙を拭いて開けます。

「お嬢様。ミミ様のスマホの修理が終わりました」

「ありがとうございますわ」

鈴木からミミさんのスマホを受け取ります。

開くとラインの通知が来ていました。

ミミさんのお友だちからですわ。

グループ名は怪盗キッズ!?

キンロー「あねご。風邪でも引いちゃいました?」

くまどん「風邪なんてお肉食べればすぐ治るよぉ」

コッコ「スマホ落としたのかもよ?」

ぷーやん「1週間も連絡ないなんて心配やで」

わたくしはスマホを握りしめます。

この子たちにミミさんの死を伝えないといけませんわ。

言い出しづらくてためらっていたその時、天啓が降りて来ました。

わたくしはミミさんの絵日記をパラパラと開きます。


11月1日(水)


町で金に困ってる連中を集めて怪盗キッズを結成した。

お互いの身分を隠すためにマスクは常に着用とする。


ウサギマスクをかぶったミミさんがしーっ!と唇に指をあててる絵が描いてあります。

「さすがですわ!」

わたくしは机の引き出しからウサギマスクを取り出します。

世界の支配層である特権階級の大金持ちたちが貧しい人たちに富を分け合うつもりがないのなら、実力行使で分け合いを実現するしかありませんわ。

まさか名家に生まれ何不自由なく育ち天下のスーパーアイドルとなったこのわたくしが悪に手を染めることになろうとは・・・

今なら引き返せます。

わたくしは立ち止まり冷静に他の手を考えます。

しかし、どんなに考えても他に手がありません。

ミミさんあなたもこんな気持ちだったのでしょうか?

マスクをかぶり鏡の前に立ちます。

とても可愛いですわ♩

ラインの返信をします。

過去のやり取りからミミさんの口調を真似ます。

ウサミ「わりぃわりぃ。スマホを落として壊しちまったんだ。修理に出してたよ」

キンロー「そーだとおもってやした!」

くまどん「ぶじでよかったぁ」

コッコ「はやく言ってよもぉー!」

ぷーやん「それができんかったんやって」

キンロー「アジトの公園に集まりませんか?」

コッコ「いますぐ集合ね!」

ウサミ「アジトの公園ってどこだっけ?ど忘れしちまったぜ」

ぷーやん「三日月公園やで」

わたくしはウサギちゃんが両手でOKサインを出してるスタンプを送ります。

コッコ「あれ?スタンプ使うようになったんだね?」

しまったですわ。ミミさんは硬派でした。

ウサミ「べつにいいだろ!」

くまどん「いいともぉ」

ぷーやん「好きや」

コッコ「かわいい」

キンロー「文句言うやつぁオイラがぶん殴ってやりますよ!」

ウサミ「頼もしいじゃねぇか」

キンロー「調子に乗りやした」

オオカミがテヘペロしているスタンプが送られて来ます。

コッコ「こわいww」

ウサミ「赤ずきんちゃんを食べたあとの顔かい?」

わたくしのブラックジョークはみなさまにウケてたくさんの草が生えます。

みなさまに受け入れてもらえたような気持ちになりました。

公園に集まってみなさまの特技と動機を聞き出します。

特技は怪盗活動に活かせそうですわね。

それにしても子供っぽい動機のかたばかりです。

お小遣いは月に100万円頂いてましたし欲しいものは望めばなんでも買ってもらえたわたくしには彼らの気持ちはちょっとよくわかりません。

いくら前世の行いがよかったからとはいえわたくしだけ悠々自適な生活を送るのは罪悪感がありますから、彼らにも好きなものを食べて好きなものが買えて豪遊できるようにして差し上げたいですわ。

「アジトと新メンバー集めどうしましょう・・・」

わたくしは頬に手をあてます。

頭上に見えない電球が点きます。

「そーだわ!おじいさまにお願いしましょう」

おじいさまは世界有数の超大金持ちです。

高級な不動産もいっぱい所持してます。

おじいさまに電話をかけます。

「おじいさま。タワマン1棟くださる?」

「えーぞ」

アジトが手に入りました。おじいさまは多趣味ですので内装もこだわってるに違いありませんわ。

あとで確認に行きましょう♩

おつぎは新メンバーですわ。

鈴木に相談します。

「全国の天才キッズの情報って手に入るかしら?」

「おまかせを!」

鈴木は部屋を飛び出して行きました。数時間後に戻って来ます。

鈴木にメモリースティックを渡されます。

「大手芸能事務所から拝借しました。大手芸能事務所はスカウトを全国に派遣して全国の美少年美少女・天才少年天才少女の情報を大量にかき集めているのです。中身はスカウトするかどうか検討中の子供たちです」

「助かりますわ!」

「トップシークレットなのでハッキング対策としてネットにつながってないパソコンでご覧ください」

「了解ですわ」

わたくしはネットにつながってないパソコンでデータを閲覧します。

オシャレな美少年のデータが出てきました。

「馬場ケンヤ。長野県出身。夢はF1ドライバー。運転の天才・・・」

頭の良さそうな純朴な少年のデータが出てきます。

樹林きりんトモオ。山梨県出身。発明の天才・・・」

ギザギザにとんがった髪の少年、坊ちゃん刈りのかわいい顔の少年のデータも出てきました。

「烏丸カズマ。ハッキングの天才・・・ねずみ谷ユウト。天才マジシャン。逸材ばかりですわ。どんどんスカウトしましょう♩」

わたくしは鈴木をともない全国を飛び回りました。

ウサギマスクをかぶってミミさんの服を借り天才少年少女たちをスカウトします。

まずは馬場ケンヤくんですわ。

F3のレーシングドライバーとしてレース大会に出場して優勝した帰り道を待ち伏せします。

「マシンの整備には莫大なお金がかかるんだろ?いいバイト紹介しようか?」

続いて樹林トモオくんをくどきます。

「発明にはお金が必要だろ?あたいがスポンサーになってやるよ」

烏丸カズマくんもスカウトします。

「快適なパソコンルームを提供しようか?」

ねずみ谷ユウトくんもゲットですわ。

「売れないマジシャンの父親に楽させてやりたいんだろ?いい話があるぜ?」

わたくしは仲間を集め見事、上野美術館の初仕事を成功させました。

美術館の次は大富豪のお友だちの家に空き巣に入りました。

留守にしているのはわかっています。

ラインでさりげなくスケジュールを聞いていたのです。

お金持ちは年がら年中、海外旅行していますからね。

ハワイ、モナコ、ベガス、高級リゾート地ばかりですわ。

桃華ちゃんもお友だちなので彼女の趣味嗜好は知り尽くしています。

仕事の範囲と数を拡大していくにつれ、仲間はどんどん増えていきました。

どんぶり勘定ではまずいですから経理の得意なフクロウくんをスカウトします。

フクロウのマスクをプレゼントしました。

ミュージカルの衣装を作る人が欲しいといわれ天才少女デザイナーのハリスさんをスカウトします。ハリネズミのマスクをプレゼントしました。

ミュージカルの脚本をかける人が必要になります。

天才少年小説家のモグラくんをスカウトします。モグラのマスクをプレゼントしました。

モグモグと呼んでいます。

桃華ちゃんを楽しませるミュージカルのオーディオを開催しました。

出演希望者は演劇ルームに集まります。

わたくしも一応、参加しますわ。

「審査委員長は不肖タマが務めるにゃん」

タマはトコトコ歩いてみんなの前に出ます。

実力が飛び抜けているので審査する側に回ってもらいました。

今回の審査員は審査委員長1人だけです。

「悪役は台本上、絶対必要なので無審査でキンローくんに決定にゃん」

「押忍ッ!」

キンローくんは両足を張って立ち頭を下げます。

「メインキャストのオーディションをするにゃん♩」

タマは舞台に用意した審査委員長席に着きました。

テーブルには紙とえんぴつも用意してあります。

1番手はミーアキャットのミアさんですわ。

天才モデル少女ですが、おうちで練習しているのか歌とダンスもいけますわ。

「まあまあにゃん♩」

タマさんは満足げにヒゲをつまんでみせます。

2番手はヘビの草蛇(そうじゃ)さん。ニョロって呼んでます。

クネクネとセクシーなダンスを踊ります。男性の視線を奪いそうな色気がありますわ。

クセのある歌声も個性的ですばらしいですわ。

ニョロは天才ヨガ少女なので軟体を生かしてドリルで掘り抜けた穴から建造物に侵入してもらうためにスカウトしました。

「うっとりにゃん♩」

タマさんは体を揺らしています。マスクを外したらもっとうっとりすると思いますわニョロは番長皿屋敷のお菊さんを連想させるすごい美人さんです。

わたくしの番になりました。

歌とダンスを披露します。アイドルダンスだけなくミュージカルダンスも大得意ですわ♩

ミアさんとニョロさんの気合いが入った歌と踊りを見て、わたくしも気持ちが熱くなり全力で歌って踊ります。

「天才にゃん!!」

タマは驚愕した表情でガタッと立ち上がります。

やばっ!本気を出しすぎましたわ。

「1万年に1人の逸材にゃん!ウサミちゃん何者にゃん?」

わたくしは正体がバレないように全力でごまかします。

「ただの野良ウサギだよ。運動神経はいいほうさ。ミュージカルは好きでけっこうよく観てる。真似して踊ったりな」

「すばらしいにゃん!合格にゃん!」

わたくしは審査に合格しました。メインキャストに決定ですわ。

ほかの子はサブキャストです。

「姉御はケンカもつえーし作戦立てるのも得意だしダンスも歌もめっちゃうめえ!かっくい〜!」

「ほれてまうやろ!」

「なんでもできるんだなぁ」

キンローとぷーやんとくまどんが絶賛してくれますわ。

わたくしのことを超人だと勘違いしてますね。

「あたいは計算苦手だし理科も苦手だし裁縫も料理も苦手だよ。運転もハッキングもできない。できないことがいっぱいある。だからあんたたちが必要なのさ。一生ついてきておくれよ?」

ぱちっとウィンクします。

「一生ついてく!」

みなさま目をハートマークにして同意してくれました。

怪盗キッズの快進撃は続きました。世間からも賞賛の嵐ですわ。

わたくしはうたげで私腹を肥やし富を独占するお金持ちたちをあざわらいました。

「愚かな拝金主義者どもめ!あたいが鉄槌を食らわせてやるぜ!ハハハハハッ!」

子分のみなさまは同調してくれます。うたげはいつも大いに盛り上がりました。

だけど、楽しい日々はいつまでも続きません。

仲間がみんなおまわりさんに捕まり、無罪放免の条件としてわたくしの素顔は全世界にさらされました。そしてすべての罪を1人で背負って牢獄に閉じ込められたのです。


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