新劇場オープンから、初めての厄介ごと
新劇場オープンから数日後に、演者へお花を送れるサービスを開始して
毎公演、誰かに花が届くようになった
私にも花が届いたっていうか・・・・
ガロルドが持って来た
ガロルド「応援してる」
そう言って渡してくれたのは、花祭りで髪飾りとして送ってくれた花の花束で
とっても懐かしい気分になった
「ありがと!嬉しい」
ガロルド「応援してるから、露出は少な目で頼む」
「あはは、了解。これ以上過激なのは着ないよ」
ガロルド「うん」
舞台のたびにお花が届くから、部屋の花瓶は常にいっぱいだ
お花のある部屋はいいものだ、前世は花粉が駄目だったのでこんな事は出来なかったけどね
今はいい香りだし、綺麗で楽しむ余裕がある
他の人達も、花を贈られるみたいな経験はあまりなかったらしく
はじめて送られてきた時は、凄く喜んでいた
ハーシェリア様はサービス開始初日に、全員に花を送っていた
ロコくんにはAランクの花束を直接手渡しして、握手をして感激していた
今現在での一番人気なのは、ノーラさんかな?
セクシーな衣装がバカウケして、男性冒険者からの人気が凄くて
CランクとBランクのお花が、毎回大量に届いている
1本しかお花が送れないようにしたのに、あれだけ送られると毎回花束を貰っているのと変わらない
今の所花を送られて居ないのは、エイコーンさんだけだ
他の人達は1本くらいは送られているのに、何故かエイコーンさんだけ届かない
見た目も悪くないのに・・・・・どうしてだ?
ちょっとわからないけど、可哀そうだったので自腹で1本だけ送っておいた
エイコーン「私に花が届いた!応援してくれている人がいる!」
って感激していたので、私が送った事は秘密にしておく
応援しているのは本当だしね
今後、エイコーンさんにお花が届かないようであれば定期的に送ろうかな・・・
お店が開店してからは、連日ほぼ満員で
昼の部も夜の部も盛況
半月ほど経って、落ち着いた頃に
元のお店に飲食店をオープン
朝はお店の前で屋台を出して、テイクアウトのみを販売
これは仕事に行く人や、朝ごはんとして食べる人達に相変わらず人気で
お店の方は、ランチの時間から開店
拠点で出している、比較的簡単なご飯が食べれるようになっている
特にショウガ焼き丼は大人気らしく、町の端の門の近くにも関わらず
わざわざ食べに来る人が多いらしい
これはセフトさんから聞いた
食堂がオープンしてからすぐに行ったらしく
その日から常連になったみたいなんだけど、日に日にお客さんが増えて
行くのが送れると、満員で座れない日もあるらしい
そんな時はテイクアウトの、バーガーかサンドイッチを買って帰るらしい
いつもありがとうございます
セフトさんは、イーラの3人を推していて
熱心に花を送ったりして、給料日にはAランクの花を送るほど入れ込んでいる
お金に余裕があるのならいいんだけどね
入れ込み過ぎは良くない
生活が安定してきた所で、私がお店に行かない日も作り
道路作りを再開した
パチュリーから関所までは完成したので、パチュリーから王都へ向けての道路を作っていく
これは王都から来る人達が、お店にも来てくれるだろうと踏んでだ
マッキンリーさんも「道路を作ってくれれば、2日休みがあれば来れる」
って言っていたので、先に作ってしまおうと思ったのだ
お店が休みの日に、コツコツと道路を作り
王都とパチュリーを繋ぐ道路が完成した
「これでお客さんも増えるかな?」
そんな事を言っていた3日後に、マッキンリーさんがやって来た
マッキンリー「道路が出来て、半日ほどで来れたぞ」
「え!そんなに早く来れるんだ!」
マッキンリー「ああ、そこまで飛ばしたわけではないしな。野営なしで来れるのは大きいな」
「そうなんですね、って事はお客さんも増えるかなー」
マッキンリー「増えるぞ。すでに王都ではこの店の話が広まっている」
「え?どうして?」
宣伝なんてしてないのに・・・
マッキンリー「私が宣伝しているからな、王都の劇場に通う人にはもれなく宣伝している。『もっとお勧めの劇場がある』と言ってな」
「ええーー、ありがとうございます」
マッキンリー「もうすでに宣伝の必要もないほど人気だろうが、王都で公演するには先に宣伝しておかないとな」
「そうですね、助かります」
マッキンリー「ただ、今よりも貴族連中が来る事になるだろうから、トラブルには気を付けてな」
「わかりました。ありがとうございます」
マッキンリーさんは、ショーを楽しんで1泊をした後
すぐに王都へと戻って行った
この忠告を受けた数日後に、忠告通りの事が起きた
「あの、オーナーに会いたいとおっしゃっている貴族の方がいらっしゃいます」
「え?何か問題があった?」
いつも通りショーに出て、すべての演目が終わった後の事だ
「いえ、わかりません。直接会って話がしたいとの事でした」
「了解。直接聞いて来るね」
「気を付けて下さい。あまり感じの良い方ではありませんでした」
「・・・・そっか。わかった」
なーんか嫌な予感っていうか、もう何となくわかる
2階のVIP席へ向かい、ノックをすると、扉が開いたので中へ入る
「失礼します」
中へ入ると、でっぷりとした体形の髭の人が座っていて
壁際には騎士が数人立っていた
扉を開けたのはこの騎士らしい
「オーナーのルラです。お呼びと聞いて来ました。どういったご用件でしょうか?」
軽くお辞儀しつつ、名乗り、要件を聞く
「お前がここのオーナーか・・・随分と若い女なのだな」
「はい、オーナー兼演者をしております」
ジロジロと舐めるように見て来る視線が気持ち悪い
このおじさんは貴族っぽいが、どこの誰だろうか?
「演者・・・ああ、さっきも踊っていたか。オーナー自ら舞台に立つとは、買われたいのか?」
「はい?どういった意味でしょうか?」
「ははは、生娘か?それともわざとそんな事を言っているのか?」
「・・・・要件をお聞きしに来たのですが?」
「ああ、そうだったな。あのうさぎの娘を買いたい。いくらだ?」
「は?ここは奴隷商ではありません」
「そんな事はわかっている。奴隷の直接売買が駄目なら、奴隷商を介せば良い」
「そんな事は言っていません。ここは奴隷を売り買いする所ではありませんし。演者を売るような事はしません」
「おかしな事を言うな、じゃあどうして奴隷を見世物にしているのだ」
「彼らを奴隷としては扱っていませんし、見世物ではありません」
「・・・・言っている意味がわからん。奴隷の首輪をつけて、あんな男を誘うような踊りをみせつけておいて、見世物ではないと?」
「ええ、彼らは自らの意思で見せてあげているので。それにあれは奴隷の首輪ではないので、ひとつのチームとしての証です。首だけじゃなく腕や足に着けている人もいるでしょう?あと、こちらは別に誘ってはいません。あなたが誘われたの間違いでは?」
くすっと、笑ってあげる
お前が勝手に奴隷と思っているだけだし、お前が勝手に誘われているんだ
言外にそういう意味をこめて
「ぐっ、口では何とでも言えるだろうが!どうせ金が欲しんだろうが!金貨100でどうだ!」
「ふふふっ、たった金貨100枚で買い取るおつもりで?あなた様は貴族ではないのですか?」
「貴様っ、馬鹿にしているのか!金貨1000枚だろうと出せるに決まっているだろうが!お前らの価値はそれぐらいだと言っているんだ!」
顔を真っ赤にして怒り狂っている
面白くなってきた
「あはははははっ!」
わざと大笑いしてみる
「貴様ーー!何が可笑しい!」
「あはははははっ!すみません。これは貴族様のジョークなのかと思いまして」
「ジョークなど言っておらんではないか!」
「え?そうだったのですか?金貨100枚程度の価値だとおっしゃっていたので・・・・てっきり」
頬に手をあてて、申し訳なさそうな顔をしてみる
「貴様らなど金貨100枚程度の価値しかないだろうが!」
「ふふふっ、貴族様というのならもっと見る目がおありなのかと思っていました」
「貴様・・・これ以上侮辱するなら、侮辱罪で捕らえるぞ」
「あらこわい。ですが貴族様?おかしな話だとは思いませんか?」
「何がおかしいのだ」
「だって彼女は月の稼ぎだけで金貨100枚以上は稼いでいます。その彼女を買うのに金貨100枚?おかしな話ではありませんか。私はてっきりジョークだと思いまして・・・そうは思いません?」
近くにいた騎士に笑いかけてみたけど、顔をそらされてしまった
どうやら答えられないらしい
「う、嘘をつくな!奴隷がどうして金貨100枚も稼げるというのだ!」
「嘘ではありませんよ。それに言ったではありませんか、彼女たちは奴隷ではないと。立派な演者で、彼らを見る為に毎回たくさんのお客様が来て下さいます。あなたのように魅せられて・・・・ね?」
コンコンコン
ノックのあと、ガロルドが入って来た
ガロルド「ルラ、ここにいたのか。どうなった?」
「ガロ。このお客様がノーラさんを買いたいと言ってきたので、断っている所」
ガロルド「買う?売り物ではないのに?」
「うん、それをわかってもらっている所」
ガロルド「ここの演者は売り物ではない・・・それでは駄目なのか?」
「ちょっと理解ができないみたいでね、丁寧に説明してたんだ」
ガロルドが貴族様を睨んでいる
「この男はなんだ!入室を許可していないぞ!」
「はい?あなたの許可が必要ですか?オーナーは私です。それに彼は私の相棒なので」
ガロルド「ああ、Sランクパーティ『アルラド』だ」
「「「Sランク!?」」」
「あれ?ご存じありませんでしたか?」
騎士と貴族まで驚いている
知らなくて、こんな大柄な態度だったんだー
「彼らがつけている首輪にも『アルラドS』と入っているはずですが・・・・知らずに彼らに金貨100枚だと値段を付けて買おうとしていたんですね」
呆れた話だ
ガロルド「金貨100枚?安く見られたものだな」
「だよね?びっくりしちゃって・・・その話をしていた所なんだよね」
「ぐっ、ではいくらなら適性だというのだ!お前も男なら買おうと思うだろう!」
ガロルド「は?お前と一緒にするな。彼女を買おうとなど考えた事もない、俺の全財産を払っても手に入れられるものでもない」
思いっきり軽蔑するような顔で見下している
あーあ、怒るんじゃない?
「ぐぅっ!き、きさまらーーー!!」
勢いよく立ち上がる
それを見て、騎士達も臨戦態勢を取ろうとしている
「ガロ、ダメだよ」
そう言った瞬間に、コンコンコンとノックが聞えて扉が開いた
リーヴァ「失礼します」
「誰だ!?」
リーヴァ「これはこれは、ネッカリーデ男爵様、いらっしゃっていたんですね」
「お前は・・・公爵の所の執事・・・か?」
リーヴァ「はい、顔を覚えて頂いていたようで、光栄にございます」
「何故ここに・・・・」
リーヴァ「ここでジャスティン様が演奏していらっしゃるので、色々とお手伝いをさせてもらっています。公爵様ご一家も御贔屓にされているお店ですので、所で何か問題でもありましたでしょうか?」
「公爵が贔屓にしている店だと・・・」
みるみる顔色が悪くなっていく、さっきまでの威勢はどこへやら
「実はですね・・・・」
かくかくしかじか、これまでのいきさつをリーヴァさんに説明する
リーヴァ「なるほど・・・演者である彼女を買おうとした、と」
「はい、なのでお断りしている所でした。でも、あまりわかってもらえなくて・・・」
リーヴァ「わかってもらえないとは?」
「彼らは金貨100枚程度の価値しかない、そうおっしゃっていました。あ、それと、男を誘っているとも言っていましたね」
リーヴァ「ふっ、ふふふっ。これは失礼しました。ネッカリーデ男爵様。彼らは売り物ではありませんし、奴隷が欲しいのでしたら奴隷商へ行かれて下さい。男として誘われたのなら、正式に求愛なさって下さい」
丁寧に腰を折って、でっぷりとした男爵に説明してくれたリーヴァさん
プルプルと震えて、顔を真っ赤にしている男爵は今にもはち切れそうだ
リーヴァ「あと、この店に迷惑が被るようでしたら、公爵様自らが動く事になりますのでよく考えて行動なさって下さい。特にハーシェリア様はこの店にご執心ですので、店になにかあれば全力で動く事になると思います」
「なっ、先代までだと・・・」
「男爵様には申し訳ありませんが。私のお店では演者を売るような行為は一切しておりません。しかし、正式に口説くというのなら止めはしません。お店に危害が加わるような事があれば出入り禁止も検討いたします」
「で、出入り禁止だと!これだけ金を払ってやっているのに!」
「いえいえ、お金の大小でお客様を選んだり致しません。純粋に楽しんで頂ける人のみに来て欲しいだけです。売り上げは十分にありますので」
リーヴァ「では、今日の所はお帰り頂けますか?苦情は公爵様宛にお手紙を頂けましたら対処したしますので、今日の事は私も直接旦那様にお話ししておきますので、ご心配なく」
にこっと紳士の笑顔でそういうリーヴァさん
「ぐ・・・・・っ」
「またのお越しをお待ちしております」
そう言って、扉を開いて手で促す
「・・・・・・。」
顔を真っ赤にして出て行った男爵
その後ろについていく騎士さん達
最後尾の騎士さんが一瞬立ち止まり
騎士「・・・・すまなかった。迷惑をかけた」
そう小声で話しかけてきた
「ふふっ、いえいえ。あなたも大変ですね、仕える相手は選んだ方がいいですよ。うちは用心棒も演者も募集してますので、いつでもいらして下さい。あ、お客としてでもいいですよ」
ビックリとした顔をしていたけど
騎士「・・・・考えておく」
ふっと笑って、足早に出て行った
性悪男爵の騎士にもまともな人はいるんだな
ふう、やれやれって感じだ
ありがとござした!




