閑話 他視点 『魔寄せ』探し マーダルの町
マーダルの町は隣国と近く、長い事、魔物の脅威にされされた事などなかった
今のギルドマスターソラリスになってから30年は平和で
穏やかな毎日だった・・・・しかし
ある日届いた『緊急連絡』
『魔寄せ』が各地にあるかもしれないという知らせ
ソラリスはもしもの時を考えて、すぐに冒険者を調査に向かわせて
同時にポーション類の増産を手配した
もし近辺に『魔寄せ』があるとしたら絶対に必要になる
それがわかっていたからだ
自分の町で使わなかったとしても、危ない所に送る事もできる
そんな事を考えつつも、『魔寄せ』が無い事を祈りながら報告を待った
ノックの音と同時に扉が開く
入って来たのはベテラン冒険者の一人だ
バルトラ「ギルマス、大変だ南の森で魔物が増えていた」
ソラリス「・・・・・対処はできそうかしら?」
バルトラ「今のところは大丈夫だろう、それでも1日中見張りは必要だろうがな」
ソラリス「わかったわ、すぐに手配しましょう。冒険者を集めてくれる?」
バルトラ「ああ、わかった・・・・・これからどうするんだ?」
ソラリス「そうね・・・・とりあえず応援を頼むわ、『魔寄せ』を見つける事ができる人を派遣してくれれるそうなの」
バルトラ「そりゃいいな・・・・だが、いつ来るんだ?」
ソラリス「カンリンから来るのよ・・・・・飛んで来るとは書いてあったけど、私にはどれぐらいかかるのかわからないわ。とりあえず殲滅よりは間引きね、耐える事が必要だわ。ギルド職員も3交代制で回す事にするから冒険者たちも交代で休めるように人員を分けてほしいわ」
バルトラ「わかった・・・・長期戦になりそうだな」
ソラリス「そうね、近くの町にも応援を頼むから、追加の人員も来るはずよ」
バルトラ「わかった、それも考えて分ける」
ソラリス「お願いね」
バルトラ「了解」
部屋を急ぎ足で出て行くバルトラ
ソラリス「さあ、仕事よ」
立ち上がり職員を集める為に部屋を出た
杖を突いて歩いてはいるが、頭はまだしっかりしている
これが最後の仕事になるかもしれない・・・・そんな事を考えながら
この苦難を乗り越える為に指示をだした
カンリンへの連絡はすぐに返ってきた
『応援を向かわせた、2,3日耐えれば着くはずだ』
そう書かれているのを確認して、希望がでてきた
近隣の町からも冒険者が集まってくれた
しかし、ダンジョンが近くにあるわけではないので、高ランクの冒険者が明らかに足りない
多くはCランクもしくはそれ以下だ
この長期戦に耐えるにはもっと冒険者が欲しいが、いない
3日目に最悪の連絡が来た
「ギルドマスター、ワイバーンが山から降りてきたと連絡が入りました!」
ソラリス「なんてこと・・・・」
一番最悪の事態だ
この近辺で一番強いであろう魔物、ワイバーン
それが山から来るとは
ソラリス「今は応戦できているの?」
「はい、『黒戦斧』を筆頭に応戦中です。ですが武器が歯が立たないらしく傷しかつけられないようです」
ソラリス「ミスリルが必要ね・・・・わかったわ、王都に要請してみるから、何とか耐えてほしい」
「はい・・・・わかりました」
こんな辺境にミスリル武器を持つ冒険者はいない
王都へ急ぎの連絡をした『兵隊、もしくはミスリル以上の武器を持ったワイバーンに対抗できる兵力が欲しい』
しかし、王都からここまでは馬車で5日はかかる
それまで耐えれるのか?
出来る事は全部やった
町を守る衛兵には『ワイバーン襲来の危険性あり』との報告もした
すぐに町へ襲い掛かってくる事は考えにくいが、食料がなくなれば来るだろう
もしもの時は・・・・・私の魔力を全てぶつけてでも・・・・
自爆も厭わない
ソラリスは自滅も覚悟していた
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一方その頃 『黒戦斧』パーティ
バルトラ「これからここで間引きしつつ野営だ」
ユーロー「何日くらいかかる予定なんだ?」
バルトラ「わからん、ギルマスが言うには『魔寄せ』を見つけられる人物が派遣されるらしい。それまで耐えるのが目的だ」
ダーラ「なかなか厳しいわね」
ハスター「そうだな・・・・」
バルトラ「それでも3交代制にしたからな、休む時間くらいはある」
ニト「それでもAランクはうちだけでしょ?」
バルトラ「そうだな、だからこそ頑張ろう」
ユーロー「大丈夫だ、きっと何とかなる。大怪我だけしないように気を付けよう」
バルトラ「ユーローの言う通りだ、殲滅が目的じゃない。出来る範囲で間引くだけでいい」
ニト「・・・・うん」
ダーラ「そんな不安な顔すんなって、俺達がいる」
不安そうなニトの肩を抱いてそういうダーラ
バルトラ「さあ、今日の分を狩るぞ!」
「「「おう!!」」」
この日から『黒戦斧』は一番高ランクのパーティとして
なるべく強い魔物を狩る事にした
休む時はしっかり休んで、狩る時はしっかりやる
それでも2日目、3日目にはかなり疲れが見えてきた
ニト「まだかな・・・・」
ダーラ「今日で3日目か・・・・」
バルトラ「そろそろ来るかもしれない。ギルマスが2,3日で来るかもしれないって言っていたからな」
ハスター「じゃあ今日来るな!」
ダーラ「おお!頑張ろうぜ!」
バルトラ「ああ、ほどほどにな」
こんな軽口を叩きつつも、その日も戦っていたが
他の冒険者が焦って呼びにきた
「大変だ!ワイバーンが来た!!」
バルトラ「なんだと!?何頭だ!」
「目視できるだけでも3頭はいた!」
ユーロー「大変だ!戻るぞ!!」
「「「おう!!」」
森の中で戦っていたが、呼びにきた冒険者について森を出ると
空高くを飛んで旋回しているワイバーンが目に入った
バルトラ「なんてこった・・・・」
ハスター「1匹だけならまだしも」
ニト「ど、どうするの!?」
バルトラ「Bランク以下は森に入れ!戦える奴はこっちに集まれ!」
森の中に入れば他の魔物もいるが、ワイバーンは攻撃しにくいはずだ
ユーロー「降りてきたら迎えうつか?」
バルトラ「ああ、気を引く程度でいい。倒そうと思わなくていい。攪乱するんだ」
ハスター「わかった」
ニト「わ、わかった」
俺達を除いて3組のパーティだけが残った
バルトラ「聞いてくれ!助けがもうすぐ来る!倒そうとしなくていい!耐えるんだ!」
俺達が束になっても勝てる気がしない、致命傷を避けるのが得策だ
耐えていれば応援が来るはずなんだ、夕暮れも近い
そんな事を考えていたら一匹が降りてきた
バルトラ「来るぞ!デカい攻撃は避けろ!」
「「「おう!!」」
降りて来たワイバーンはデカかった
どうやってこいつを倒すんだ?
噛みつこうと何度も顔を向けて来る
固まらず、散って攪乱する
しかし、尻尾に打たれて飛ばされた冒険者が他のワイバーンに襲われた
足を噛まれて、「ぐあああああ!」と叫ぶ
走り寄って、ワイバーンの顔めがけて斧を全力で振った
ガィィッンン
鱗が割れて、傷がついたワイバーンの額
バルトラ「こんだけかよ!」
怒ってこっちに噛みつこうとするワイバーンを避けて逃げる
足を噛まれた冒険者は、何とか他の冒険者が助け出した
バルトラ「そのまま遠くに連れていけ!」
「ありがとう!」
あいつの足はもうダメかもしれない・・・・だが、諦める訳にはいかない
その後も何度も攻撃をしかけて、逃げるを繰り返した
しかし傷しかつかないワイバーン
バルトラ「まじで倒すのは無理そうだな」
ユーロー「ミスリル武器だったらなぁ」
バルトラ「この戦いが終わったらもっと良い武器を買うか」
ユーロー「いいなそれ」
ダーラ「じゃあ生きて帰らないとな!」
ニト「うん!」
もう日が沈みそうだ、もう少し耐えればワイバーンが帰ってくれるかもしれない
そう思って頑張って耐えた
怪我人も増えて、もう半分しか残っていない
無事なパーティはうちだけだ
握力も無くなってきた手で斧を握り直す
その時、遠くにワイバーンが落ちて来た
「みんな離れてーーー!!」
空から女の声がする
「なんだ!?」「空から人が!?」「逃げろー!」
「離れるんだーー!」
バルトラ「逃げろーーー!!」
理解するより先に走った、ワイバーンから離れるように
ドッゴーーン!バリバリバリバリ!
雷鳴が聞こえて、視界も光で眩しい
グギャッ・・・ドッスーン
音が止んで振り返ると、さっきまで戦っていたワイバーンが倒れていた
そしてすぐ傍に大きな翼を持った女の子が降りて来た
翼をどこかに収納して
きょろきょろと辺りを見回している
「天使か?」「天使かも」そんな声が聞こえてくる
ワイバーンを倒す天使
どんな天使だ
しかし、なびく銀の髪は天使を思わせた
どうやら冒険者を守る天使は、戦闘の神なのかもしれないな・・・・
そんな事を思った
ありがとござした!




