子供達をアシタスト拠点まで運ぼう
ラジャと森の拠点へ移動した後、深夜になってから行動を開始した
闇に紛れて王都に入り、ラジャが調べてくれた子供達を連れだしていく
何度か往復して6人の子供奴隷を連れだした
どの子も体に痣があり、常習的に暴力を働いていた事がわかる
その事に心底腹が立った
なのでちょっとした置き土産をしてきた
どこの屋敷も子供がいる部屋には鍵をかけて、外には出れないようにしていた
なので、教会の扉と同様に燃やして中に入った
まったく同じ燃やし方で、教会での出来事を連想するように
これを見れば、自分の屋敷にも雷が落ちても不思議じゃないと思うだろう
せいぜい悩んで、苦しんで、怯えて暮らして欲しい
ラジャの情報で、すべての子供が連れてこれたので
順番にアシタスト国の拠点まで運ぶ事にする
時間がかかるので、なるべく往復する回数を減らしたい
なので、複数人乗れるように乗り物を作る事にした
アルジャンと相談しつつ、どんな形にするのが良いのか話し合った結果
箱型の乗り物を作り、中で寝れるようにした
移動は夜中にしかしないので、子供たちは眠たいだろうし
ずっと座っているのも疲れる
なので最初から寝てもらう事にして
今後、大人も乗ってもらう事があるだろうし大きめに作った
箱には空気孔と、外が少しは見えるような窓を作り
途中で起きても怖くないようにした
まあ、上空なので別の怖さがあるかもしれないけど・・・
箱の上部にはアルジャンが掴みやすいように大きな取っ手がついている
それを足で掴んで飛ぶのが一番飛びやすいと言っているので
それで行く事にした
途中で離してしまう怖さもあるので、しっかりと足にベルトを巻いて固定できるようにした
これで万が一離してしまっても落ちる事はない
実際に子供を乗せる前に、重しの石を入れたものを持って飛んでもらい
アルジャンにこれで行けそうか確認し、取っ手が細いのでちょっと掴みにくいと意見が出たので
取っ手には丈夫な魔物の皮をしっかりと巻いて固定した
途中で取れたりズレたりしないように、しっかりと圧着して、仕上げに強化魔法もかけておいた
もう一度アルジャンに確認してもらい、OKが出たので
子供5人を乗せて
その日の夜に出発した
箱を持って飛ぶので、早く飛ぶ事は出来ないけど意外と安定している
中から子供達の悲鳴も聞こえないので、中が凄く揺れるという事も無さそうだ
1時間ほど飛んでから、一度箱の中を確認したけど
ぐっすりと子供達は寝ていたので、大丈夫そうだ
アルジャンには出来るだけ丁寧に飛んでもらい、激しく揺れる事はなさそうだ
だんだんと賢さが増している気がするアルジャン
成長しているんだなーと思いつつ、後で何かご褒美を上げようと思った
アルジャンが居なかったら、こんな簡単に作戦が成功していなかっただろう
アシタスト国の拠点に到着して、箱を空けると
子供達はぐっすりと寝たままだったので、一人ずつ抱っこしながら寝室へ運ぶ
途中で起きて来たダタンヤリムさん達にも手伝ってもらい、全員を寝室へ運んだ
「ありがとうございます。助かりました」
ダタンヤリム「ああ、何だか便利な物を作ったな」
「ちょっとこっちに送る人が多くて、なるべく往復回数を減らそうと思いまして」
ダタンヤリム「という事は何かあったのか?」
「今は王都にいるんですよ。おそらく一番奴隷の多い場所です」
ノースリム「そう言う事ね、後何人ぐらいいるの?」
「子供は後4人、その後は大人も連れて来る予定です」
ダタンヤリム「大人も?そんなに扱いが酷いのか?」
「まあ、それもあるんですけど・・・」
かくかくしかじか、王都でのこれまでの流れを話した
ノースリム「まあ、凄い事をしたのね」
ダタンヤリム「教会に雷を落とすとは考えたな」
「ふふっ、それしか思いつかなかったんですけどね。実際に『天罰がくだったんじゃないか』って、私が教会へ行く前から噂になってましたから。さらに噂を流す事でそういう流れに持っていけると思います」
ダタンヤリム「それは大きな事をしたな、さすがだ」
ノースリム「そうね、大胆かつ他の人には出来ない作戦だもの。普通の人は思いつかないでしょうね」
ダタンヤリム「王城魔導士が居たのも良かったな」
「はい、魔導士さんが居た事でより真実味が出ましたね。実際に魔導士さんも天罰を信じているようでしたから」
ダタンヤリム「奴隷がいたというのも大きいな」
「はい、あそこまで誘導するために色々と考えたんですよー」
ノースリム「ふふっ、とーっても良い作戦だったみたいね」
「ふふふっ、司祭もかなり焦ってましたから。それにその後に行った屋敷にも同じように扉を燃やして侵入したので、今頃は怯えているかも知れませんね」
ダタンヤリム「ははっ、それはさぞ怖いだろうな!自分の屋敷に特大の雷が落ちるかもしれんのだから」
ノースリム「落としちゃってもいいのよ?」
「そうですね、新たに奴隷を引き入れようとするなら落としましょうかね天罰を」
ダタンヤリム「それが良いな」
ノースリム「それにしても、教会で奴隷を使うなんて・・・隠していたって事は悪い事だって理解しててやっているのよね」
「ええ、全部嘘を答えていたので自覚はあったはずです」
教会が奴隷を持つ事を禁止していると言うよりは
世間一般的に、『奴隷はお金持ちのもの』というものがある
それは奴隷が高額のなのもあるが、衣食住を保証しないといけないし
低賃金ではあるが、給料を払う必要がある
これは奴隷自身が、自分を買い戻す為であり
それで元の生活に戻す・・・というのが目的である
教会は基本的に寄付金で成り立っている
奴隷を買うような余分なお金も、お給金を出すようなお金も無いのが普通で
自分自身の世話や教会の雑用も修行の一環として、奴隷を使うような事はない
どちらかというと、貧しい者に施しを行うような立場であり
つまりは倫理的にどうなのだ?という事だ
信者の寄付金で奴隷を買い
自分は楽をしている
そう思われるという事だ
しかも、それを隠していた
現場もバッチリと王城関係者に見られている
やましい事しかない
あそこで「助ける為に奴隷を買った」とでも言えば逃げられたかもしれないが
あの丸い司祭にはそういう頭は無かったらしい
嘘に嘘を重ねて自爆した
自業自得、お疲れ様ですって感じだ
ダタンヤリムさん達には近況報告をして、渡すものを渡す
運営資金や、頼まれていた梅酒と、梅
作り方を書いた紙も一緒に渡しておく
ダタンヤリム「ありがとう。あいつらには少しずつ渡すことにするよ」
「はい、それでお願いします。ご褒美程度でいいですからね」
ノースリム「ふふっ、そうね。しっかり収納に入れて保管しておくわ」
「お願いします。じゃあまた来ます」
ダタンヤリム「ああ、気を付けてな」
ノースリム「いってらっしゃい」
大きく手を振って拠点を出発
夜が明ける前に国境を越えないと誰かに見られるかもしれないからね
急ぎで森の拠点まで戻る
ラジャ「おかえりなさい。上手く行った?」
「うん、バッチリ。子供達も寝てたから大丈夫だと思う」
ラジャ「良かったわね。疲れたでしょ、早く寝たら?」
「うん、そうするー。ガロには言っておいてー」
ラジャ「了解」
干し草ベッドに寝転がると、すっと眠気が来る
昼夜逆転生活にも慣れてきたけど、やっぱり夜間飛行は疲れるなー
月と星の明かりだけで飛ぶのだ、アルジャンに任せているとはいえ
かなり疲れる
夜目が効く魔法とかあるかもな・・・そんな事を考えながら眠りについた
そして昼過ぎに目が覚めて、お昼ご飯を食べた
ガロルド「ラジャから大体の話は聞いたが、問題無かったらしいな」
「うん、今日の夜に残りの子供達を運ぶよ。その前に王都の大人組を数人助けにいこうかな」
ガロルド「わかった。これから王都に行こうと思うが、何か必要なものはあるか?」
「うーん、特にないけど、王都の噂がどうなっているか知りたいな」
ガロルド「了解。それとなく聞いてくる」
「よろしくー」
お留守番を交代して、残った子供達と遊ぶ
今日は輪投げを作って、高得点を取った方が勝ちという遊びをした
輪っかをかける場所を壁にも作り、かなり難しい場所もあるので盛り上がった
そして日が暮れる頃にガロルドが戻ってきた
屋台ご飯を大量に持って
ガロルド「どれも美味しそうだったから買って来た」
「ありがとうー」
ゆっくりと屋台ご飯を楽しむ時間も無かったので、素直に嬉しい
子供達も喜んで食べていた
お腹いっぱいになった子供たちは寝るので
ガロルドから王都がどうだったのか話を聞く
ガロルド「かなり噂が広まっていたぞ」
「やった。どんな風に?」
ガロルド「教会に天罰が下った。司祭は奴隷を買っていた。って感じだな。教会は違法奴隷に加担しているなんて噂もあったぞ」
「へえ、あながち嘘じゃないとは思うけど。凄いね」
屋台のおじさんに噂を流して欲しいとはお願いしたけど
これほど効果があるとは、想像以上だ
ナイスだおじさん
ガロルド「それとな、冒険者ギルドにも顔を出して何か変わってないか見て来た。失踪者探しの依頼は出ていなかったし、狩りに同行して欲しいってのも無かったな」
「良かった、それが一番心配だったんだ」
失踪者探しは、消えた奴隷を探そうとする人がいるんじゃないかと思って
ちょっと心配していた
そして、狩りへの同行は
トビさんが言っていた貴族の依頼だ
それがまた出ていたら、他にも囚われている奴隷がいると思ったので
一応確認の為に見てもらった
依頼が出ていないのなら安心できる
ガロルド「それでな、ルラに会いたい人がいるみたいだぞ」
「へ?私に?」
ガロルドが一枚の紙を渡してくれた
「王城魔導士・・・セリーネ・・・さん?」
紙には面会希望と書いてあった
ガロルド「わざわざ冒険者ギルドまで自分で来ていたらしいぞ。ルラに話たい事があるんじゃないか?」
「そうなんだ・・・何だろうな?」
教会で確かにお話はしたけど、他に何か話したい事でもあったんだろうか?
ちょっと思い浮かばないけど
ガロルド「ギルドに言えば会えるらしいぞ。何の話かは聞いて無いって言ってたが、どうする?」
「会ってみようかな・・・何か良い情報が入るかも知れない」
王城関係者だもん、伝手はいくつあっても良い
それに彼女は司祭を嫌っているようだったし
意見が合いそうなんだよね
ガロルド「教会で会ったんだろう?」
「うん、司祭と握手した後に、手を浄化してた」
ガロルド「ははっ、なら仲良くなれそうじゃないか」
「だよね、会ってみるよ」
彼女に会いに行こう
ちょっと楽しみだ
ありがとござした!




