カンリオ国の道路作りと、青空カレー
アシタスト国の関所の手前でアルジャンから降りて
関所を通ってカンリオ国へ入国
関所から王都へ向かう国道を作って行く
「えーっと、ここからこんな感じで通すんだね」
地図を見ながら道路の形を確認
これはトレール伯爵からもらったもので、各国の意見をまとめて
地図に道路の予定行路を示してもらっている
主要な所しか作らないと言ってあるので、必要最低限を示してもらっていて
カンリオ国の道路はアシタスト国の関所からますっぐに西へ伸びて
カンリオ国の半分ほどを進んだ所で南に伸ばしていく
これは西側にも出来るだけ伸ばしたい・・・・っていう意向なんだけど
西に伸ばす事で王都へのアクセスはいいけど
王都からカンリンまでの道路が東側に伸びる事になる
国のほぼ中心あたりにある王都と違って、カンリンは国の東
王都から見れば、南東の位置になる
なので、道路の形は最終的に『く』の字の形になる
これが最善かはわからないけど、今は必要最低限を作るのが目的なので
この地図が示す通りに作って行こうと思う
ガロルド「じゃあ、俺達はちょっと散歩に行ってくるな」
「はーい、いってらっしゃい」
ガロルドはいつも通り3匹を連れてお散歩
大変助かっています
ちなみにガロルドには
「私は作業で行けないけど、他の町とかに遊びに行って来て良いからね」って言ってある
散歩ばっかりじゃ飽きるし、狩りで手に入った魔物の解体を頼まないといけないし
あとは単純に私が行けないので、何か変わった物がないのか見て来て欲しいのだ
特に屋台ごはんは買って来て欲しい
ご当地ご飯食べたい
関所から西へ真っ直ぐ道路を作って進み
近くに見えた町にガロルドが買い物に行ってくれる
カンリオ国は私が好きな食材が豊富だから、たくさんお使いを頼んであるのだ
味噌、醤油、コメ酒
あと忘れちゃいけないのは大葉だ
これはこの国でしか見た事がない
「見つけたら絶対買って来て欲しい」とお願いしてある
たまにガロルドが町に行っては買ってきてくれる、屋台ご飯を楽しみに
道路作りを頑張った
色々と買って来てくれたんだけど、その中でも一番美味しかったのは
ごはんと鶏肉を一緒に炊き込んだものだった
刻んだ根菜と鶏肉をご飯と一緒に炊き込んで、炊き込みご飯になっている
醤油と何かのスパイスの香りがするので、自分が知っている炊き込みご飯とは違い
どこか異国感のある味だった
炊き込みご飯と一緒に、野菜の塩漬けが添えられていて
それがまた良い
これを作った人はご飯の美味しさを引き出すのが上手だ
そんな出会いを楽しみつつも道路を作り続けていると
道路を使う商人さん達が挨拶してくれる
「お疲れさん!これ良かったらもらってくれ、良い道をありがとなー」
そう言って笑顔で何かと物をくれるのだ
「ありがとう!頑張りまーす」
おじさんがくれたのはサツマイモ
どうやら獣王国から運んで来たらしい
西の方からやってきて、道路を通ってアシタスト国の方向へ進んでいった
道路を喜んでくれる人を見れるのが楽しみではあるんだけど
たまにスピードを出し過ぎている人もいるのがねー
ちょっと困りごとかな
順調に作り続けて、南に向けて伸ばして行こうかなという位置まで来た
ここを南に下って行けば王都に当たるはずだ
王都に向けて道路を作り始めて数日
今日も順調に道路を伸ばしていると、明らかに商人っぽくない馬車が近づいてきた
どこぞの貴族かな?って思って見ていると
すぐ傍で止まった
窓が開いて顔が見える
「順調か?」そう声をかけられる
どこかで見た事のある顔だ・・・・どこだったか・・・
逡巡していると、むっとした顔になった
「まさか覚えてないのか?」
「あーーーー、えっと顔は覚えて・・・・あ!えっと!外交官の!サ・・・・」
「テムスンだ」
「そうそう!テムスンさん!」
危なかった・・・・サ〇スンって言う所だった
なんか携帯とか作ってる会社っぽい名前だって覚えてたもんだから・・・
テムスン「まあ、一度しか会った事がないしな」
そう言って馬車を降りて来る
「どうしましたか?どこかに向かう途中ですか?」
テムスン「いや、様子を見に来た。うちの道路を作り始めていると聞いたからな」
「そうだったんですね」
視察ってやつかな
テムスン「しかし・・・・2日前に連絡が来たばかりなんだが・・・いつから作り始めたんだ?」
「えーっと、今日で・・・・6日目ですね」
テムスン「6日目?この道はアシタスト国の関所から続いているのではないのか?」
「はい、続いてますよ?」
何を当たり前の事を言っているのだ?
あっちから来たのに作らない訳がないだろう
テムスン「・・・・・一人でか?」
「はい、ガロルド達はお散歩に行っているので」
テムスン「噂には聞いていたが・・・では、アシタスト国の道路は完成したのか?」
「はい、なのでここに来ました。ニクン国はまだ全然作れてないですけどね」
テムスン「作り始めてまだ1月ちょっとしか経っていないはずだが」
「もうすぐ2か月くらいですね、最初は時間がかかっていたんですけど、今は大分慣れてかなり上達しました。これ以上早く作るのは無理かもなーってくらいには早く作れますよ」
テムスン「・・・・少し見学してもいいか?」
「はい、もちろんです。危ないので少し離れて見て下さいね」
テムスン「了解した」
馬車を離れた所に止めて、こちらを見ているのを確認してから道路を作り始める
ここは少しボコボコとしているので、まずは整地
ボゴゴゴゴッ
音を立てて地面が平らになっていくのが確認出来たら、そこから歩きはじめる
1歩進むごとに道路が完成していく
土を圧縮して、石に近い状態まで持って行き
そのまま模様も刻んでいく
車線や、進む方向を示す矢印だ
10歩ほど進んだら、立ち止まって
一定の範囲内を強化
そこからまた歩きながら道路を完成させていく
これが今の自分が出来る一番早い加工である
チラッとテムスンさんの方を見てみたけど
最初に見たポーズのままだ、腕を組んでこちらを見ている
感想とかはないのかな?
ま、いいか
動く気配がないので、そのまま進めていく
振り返る事なく進めていくと、しばらくしてガラガラと馬車の音が近づいてきた
いつの間にか、見学していた位置と大分距離が出来ていたみたいだ
テムスン「君!一体これはどういう魔法だ!」
止まる事なく歩きながら道路を作る私に、大きな声で話しかけて来る
「土魔法ですよー」
テムスン「こんな土魔法は見た事がない!」
「でしょうねー、自分で開発したのでー」
道路分の距離があるので、離れたまま大きな声で会話する
テムスン「ちょ、ちょっと止まってくれ!」
「はい?どうしました?何か問題がありますか?」
何か問題があったのかと、心配になり
道路作りを止めてテムスンさんの傍まで歩いていく
テムスン「ど、どどど、どういう魔法なんだ!説明してくれ!」
「はい?説明・・・・・?」
テムスン「どうやったら歩きながら魔法を発動できる!しかもこんな材質まで作り上げるのはどういう・・・・いや、あの模様もいつ描いているんだ!」
「あー、うー、なんていうかー」
言語化が難しい、もはやどうやっているか説明できない
ほぼ感覚で作るようになってしまったので
テムスン「秘密なのか?何かとんでもない秘密があるんだろう!?」
「いえいえいえいえ!何も秘密なんてないですよ。ただくり返しやっていくうちに、ほぼ感覚で作っているというか、何と言うか・・・言語化が難しいです」
テムスン「感覚・・・ただの天才か?」
「どうなんでしょうね?昔から加工は得意だったので、練習の賜物ですかねー?」
テムスン「なんて呑気な・・・」
「はははっ、ま、丁度お昼時ですし、お昼ご飯でも食べながらお話しませんか?」
テムスン「昼・・・そう言えば、そんな時間だったか」
「はい、良かったらご馳走しますよ。何か食べたい物はありますか?」
テムスン「何を言っているんだ、君は・・・こんな平原で料理でもする気か?」
すっごく怪訝な顔をされてしまった
「料理しますよ。ほら、土魔法があればどこでもキッチンが出来ますからー」
道路から少し離れて、キッチンを一瞬で作り上げると、みんながフリーズした
こういう反応も久しぶりだなー、ふふふ
フリーズ解除まで時間がかかるのはわかっているので
テーブルを出したりして、元に戻るのを待つ
「何を作ろうかなー?簡単に済ますつもりだったけど」
一人だったら作り置きのサンドイッチでも齧ってたんだけどな
テムスンさんと、御者さん
それに護衛の騎士さんが3人いる
みんなが満足できるものが良いので、簡単で食べやすい物がいいな
「あ、カレー。カレーが食べたいな」
この前の皮膚が灰色の鳥、あれを使ってコトコト煮込んでおいた
カレーがあるんだ
あれと、ガーのフライを乗せた
贅沢仕様のカレーライスにしようかな?
さっそくカレーが入ったお鍋を出して、火にかける
そのまま保存していたので、まだ熱いんだけどね
一応火にかけて、熱々にしておく
炊き立てのご飯も出して、お皿に半分よそっていく
半分空いた所にはカレーのルーを注いで
ガーのフライをカットして2つ乗せれば完成だ
「あー、美味しそう!」
灰色の鳥もカレーに入れた事で、全然気にならない
ただただ美味しそうだ
「はい、どうぞー。みなさんも座って下さい」
全員分を配膳し終わったところで、みんなが再起動した
テムスン「本当に料理を・・・」
「はい、一人の時は作り置きを食べますけどね。夜は料理しますよ」
テムスン「しかも見た事が無い料理だな・・・スパイスの香りか?」
「そうです、色んなスパイスが入っていますよ。スプーンでご飯とソースを半々になるぐらいにして食べてみて下さい」
テムスン「こう・・・・か?」
「そうそう、辛いのが苦手でしたら、ご飯多めにしたりして自分の好きな配分で食べるんです」
テムスン「な、なるほど」
「いただきまーす」
みんなが食べないので、自分が先にひとくち
じっくりと煮込んだので、鳥の旨味がいっぱい出ている
お肉もごろっと入っていて、食べ応え抜群だ
しかもガーのフライまである
ガーのフライを崩して、ぱくり
ルーがかかったフライは、絶対美味しい、ほら美味しい
ザクっと、中はホロっと、カレーのルーとも相性抜群だ
テムスン「美味い・・・なにやら複雑な味がするな・・・不思議だ」
「いーっぱい色んな物が入っていますからねー。ご飯がすすむでしょ?」
テムスン「ああ、しかしパンとも合いそうだな」
「もちろん合いますよー、パンも出しましょうか?」
テムスン「なに?パンまであるのか?」
「はい、もちろん。結構なんでもあります。快適な旅には必須ですからね」
テムスン「・・・・君が貿易の為に無料で道路を作ろうと考えた意味がやっと理解出来た気がする・・・」
「?」
意味とは?
欲しいから作るんですけども・・・
テムスンさんの言葉を不思議に思いながらも、パンを取り出した
食べやすいテーブルロールだ
テムスン「これはまた不思議なパンだな」
「手作りです。こういうちょっと食べたい時に便利なんです」
テムスン「ふむ、柔らかい、食べやすいな・・・・・しかも美味い」
「ふふ、ありがとうございます」
テーブルロールを手で千切って、カレールーにつけて食べている
御者さんも護衛の騎士さんも、みんなが「美味しい」と言ってくれたので
これはレギュラーメニュー入りかな
あの鳥をいかせる料理はカレーが一番かもしれないな!
ありがとござした!




