教会の威信を堕とす為に動く
森の中の拠点まで移動し、子供達を寝かせた
3人一緒に寝れるように、大きめの干し草ベッドを出して
丸まって寝る姿は可愛いが
明るい所で見ると良くわかる
足や腕に痣があるのだ
痛々しい見た目に、目を逸らしたくなる
見えている所は全部治癒をして、治しておいた
起きた時に見えない所にもないか確認しよう
王都は騒ぎになっているだろうから、今日はこれで終わりにする
これから寝る時間も少なくなるだろうし、今のうちに寝たい
でも、宿にアンディーとアスターがいる事を思い出して、迎えに行く事にした
静かに森の拠点を出て、王都へ向かうとやっぱり騒ぎになっていた
騎士や衛兵が教会の周りに集まって、何かをしている
火はもう鎮火していた
現場をちらっと見た後に、宿の部屋の窓から入り
ラジャに置手紙をする『2匹を連れていきます。明日か明後日に戻るね』
アンディーとアスターを連れていく
ぐっすりと寝ているので、2匹まとめて抱っこ紐に入れて
静かに町の外に出て、森の拠点に戻る
ガロルドが来てくれるまで、森の拠点からは動けないので
3人が寝ているすぐ傍に干し草ベッドを置いて、寝る事にした
「明日はどうなってるかな」
噂も広めたいし、どうやってやっていこうかな・・・・
そんな事を考えながら眠りについた
目が覚めて、3人がいる方を見ると
起きてぼーっとしていた
「おはよう、お腹すいてない?」
「あ、お腹すいた」
「うん」
「じゃあ、ご飯を食べようか。顔を洗ってからね」
桶を出して、水を入れて渡す
水を見て固まっているので、私が別の桶で顔を洗うと、真似をして顔を洗っている
そういう習慣が無かったんだろう、困らせちゃったな
タオルを渡して、顔を拭いてもらい
床にラグを敷いた
「さ、ここで食べよう」
収納から雑穀ぞうすいを出して、人数分をよそっていく
スプーンをつけて、渡してあげるとガツガツと食べ始めた
「ゆっくり食べてね、お腹いたくなっちゃうから。おかわりもあるからね、大丈夫だよ」
「ふんふん」
「ふん」
口にいっぱい頬張りながらも、コクコクと頷いている
みんな3杯ほどおかわりをして、お腹いっぱいになったのか放心している
「お腹いっぱい?」
「うん」
「ありがと」
「おいしかった」
「そう、良かった。所で体で痛いところはない?」
「・・・・ない」
「首いたい・・・」
「どれ、見せて」
痛い場所があるというので、見せてもらうと
首の後ろ、首輪を引っ張られたのだろうか、痣と擦り傷ができていた
「ちょっとじっとしていてね」
首輪を外して、傷を治してあげる
「よし、これでどう?」
「なおった・・・ありがと」
「どういたしまして。じゃあ他の子も首輪とっちゃおうか」
残りの2人の首輪も外して、着替えもさせた
それから、ここは森の中の拠点だから外は危ない事
後で、安全な場所まで運んであげる事などを説明した
よくわからないという顔をしていたけど、「外に出ないでね、危ないから」とだけ念押ししておいた
子供一人で外に出るのは危険だからね
それから3人がどうして、教会で奴隷として生活していたのか聞いてみた
ぽつぽつと話をしてくれた事を繋ぎ合わせてみる
元はみんな一緒に孤児院で暮らしていた
でも、教会が来て別の場所に連れていかれた
そこから、首輪をして、色んな仕事をさせられるようになって
殴られたりする事が増えた
何度か逃げようとした事があるけど、遠くへ行くと頭が痛くなって動けなくなる
どうしてそうなったのかはわからないけど
『けがれた生き物め』といつも呼ばれていた、って
この子達は自分達が奴隷として扱われていた事を理解していなかった
教会関係者が自ら奴隷紋を刻み、奴隷として扱っていたのだ
元孤児の子供達を
怒りで手をぎゅっと握った
話を聞いて、心が痛かったが
子供たちには笑顔で「もう大丈夫だよ。お友達がたくさんいる所へいこうね」と言った
外には出れないので、室内で遊んでもらった
子供達が好きそうな積み木を土魔法で作ってみせると「わぁー」と驚いて喜んでくれた
元が土なので少し重さがあるけど、頑丈で大きな建物も作れる
3人で夢中になって、大きなお城を作って遊んだ
お昼ご飯を食べて少しして
「ルラ、いるか?」と、ガロルドから伝声が入った
「いるよ、今外に出るね」
そう返事をして、外に出てガロルドと合流
森の中の拠点まで案内をした
ガロルド「ここなら見つから無さそうだな」
「うん、良い感じでしょ。とりあえず3人。教会から連れて来たの。今夜、新しい人を王都から連れて来たら、この3人をアシタスト国まで運ぶね」
ガロルド「了解だ。教会はどうなったんだ?」
「ん?神様が雷を落としたんだって大騒ぎになってるよ。鎮火してたけど、礼拝堂はかなり損傷してるね」
ガロルド「神の裁きか・・・・自業自得だな。上手くやったな」
「アルジャンがね、凄く上手だったよ」
ガロルド「ははっ、練習の成果が出ているな」
「そんな練習してたの?」
ガロルド「狩りでいかに綺麗に仕留められるかってやっているみたいだったぞ」
「おお、凄い」
なんて賢いんだ
「今から王都に行って、噂を流してからこっちへラジャと来るね」
ガロルド「わかった・・・しかし俺だけで子供の相手ができるだろうか?」
「大丈夫だよ。今は積み木に夢中だし。ご飯は持ってる?」
ガロルド「ああ、まだたくさんある」
「じゃあ、そこからあげてね」
子供たちのお守をガロルドに頼んで、アンディーもお留守番だ
王都まで走って戻る
騒ぎがあったからか、王都の門は誰も並んでいなかったのですんなりと入れた
一度宿に戻り、一番冒険者っぽい恰好に着替える
ラジャ「おかえり・・・・騒ぎになってるね」
眠そうに話かけてくるラジャ
「うん、かなり派手に雷が落ちたみたいだね。ふふふっ」
ラジャ「司祭っぽい奴も顔が真っ青だったよ」
「へえ、何か心当たりでもあるんだろうか?」
ラジャ「わるーい。で、子供たちは無事?」
「うん、無事だよ。ガロルドと交代してきた。ラジャは?情報収集もう少しかかりそう?」
ラジャ「もう終わった。これで全部のはず。あとは任せたよ」
「おお、さすが。じゃあ私が帰ってきたら森の拠点に一緒に行かない?」
ラジャ「そうだね、ガロルドも一人だと大変だろうし」
「うん、手伝ってもらえると助かる」
ラジャ「了解。じゃあ戻って来たら起こしてねー」
「はーい」
布団を頭からかぶり、2度寝に入るラジャ
私は宿屋を出て、教会へ向かって歩く
すれ違う人達はみんな「教会が燃えたらしいぞ」「教会が壊れたって?」と話をしている
途中の屋台に寄って、「何かあったんですか?」とわざと聞いてみた
「ああ、あそこのでかい教会に昨夜雷が落ちたらしいぞ。天罰だって話す人もいるし、何かやってたんじゃないか?聖職者ってのは胡散臭い奴が多いからなあ。しかもあそこの教会は教皇国から来た宗教だからな」
「へえ・・・天罰・・・・よっぽど悪い事でもしたんですね」
「そりゃな・・・あそこの教会は『人族至上主義』ってな、獣人差別する宗教だからな、碌なもんじゃねえ」
「怖いですね、そんな神様がいるんでしょうか?」
「さあな、俺にはわからん話だぜ。獣人だって俺達とはなんも変わらんのにな」
「ですね」
肉の串焼きを買って、話を終えた
やっぱり誰でもあそこの教会を信じているわけではないらしい
そのまま教会の方へ歩いていくと、衛兵が集まっていた
まだ何かしているんだろうか?
人が近づけないように、ロープで仕切りがされている
見張りなのか、ロープのすぐ傍に立っている衛兵さんに話しかける
「大変ですね・・・何かあったんですか?」
衛兵「昨夜、雷が落ちたらしい。ここは危険だから近づくんじゃないぞ」
「雷が・・・教会に落ちるなんて、何かあったんですかね」
衛兵「わからん、今調査中だ」
「へえ、雷が落ちた後を見て何かわかるんですか?」
衛兵「魔法の可能性もあるからな、王城から魔導士が来て調べている」
「王城魔導士!誰かが魔法でやったかもしれないんですね」
衛兵「・・・・その線は薄そうだがな、ここまで大きな雷を落とせる人間がいるだろうか」
「確かに・・・・大変そうですね・・・・あの、提案なんですが」
衛兵「なんだ?提案?」
「はい、私実はSランク冒険者なんです」
金色のタグを見せる
衛兵「は?Sランク・・・・本当だ・・・」
タグを確認してかなり驚いている
「魔法が得意で、魔力の残滓もわかるんですよ。王城魔導士さんもいらっしゃるなら必要ないかも知れませんが、私もご協力出来る事があるかもしれないと思いまして」
衛兵「魔力の残滓とは・・・誰が使ったかもわかると?」
「はい、もし人間が使ったのだとしたら、行方も辿れるかも知れません」
衛兵「ちょ、ちょっとだけ待っててくれ。責任者に聞いてみる」
「はい、わかりました」
衛兵さんは急いで走っていった
「上手くいくかな?」
教会の有様を見ている野次馬たちを見ながら、衛兵さんが戻って来るのを待つ
「恐ろしいな・・・神の怒りじゃないか?」
「ここまでなるとはな・・・」
「一体なにをしたらこうなるんだ・・・」
「これだから教皇国は・・・」
聞こえてくる声は教会に対する否定的な声ばかりだ
これなら噂を流せばかなり広まりそうだ・・・・
そんな事を考えていると衛兵さんが走って戻って来た
衛兵「待たせた。司祭様が是非話をしたいと言っている、来てくれないか?」
「はい、もちろんです」
優和な笑みを浮かべて、衛兵さんの後についていく
釣れた
さあ、司祭様とやらの顔を拝みに行こう
ありがとござした!




