蟻宮、パパと対峙する
VチューバーアイドルとしてFREESiAへ復帰する決意を固めた蟻宮。そこに現れたのは―――
「蟻宮さん、蟻宮さん」
蟻宮の耳が、自分の名前を呼ぶか細い声をキャッチした。
「はーい」
蟻宮は返事をすると店内を一望した。
丸テーブルが10台ほど並ぶ喫食スペース。―――いない。
ルルが鼻歌を歌いながら魔女鍋を掻き混ぜているカウンター。―――いない。
壁際のPCが並ぶスペース。―――いた!
高速招き猫みたいな動きで手招きをする若い女性の姿があった。
「惣木さん、どうしたの?」
PCの前に座っているのは、ライトブラウンのニットにライトブルーのジーンズを合わせた大学生ぐらいの女性だった。
「わたし、戦闘苦手で―――。ここが、どうしてもクリアできなくて―――」
女性が画面を指さした。蟻宮は、「どれ?」と言って、画面に顔を近付けた。蟻宮の横顔が惣木の目の前に迫った。惣木は、うっとりとした表情を浮かべた。4分の1フランス人の血が入っている蟻宮の顔は、女性でも見とれてしまうほど美しい。
「ああ、ユウェヤーワーターね。ここ、難しいよね。わかった、一緒に入るね」
「いいの?ありがと!」
惣木は、両手を合わせて目を輝かせた。
カフェ・ミストラルには、8台のゲーミングPCが設置されていた。およそ、喫茶店に似つかわしくない設備だ。これには、カフェ・ミストラルの設立に関わる複雑な事情が関係していた。
カフェ・ミストラルは、同じ商業ビルの1階にある地方銀行と家電量販店が共同出資して設立した合同出資会社だ。実は、商業ビルのオーナーは、日本有数の財閥系企業グループで、地方銀行も家電量販店も、その傘下であり、家電量販店は地方銀行からの融資を受けていた。つまり、商業ビルのオーナー、地方銀行、家電量販店は、表向きは個々に独立した会社だが、内情としては密接につながっていた。
そして、カフェ・ミストラルの初代店長は、商業ビルのオーナーである財閥系企業グループの幹部クラス社員であった。この時点で、何が何だかわからなくなってくるが、簡単に言うと、カフェ・ミストラルは、地方銀行と家電量販店の下位に位置するが、その店長は、商業ビルの中で一番偉い人間であったと、そういうことだ。
カフェ・ミストラルが、連絡通路から溜まり場を排除する目的で設立されたこと、しかし、店が稼働する頃には、諸事情から溜まり場がすでになくなっていて、店の存在意義そのものが消滅していたことは、以前にも語った。しかし、店というものは、一度、始めてしまったら、出資者や経営者であっても、簡単に潰すことはできないものだ。
そうなると、商売人の本能で、せっかく作った店なのだから有効活用しようという思考になる。
地方銀行は、月末や給料日、年金支給日など、どうしても特定の日に混雑する。そこで、予測される待ち時間に応じて窓口で飲食補助券を発行し、カフェで快適に待ち時間を過ごしてもらうことにした。サービスの質が向上したことで、1割程度、来店者が増えた。カフェの売り上げの一部も、出資者である地方銀行に入るので、トータルで見ると利益が上がった。
家電量販店側は出遅れた。手をこまねいているうちに、数キロメートル先の名古屋駅前に、ライバル系列の大型家電量販店が開店し、ごっそり客を奪われた。一時期は閉店を検討しなくてはならないほどの赤字に転落してしまった。
そこで、カフェ・ミストラルの前店長が、コンサル(経営の課題を洗い出し、解決策を実行支援すること)に入ることになった。元大手財閥の幹部の面目躍如といったところか。
前店長は、大型量販店との差別化を図るため、家電の購入、修理、設置等の相談を本格的に行うことを提案した。
相談なんて、どこの家電量販店でもやっているが、売ることが目的なので、客が求めていないものを勧めたり、必要ないものを一緒に買わせたりということが、どうしても起きる。客側もそれがわかっているので、店員の説明を鵜呑みにしないという構図になってしまう。
画期的だったのは、営業職と技術職を明確に分け、技術スタッフをカフェに配置したことだ。
技術スタッフは、カフェ・ミストラルの店員なので、家電量販店の営業とは関係ない。できるできないをベースに修理の相談を行ったり、専門家でしか知り得ない性能の良し悪しを軸に購入の相談を行ったりした。逆に、値下げ交渉はできないので、それは店舗の方で、となる。
この技術スタッフというのが、即席教育を行った店員などではなく、専門職の正社員である。さらに、地元大学の教授を顧問に据えた。技術スタッフは、大学で教育やアドバイスを受け、最先端技術を提供してもらう。大学は、開発したAIや機器をカフェや顧客の建物に設置し、実証実験を行うという提携関係だ。
技術スタッフの基本給は、国によって定められた最低賃金並みで安いが、そこに相談料が上乗せされる。フレックスタイム制を導入しており、働く時間を自由に設定できる。そうなると、大学生が就業(カフェ・ミストラルではアルバイトやパートタイムはなく全て正規雇用)しやすく、在学中は授業後にアルバイト感覚で働き、卒業後もカフェに残る者もいた。逆に一般企業を辞めて転職してくる者もいた。
特徴的なのは、相談が無料ではないということだ。目安となる料金は壁に貼ってあるが、実際にいくら払うのかは客が決める。あまりにも少ないと、店員は相談依頼を断ることができる。
例えば、「家のクーラーを買い替えたいんだけど、どれがいいのか?」という相談。技術スタッフが、部屋の広さ、室内機の設置スペース、室外機までの距離を聞き取り、設置可能な機種をメーカーに関係なく絞り込む。そこから、価格、機能、耐久性などを説明し、どれが生活スタイルに合っているのかを選ぶのだ。これを、自分で調べて決めるのは、相当に難易度が高い。
値段だけで選ぶと、実際には設置ができず、もっと高い機種を買うことになったり、望んでいたような性能を発揮できないまま何年も使い続けることになったり、最悪、すぐに壊れてしまい、再び費用を支払って設置し直すことになる。相談料は1時間5,000円程度だが、これを高いと思うか、妥当だと思うかで、その人にとっての価値が変わってくる。
新体制でスタートした直後は、「相談ってタダじゃないの?」「タダにしてよ」とゴネる客もいたが、「駅前の大型店舗なら相談無料で安いですよ」と案内して追い払った。
半年ぐらいは客が増えなかった。技術スタッフも不足していた。それでも地方銀行は出資を止めずに家電量販店を支え続け、家電量販店も営業スタッフを維持し続けた。徐々に客が来るようになり、技術スタッフの収入も増えて、人が集まるようになった。
結果として、1円でも安く買いたい客は大型量販店に流れ、多少高くても質の良い製品とサービスが欲しい客だけが来るようになった。来店する人の数は、大型家電量販店に比べたら雀の涙ほどだが、客単価が高く、1件あたりの利益が十分出るので、改革前よりも営業利益は上がった。
そんな過程で置かれたのが、家電量販店からモニター(お試し用)として設置された8台のPCだ。試用PCは、どこの店舗でも置いてあるが、カフェ・ミストラルの場合、ゲーミングチェアに座って、何時間でも使うことができる。ただし、遊べるのはファイナルファンタジー14(通称FF14)というMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)のみである。初代店長の謎の人脈により、スクウェア・エニックスから無償で提供された。ただし、有料ゲームアカウントは、客が自分で用意する必要はあるが。
そんなわけで、カフェ・ミストラルでは、FF14に限られるものの、居合わせた客が協力プレーをしたり、情報交換したりすることが日常的に行われていた。友達でなくてもヘルプを求められれば助け合うのが、来店した客の、暗黙のルールとなっている。もちろん店員にヘルプを求めることもできる。
「あと二人、お客さんに手伝ってもらってもいい?」
蟻宮が惣木に確認した。今から入ろうとしているダンジョンは4人攻略なので二人足りないのだ。
「いいですよ」
惣木が了解する。
「うぃっす」
「手伝うよ」
その会話を聞いて、別の席でFF14をプレイしていた2人が手をあげた。蟻宮も空いていたPCを立ち上げ、自分のアカウントでログインした。「羽ちゃん」と呼ばれるアウラのキャラクターがフィールドに出現した。どことなく蟻宮に雰囲気が似ている。
「いいよ。パーティーに誘って」
「データセンター違うけど、誘えるのかな?」
「大丈夫だよ。今は、完全クロスワールド(異なるサーバーであっても制限なく一緒に遊べる仕様)になってるから」
「蟻宮さん、どこにいるか、わからないです」
「あ、そっか。フレ申請送るね」
蟻宮がマウスとキーボードを素早く操作すると、惣木の画面に金色のレターが出現し、光の粒を撒きながら、くるくると踊った。惣木は、目を輝かせてレターを開いた。
「わたし、いつもソロプレイだから、フレンドって初めて」
「そうなんだ。よくここまで一人で頑張ったね」
蟻宮の言動は、いつも通りそっけないが、惣木の感情ボルテージは、ぎゅんぎゅん上がっていた。もちろん、蟻宮に自覚はない。やがて、手伝いの二人もパーティーに加わり、ダンジョンへと突入した。惣木はタンクと呼ばれる壁役、蟻宮はヒーラーと呼ばれる回復役、あとの二人はDPSと呼ばれる攻撃役だ。
惣木の先導で、湧いてくる雑魚を倒しながら、順調に攻略が進んで行った。
この間、蟻宮からのアドバイスは一切ない。別にいじわるをしているわけではなく、FF14では、初見攻略の場合、求められてもいないのに、攻略方法を教えるのはネタバレとされ、マナー違反となっているからだ。
蟻宮は、1発も被弾しなかった。無駄のない動きで攻撃をかわしている。一方で惣木は満身創痍である。それでも、蟻宮は何も言わず、惣木を回復し続けた。ボス戦で1度戦闘不能になったものの、無事、クリアした。
「どうかな?」
蟻宮の言葉は少ないが、惣木には意図が通じたようだった。
「あの―――」
惣木が、もじもじしながら言った。
「うん」
「わたし、戦闘が得意じゃないので、よかったら、コツとか教えてもらえないかな~って」
「いいよ」
蟻宮が即答する。
「俺たちも構わないぜ」
手伝いの二人も同意して、再びダンジョンに入った。
「まず、雑魚戦だけど」
「はい!」
「モンスターじゃなくて、地面を見て」
「地面……ですか?」
「うん。雑魚は、予備動作(攻撃の予兆となる動きやしぐさ)は、いちおうあるけど、AOE(攻撃範囲表示)見る方がわかりやすい」
「なるほど!」
「AOE出てから十分時間あるから、慌てず、色の付いてない安地(安全地帯)を見つけて」
「はい!」
「当たり判定は色が消えたときに付くから、AOE消えたら飛び込んで」
「はい!」
「いいよ、その調子」
ボス部屋前で、蟻宮が惣木の肩に優しく触れた。惣木の強ばった肩から、すっと余分な力が抜け、惣木はリラックスした表情になった。
「ボス戦は、ボスの動きを見て。大きいから予兆もわかりやすい」
「はい!」
「避けれたね」
「次、どうなるんですかあ?」
惣木からは不安が消えない。それでも蟻宮はギミック(仕掛け)は教えない。自分で見つける方が楽しいことを知っているからだ。
「大丈夫、落ち着いてボスを見て。見ればわかるから」
「あ、こっちですね!」
「正解」
「やったあ、クリア!」
「おめでとう」
「蟻宮さん、ありがとうございます。ちょっと自信が付きました」
「わたしは何もしてないよ。惣木さんが、自分で考えて攻略法見つけたんだよ」
蟻宮は淡々と言う。この時点で、惣木の目には濃いピンクのハートマークが点灯しているのだが、もちろん蟻宮は何も気付いていない。「じゃね」と言って、カウンターの中に戻って行った。
「アントちゃん、いるよね!」
明るい色のスーツ姿の女性が、勢いよく店に入ってきた。
「いるよね、って何よ。いるけど」
蟻宮がぶっきらぼうに答えた。
「いやあ、アントちゃんの休みとかシフトとか聞くの忘れちゃったからさあ」
「この店は休みとかシフトはないですよ」
社長の無駄にでかい声を聞きつけて、奥から店長が出てきた。
「休みもシフトもないって、もしかしてブラック?」
「ちがうわ!この店は、働きたいときに来て、帰りたいときに帰るシステムになってるの!」
「え、じゃあ、誰もいなくなるときとか、あるんじゃないの?」
「ありますよ。店閉まってますけどね。うちはポイント制なんで、客がいないときに来ても、お給料もらえないんで」
「どうやって客が来たかどうか、わかるのよ」
「アプリをスマホに入れておくと、入店している客の人数がリアルタイムでわかるし、客から店員にコールもできるんですよ」
「え、すごい便利じゃん。アプリってどうやって入れるの?」
「このQRコードで一発です」
「やった!じゃあ、さっそく―――」
「社長、何しに来たんですか?」
経営者同士で勝手に意気投合した社長と店長を、蟻宮が氷のような目で見た。
「アントちゃん、相変わらずね。その液体窒素みたいな目、ぞくぞくするわあ」
社長―――神座えるるは、蟻宮が所属していたVチューバーアイドルグループ〝FREESiA〟が所属する芸能事務所の社長だ。先日、蟻宮を復帰を打診しに来て以来2回目の来店である。
「失礼する」
蟻宮が、社長をつまみ出してやろうかと思ったそのとき、野太い声がして、大柄な男が入ってきた。
「パパ!?」
蟻宮は驚きの声をあげた。
「わたしが呼んだのよ」
社長が平然と言った。
「アントちゃん、言ったわよね。パパを説得してほしいって」
「何で店なのよ!」
「いや、だって、娘がメイド服で働いてるとこ見れるわよっていったら、一発だったし」
「―――パパ?」
「違う!違うぞ、吉野。パパは、チャンスだからってお前の仕事をこっそり見に来たんじゃない。この女が重要な話があるというから仕方なくだな―――」
「とにかく座ってもらえますか?他のお客さん、びびってるんで」
いつの間にか店長が男の前に立ち、穏便にテーブルへと案内した。
同じテーブルに、社長と蟻宮も移動した。誰も口を開かず、しばし、沈黙の時が流れた。
ルルが、自慢のスパイスコーヒーを運んできて、社長と蟻宮、蟻宮の父の前にそれぞれ置いた。今日はシンプルにシナモンだけが入っていた。
2、3人は人をぶっ殺していそうだ。
というのはルルの勝手な想像である。蟻宮の父は、それぐらい異様な雰囲気を漂わせていた。身長は2mをちょっと超えたぐらい。見事なまでの禿頭で、体格は肩の幅と同じぐらいの胸の厚みがある。スーツは似合い過ぎて、裏組織の幹部にしか見えない。そして、サングラスは―――やり過ぎだと思った。
「それで、話とは?」
蟻宮の父が、錆び付いた金属を擦り合わせたような声で聞いた。
「吉野さんにFREESiAに戻ってもらいたい」
社長は一切物怖じせず、さくっと言った。その瞬間、重力が増したような気がした。
「それは、前にはっきりお断りしたはずですが?」
「伺っております。しかし、私どもがそれをよしとしたわけではありません」
さらに重力が増したような気がした。
「先日、吉野さんからもお話を伺いまして、どうやら、お父様が誤解されているのではと思いまして」
「誤解などありませんよ」
男は、弁解の余地を与えぬ口調で、社長の口上をぶった切った。
「いえいえ、お父様は、娘さんをAV女優にするのか、とおっしゃいましたよね。それが誤解です。私どもは、大切な娘さんをお預かりしている身ですので、そのようなことは絶対にない、私どもが責任をもって娘さんをお守りすると申し上げました」
男からは、ただならぬ気配―――口を開いたらぶっ殺す的な威圧感が放たれていたが、社長は動じなかった。
男は、ふっと口だけで笑った。怖い。
「いかがわしい格好をさせてビデオを撮る。そういうことをする芸能界は信用できないと申し上げたのですよ。繰り返しになりますが、誤解などありませんよ」
ルルが危機を察知した小動物のような動きでカウンターの下に潜り込み、顔だけを覗かせた。
「失礼ながら、それは偏見ではありませんか?」
社長は、どうやら危険感知のセンサーがぶっ壊れているらしい。男を真っ直ぐ見ながら、きっぱりと言った。
「ほう」
空気が帯電し始めた。
「お父様が申し上げたようなことをする事務所があることは事実です。ですが、私どもは違います。一部の不届き者がいるからといって、業界人全員を貶めるような発言は、不適切ではありませんか?」
男は言い返さず、黙って社長を見た。
「痛い、空気が痛いよ」
ルルが涙を浮かべた。
「警察組織でも不祥事はありますよね。それをもって、私が警察官は信用ならないと申し上げたら、どうお感じになりますか?」
部屋の温度が3℃ぐらい、一気に下がった気がした。
「馬鹿げた話だな」
氷が割れた。
「小娘、いい度胸だな。儂のことも調べてあるということか」
男が、さっきとは違う笑いを浮かべた。
「お褒めに預かり光栄です。インターポールの敏腕捜査官、蟻宮警視正」
驚愕のざわめきが店内に広がった。
「あの人、警察官なの?どう見ても取り締まる方じゃなくて、取り締まられる方じゃ―――」
惣木が思わずつぶやきを漏らし、近くにいた店員が慌てて惣木の口を押さえた。もう、ゲームどころではなくなっていた。
「すげえ、銭形警部って実在したんだ」
「―――違うと思うけど」
一緒にゲームをしていた男二人も、ようやく言葉が口から出るようになったようだ。
「吉野、お前はどうなんだ?」
蟻宮の父は、店に入って初めて蟻宮に尋ねた。
蟻宮は父の目をしっかり見て言った。
「わたしは、FREESiAに戻りたい。また、みんなと歌ったりおしゃべりしたりしたいよ」
迷いのない答えだった。
「そうか、なら、いい」
蟻宮の父は、すくっと立った。そして、社長に向かって深々と頭を下げた。
「娘をよろしくお願い申し上げる」
社長も席を立ち、お辞儀をした。
「承りました。今後も、私どもに至らぬことがあれば、どうぞおっしゃってください」
「うむ」
蟻宮の父はきびすを返すと、そのまま立ち去ろうとして―――振り返った。
「そこの娘!」
「ぴいっ!」
ルルが変な悲鳴を上げた。
「コーヒー、美味かったぞ」
蟻宮の父は、そう言うと、今度こそ店を出て行った。
「あ、気絶してる」
店長がルルを突っついた。
「ルルさん、しっかりしてくださいぃぃ!」
もう一人の店員の女の子が、ルルを必死で揺さぶった。それを横目に見ながら、蟻宮は社長に話しかけた。
「社長、パパと会うのに、何でこの店を選んだんですか?」
社長は、蟻宮を見て、にやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「アントちゃんは、気付いてないかもしれないけど、あなたのパパは、あなたには甘々なのよ。アントちゃんがいる場所、アントちゃんが満足して働いている場所で、アントちゃんが、やりたいことをはっきり言えば、そりゃあ、勝てるわよねえ」
「策士だ……」
柱の陰から様子を見ていた、すももがそっとつぶやいた。
前回に引き続き、たいっへん、申し訳ございませんっっ!
自分でもびっくりするぐらい、公開が遅くなってしまいました。リニューアルして出すには、何かプラスのものをお皿に乗せて出さねばという気持ちが強く、原作の出来がよかっただけに、どうしよう?という気持ちがありました。自分のペースで書けるのが「なろう」のいいところですが、それに甘えてはいけない―――っていつも思うんですけどねー!
執筆をさぼっ―――構想を練っている間に、「なろう」の作品設定に必須項目が加わっていました。この設定をしていなかったので、もしかしたら、しばらく作品が公開されていなかったかも。その必須項目は「AIを使用しているか?」でした。
この作品には、AIが繰り返し出てきます。読者の皆様は気付いていないかもですが、この作品は「近未来物」です。ありえるかもしれない少し未来の世界をリアルに描くことにこだわっています。わたしの作品は〝ファンタジー〟ではなく、〝SF(空想科学小説)〟だと思っています。違いは、事象を全て論理で説明できるかどうかです。「魔法で」「転生して」「よくわからんけど、こうなって」が入ると、途端に嘘っぽくなるんですよ。だから、読むほうも面倒だと思いながらも、納得感が出るように説明を多めに盛り込んでいます。
だからといって!だからといってですよ。わたしがAIを使うことは一切ありません。わたしが書くものは絶対にAIには書けないと思って書いています。ヒントをもらうことさえしません。AIからヒントをもらえば作品が汚染されるとさえ思っています。わたしがAIを毛嫌いしているわけじゃないことは、作品を読んでもらえばわかると思いますが、それでも、わたしは、自分が書くものにAIを混ぜたくはないのです。これからも、AIには絶対に同じようなものは書けないという自負を持って、作品を書いていきます。




