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生きてて良かったと 思いたい私の異世界転生  作者: 蒼氷


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閑話 他視点 『魔寄せ』探し バシールの町 2

ウジョーラは仮眠で少し回復した

頭も体も軽くなった気がする、疲れのせいかもしれないが・・・・・



ウジョーラ「よし、やるか・・・・」

執務机にあるのは近隣の町から来た、ポーションを買うための書類だ


ウジョーラ「高い・・・・」

最初こそ適正価格だったが、2回目は足元見て来やがる

助ける気はないのか?

ここが潰れれば次は自分の所だっつーのに


だが仕方ない、こんな所で揉めて。もしもの時に協力できないのは困る


ウジョーラ「ふざけんなって話だ」

購入手続きの返事を書きつつ、追加で書く

『ここが倒れたら次はどこに行くか、私にはわかりませんがね』



そこでノックの音がした

扉を開いて入って来たのは、『魔寄せ』を探しに来てくれた彼女だ


ウジョーラ「どうした?何か問題か?」

まだ行って無かったのか?

それとも俺が寝すぎた?いや、まだ日は沈んでない


「問題です。冒険者たちは疲れてますよ、物資も尽きかけてます」


ウジョーラ「は?どうしてお前がそれを知っているんだ?」

わざわざ現地の物資の状況を確認してきたのか?何でそんな事を?

それがわかってるから倒れる前に物資を送った所なのに・・・・・


「現地の冒険者たちに聞いてきたので、とりあえず手持ちのポーションとご飯を渡して来ました」

ウジョーラ「はあ?何であんたが?・・・まあいい、ありがとよ。追加で報酬を振り込んどく。それよりも何か問題があったから帰ってきたんじゃないなのか?」

物資は今日中に届くはずだが、ポーションはありがたいな

報酬を上乗せして補填でいいだろう


「だから、冒険者たちの環境が問題だって言ってるんです。すぐに物資を届ける必要があります」

何か怒ってんな・・・まあ、対処した後だし、これ以上は出来る事はない


ウジョーラ「それならお前は気にしなくて良い。早く『魔寄せ』を見つけられるように頑張ってくれ。何か援助が必要なら言ってくれれば出来るだけ対応する」

もう言いたい事もないだろう、そう思って書類に目を戻すと


バンッと机を叩かれる

顔を上げて彼女の顔を見ると、明らかに怒っている

まだ何か問題があるのか?わからん


「いいですか!?冒険者が倒れたらこの町は終わるんですよ!!呑気に書類を読んでいる暇があるなら物資を手配してください!」

至近距離で怒鳴られてますます意味がわからない

物資は送ったばかりだぞ?


ウジョーラ「はあ?そんなこったわかってるよ。っていうか何をそんなに怒ってんだ?物資を運ぶ馬車はすでに出発したし、追加で必要な物でもあんのか?」

完全に意味が分からないので聞き返す


「だから!・・・・・え?物資を運ぶ馬車は出発した?」

ウジョーラ「ああ、さっき出て行ったばっかりだ。小さな町だからなポーション類を集めるのは苦労するんだ・・・・で?何がそんなに気に入らないんだ?」

心底謎だ、俺がさぼっているみたいな言い方だ


「あ・・・・物資がなくて・・・・冒険者が苦しんでいると思って・・・」

申し訳なさそうに小さな声になる彼女


ウジョーラ「あー・・・・もしかして現場に行って物資不足だって聞いて戻ってきたのか?」

「・・・はい」

ウジョーラ「俺が仕事してないと思って?」


「・・・・はい。すみませんでした」

頭を下げる彼女


やっと合点がいった

彼女は俺が仕事してないと思ってたんだ

こんなヨレヨレになるまで仕事してんだがな・・・・そうか、この汚い恰好がダメなのか・・・

自分の恰好を見下ろして、頭をガシガシかく

シャツはヨレヨレで、ズボンもソファで寝てたからヨレヨレしわしわだ

ヒゲも生えまくって、髪の毛もぼさぼさだろう


ウジョーラ「いや、今はこんな汚らしい身なりかもしれんがな?休む間も惜しんで対処しているぞ、一応。普段はヒゲも剃っているし、もちっと小奇麗な恰好なんだがな・・・・」


「はい・・・・こっちが完全に勘違いしていました・・・ごめんなさい」

半泣きの彼女を見て、こっちも悪かったと思った

適当な態度で返事して、けだるげに対応しちまった


ウジョーラ「もういい。あいつらの為に怒ってくれたんだろう?俺が汚いのが悪かったよ。これが終わったら身ぎれいにすっから、『魔寄せ』の回収に集中してくれ」


「はい・・・・本当にすみませんでした!『魔寄せ』は回収済みです」

机の上に置かれた円盤型のなにか、これが『魔寄せ』なのか!早すぎじゃないか?


「崖の亀裂に挟んでありました。探すのに時間がかかりましたけど、魔物はそこまで大量では無かったので、残りを殲滅すれば収束するかと思います」

さっきまでの態度とは全く違う、しおらしく、丁寧に説明してくれた


ウジョーラ「もう見つけて来たのか・・・・やるじゃねぇか。ありがとな」

「え?はい」

これで徹夜から解放される・・・・心からお礼を言った


お礼を言われると思って無かったのか、驚いた顔をしていた

俺の印象は本当に最悪だったみたいだ、お礼も言えない男だと思われていたらしい


『魔寄せ』の情報を資料にまとめないといけないから、しばらく預かっておくと話をすれば


「怒らないんですか?」と聞いてくる

ウジョーラ「怒る?何をだ?」怒る事なんてあったか?

「勘違いで八つ当たりした事です」


ウジョーラ「八つ当たり?あれは八つ当たりだったのか?ただの勘違いだろう。俺は勘違いされやすいからな、たまにあるんだ。書類仕事は嫌いだが、ちゃんとやる事はやっているよ。町の為だ」

本心を言った、特に怒る事でもない

町と冒険者の為に怒った彼女は悪くないだろう


驚いた顔で固まった彼女は「かっこい・・・・・」と小声でつぶやいた




これで完全に気分が良くなった


ウジョーラ「は?・・・・・・わかってるじゃねえか。これでも身ぎれいにしたらいい男なんだ、まあ、気にすんな。そんな事で怒るほど器は小さくねえし、冒険者の為に怒れるやつは俺は嫌いじゃねえ」



「・・・・ありがとうございます・・・明日また来ますね」

ウジョーラ「ああ、宿は・・・・ここへ行け。もちろん従魔も泊れるぞ」

紙に宿の場所と、店主あてに手紙を書いて渡す


彼女は笑顔で受け取って部屋を出て行った



会った時から無表情だったけど、笑うと年相応で可愛いじゃねえか

って、無表情にしてたのは俺のせいか・・・・・


仕事のできねえ、だらしねえ男として見られていた

ちょっとショックだ・・・・



まあ、いいだろう

明日は身ぎれいにして会おう

俺は元はいいんだ


切り替えて、彼女が来る前の書類を手に取って



破った



ウジョーラ「お前らの助けなんてもういらねえよ。次の『魔寄せ』がお前らの町に来た時はどうなるだろうな?」

終わりが見えた戦いに追加のポーションは必要ねえ

この町でなんとかして見せるよ


彼女が現場にいくらかポーションを渡してくれたのなら、追加の物資分で

殲滅は完了できるだろう


『魔寄せ』の資料を早くまとめて、今日は家で寝よう

必死に情報を書き留めて、絵はギルド職員に頼んだ

そこで家に帰って久しぶりに自分のベッドで寝た


朝起きて、ヒゲを剃って、髪も整えて縛った


ウジョーラ「ほら、キレイにすればこんなもんだ」

鏡に映る姿を見は昨日とは別人だ


新しいシャツとパンツを履いて、ギルドに向かう


受付「おはようございます。キレイになりましたね」

ウジョーラ「だろう?今日で終わりそうか?」

受付「はい、先ほど物資を運んだ者が戻ってきて、今日の午後には殲滅も終わりそうだと報告がありました」


ウジョーラ「そうか、ありがとな。じゃあ職員も今日から夜勤は無しだ。連絡を頼む」

受付「はい、了解です」


やっとギルドも通常運転に戻れそうだ


部屋に行って、書類を片付ける

膨大な素材を売りさばいて、ギルドの資金にしないとな

黙々と仕事をしていると、ノックが聞こえた

ウジョー「どうぞ」

入って来たのは彼女だ


「え?」

驚いて固まる彼女

ウジョーラ「どうだ?身ぎれいになっただろう?」

「身ぎれいっていうか・・・・別人では?」

ウジョーラ「・・・・別人ってほどか?」

そんなに違うか?


そして彼女は昨日の事を改めて謝罪して、たくさんのポーションが入ったカゴを机に置いた


ウジョーラ「おお!すげえ!これ全部ポーションか?どうしたんだ?」

「製薬が趣味でして、昨日ポーション集めに苦労していると聞いたので、朝から作りました」

ウジョーラ「趣味って・・・・すげえ量じゃねえか」

趣味の範疇を越えてないか?


「低級~上級、特級もいくつか入れています。是非使ってください」


ウジョーラ「と、特級!?」

そんなものまで作れる趣味ってなんだ!?


しかも全部美味しいポーションらしい

通常のポーションよりも高額だ、試しに飲んで見てほしいと言われて

低級を一本飲んでみる、苦くない

果物のさわやかさと甘味がある、美味しいジュースって感じだ


正直ポーションはいくらあっても足りないくらいだった

本当に貰っていいのか確認すると


「はい、私の気が済まないので受け取ってください」と言われた

ウジョーラ「そんな悪い事したとは思ってないが・・・・それでお前の気が済むのなら、ありがたくもらおう」

そう言って受け取った


『魔寄せ』を返して、カンリンから届いていた手紙を渡す

どうやら次はマーダルらしい、北だ

地図で場所を確認したあとに、出て行こうとして止まった


「あ!その前に!名前!聞いてませんでした。私はルラです。『アルラド』のルラ」


ウジョーラ「名前?言って無かったか?」

「言ってませんよ。『ここのギルマスだ』ってそれだけ」

なんてこった、そんな態度だったのか・・・・そりゃ誤解されるわ


ウジョーラ「ははっ、そりゃスマンかった。俺はウジョーラ。呼びにくいからなジョーラでも、ウジョーでも好きに呼んでくれ」


「じゃあ・・・・ジョーさんで!また来ます!お元気で!」

手を振って元気よく出て行く彼女



ウジョーラ「ジョーって・・・・・いいじゃねえか。ははっ」

友達にもそんな風に呼ばれた事ないな、だが良いじゃねえか

笑顔で彼女が置いてったポーションを見る

特級ポーションを一本取って、ギルドの1階へ向かう


今回の討伐で一人大怪我が出た

足を喰われて、大半の肉を失って歩くのも出来ない

医者からは切断をしようと言われたほどだったが、上級ポーションを使って血を止めて表面が戻るくらいには回復した


特級ポーションを手配しようと頑張ったが、こんな小さな町にあるはずがない

しかし、これなら治せるかもしれない


「ギルドマスターどうしました?」

ウジョーラ「これを」

医師に特級ポーションを渡す

「こ、これは!」

ウジョーラ「特級ポーションだ、飲ませてやってくれ」

「は、はい!」

ベッドに寝る男は、膝からふくらはぎにかけての肉がごっそりない


背中に枕を入れて、男を起こす

「な、なんだ?」

怪我のせいで熱がでて、かなり意識があいまいな男


「ほら、これを飲んで」

「んっ、ぐっ」

口に入れると少しずつ飲む男、すると足が光り出す

みるみる足の肉がついていき、皮膚も再生した


「す、すごい!さすが特級!」

「と、とっきゅう・・・?」

「治りましたよ!」

「治ったのか?」

ウジョーラ「良かったな、あとは安静にしておけ」


部屋を出ていくと、扉の向こうからはすすり泣く声が聞こえた


ウジョーラ「助かった・・・今度会ったらお礼を言わないとな。・・・・・彼女は良い女になりそうだ」

自然と笑顔になる


次はいつ会えるんだろうか、今度こそ身ぎれいな恰好で出会わないとな

ヨレヨレの恰好で仕事しないと誓ったウジョーラだった


ありがとござした!

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もうすでにいい女なのにねぇ
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