里長とお話
エルフの里について、囲まれて弓を向けられはしたけど
ベルヌルトさんのお母さん・・・・つまり、ここの里長さんがいて静止してくれた
戦うつもりは無かったけど、向こうから攻撃してくる事もありえるので
いつでもバリアを張れる状態ではいよう
里長の後ろについて、里の真ん中を歩いていく
大きな木を支えに、高い所に家を作って住んでいるようで
地上には小屋くらいしかない、他は全て畑だ
珍しいものばかりできょろきょろしてしまう
ベルヌルト「里は変わりないみたいですね」
里長「そうでもないよ、人口は減っていく一方だ。このまま緩やかに消滅していくのかねぇ・・・」
ベルヌルト「え?そんなに深刻なんですか?」
里長「ああ、今いる子供は1人だけだよ。それでも久しぶりの子供だからね、大事に育ててるよ」
「一人・・・・」
かなり深刻みたいだ
ベルヌルト「どうしてそこまで減ったんですか?」
里長「さあ?明らかに妊娠しにくくなっている感はあるね。これも神の思し召しかもしれないね」
どうやら自然な事だと受け入れているって感じだな・・・・
ベルヌルト「こればっかりは授かり物ですからねえ」
どうやらエルフには妊活的な考えはないのかな?
後で聞いてみようかな
里長の後ろについて、階段を上がっていく
木に沿って螺旋階段風に上がっていくと、踊り場に出た
そこから渡り廊下になっている吊り橋を歩いて行く
吊り橋なので、そこそこ揺れる
これは高所恐怖症にはキツイだろうな、きっと
ベルヌルトさんがアルジャンに乗っても平気だったのは、ここの生活に慣れていたからかも
毎日こんな高所で生活していたら、高い所も平気になりそうだ
里長「ここだよ、どうぞ」
ベルヌルト「変わってませんねえ」
慣れた様子で家の中へ入って行くベルヌルトさんに続いて入っていく
「お邪魔します」
私たちの後ろには、里長の護衛なのか2人がずっとついて来ている
その2人も家の中へ一緒に入って来て、里長の座る椅子の後ろへ立つ
家の中は意外と広い、ほとんど木でできているので、落ち着いた雰囲気で
入ってすぐにリビング、ダイニングって感じだ
端にはキッチンもある
里長の座る応接セットの対面に、ガロルドと一緒に座る
ベルヌルトさんは里長と私たちの間に座って、テーブルを囲む形だ
ベルヌルト「では紹介からしますね、冒険者でSランクパーティ『アルラド』のお二人です」
「ルラです」
ガロルド「ガロルドだ」
里長「ベルヌルトの母で、ここの里長リルアルトだよ。里長でもリルアルトでも好きなように」
ベルヌルト「彼らを連れて帰ってきたのには訳がありまして・・・・」
里長「聞こう。話しておくれ」
ベルヌルト「実は・・・・」
かくかくしかじか
ベルヌルトさんが説明をしてくれる
ここ以外で起こっていること、獣人亜人が狙われていて
その原因は教皇国が関係している事
放っておけば、いつかここにも攻めてくるかもしれない
外で暮らすエルフたちの為にも力を貸して欲しい
難しい顔で全てを黙って聞いていた里長
ベルヌルト「一連の事件を解決に導いたのがこのお2人で、もっと大きな事件、ひいては戦争に発展する前に止めたい。なので、ここで手に入れられる知識があれば欲しいというのが目的です」
里長「ふぅ・・・・なるほどね・・・・それはいつかこの里にも危害が加わるかもしれないね・・・・。でも、知識とは?具体的にどういった事を求めているんだい?」
「まずは子供を探すために使えそうな魔道具や魔法があれば勉強したいなと思いまして、魔力を辿る方法や、痕跡を辿る魔法などがあれば役に立つんじゃないかと思っています。あとは、離れた場所でも、その場の音や話し声が聞こえるようにできたり、映像・・・目に見えるものを写しだすものや、特定の人物の持ち物の場所がわかるものなどができたらいいなと思っています」
里長「なるほど・・・・誘拐された子を探すためのものだね。言っている事はわかるが、人族が習得できるものでもないと思うが?ベル、どういう事だい?」
そんな魔法なんてないって言わない・・・・きっとあるんだ
これは説得するしかない
ベルヌルト「彼女は特別ですよ、Sランクを掲げるにふさわしい才能を持っています。ルラさんが使える魔法は多岐にわたります」
里長「こんな少女が?人間なら10代そこそこの年齢だろう」
ベルヌルト「そうですね、ですから特別なんです。ね?ルラさん」
「自分が特別かはわかりませんが、魔法は得意です。おそらく全属性適性で、一般的に使える魔法とは違った魔法も使えたりします」
ここでは隠す必要もないだろう、全力でアピールしないと
里長「全属性適性?冗談だろう?人族でそこまでの者はいた事がないはずだ」
里長の後ろの護衛も表情が険しい
どうやら信じてもらえないみたいだ
ガロルド「ルラは特別だ」
ベルヌルト「信じられないのなら見せて差し上げては?」
「はい」
手を広げて、手のひらを上に向けた
そして、指にひとつずつ魔法を出す
人差し指で火を、中指に風を、薬指に水を、小指に石を、親指に雷を
ひとつ、ふたつ、みっつ、4つめで明らかに表情が変わる
そして5つ目で立ち上がる、里長
パッと手の上から出した物を消した
「こんな感じです」
里長「・・・・・・・雷まで・・・・恐ろしいね・・・・」
ゆっくりと椅子に座り直す里長
ベルヌルト「驚くのはまだ早いです」
里長「なんだって?まだ何かあるのかい?」
ベルヌルト「彼女には従魔がいます」
里長「どこにいるんだい」
訝しげな表情だ
2匹は今、寝ているが仕方ない
「ちょっとごめんね、起きてくれる?」
フードに手を入れて2匹を出して来る
「きゅうー」「きゅぃー」
眠そうに丸まっていたが、起きてきた
里長「ド、ドラゴン・・・・それに聖獣じゃないかい?この小さな子は・・・」
ベルヌルト「おそらくそうでしょうね、ドラゴンもただ者ではなさそうですが・・・・私はこのドラゴンちゃんに乗せてもらってここまで来ました」
里長「なんだって!?ドラゴンに乗った!?」
ベルヌルト「はいー、それはもう素敵な空の旅でした!こう見えても人が2人乗れるほどには大きくなれるんです。いつもはこの大きさで可愛らしいんですけどねー」
里長「・・・・・・大きくなれる・・・そりゃ神龍じゃないのかい?」
わかるんだろうか・・・・
「ちょっとよくわからないですけど、鑑定の魔道具で見た時は神龍かもしれないって感じで出ていました」
里長「は、ははははは・・・・神龍だね、きっと・・・・。どうやって出会ったんだい?」
「出会った時は卵で、今にも消えちゃいそうだったんで魔力を注ぎ続けたんです」
里長「なんてこったい・・・・・」
顔に手を当てて、天を仰ぐ里長
何か悪い事だったんだろうか・・・・
里長「この子はあんたを母親だと思っているよ、神龍は転生するんだ。きっとその卵から転生するつもりだったんだろうけど、何らかの理由で上手く行かずに卵のままだったんだろう・・・」
「卵のすぐ傍には大きなドラゴンの亡骸がありました・・・・」
里長「それだね・・・きっと転生に必要な魔力が足りなくて、そこで止まってたんだろう。そこにあんたが来て、魔力を与えた・・・・・だが、並みの魔力量じゃなかったはずだ」
「ええ、凄かったです。毎日魔力を使い切って、気絶するまで注いでました」
里長「あんたバカなんだね・・・・バカと天才は紙一重っていうしね・・・・」
ベルヌルト「並みの魔力ではできない芸当ですね。しかし卵から育てたとは・・・可愛いはずです」
里長「わかったよ・・・・あんたは特別なんだろうさ。でも、それとこれとは話が違う。知識ってのは悪い事にも使える。この里も滅ぼしかねない。里のエルフでもない奴に教えるにはそれ相応の理由と根拠が必要だ」
ベルヌルト「彼女はこの大陸を救おうとしています。それでは足りないのですか?」
里長「ああ、足りないね。救うって事は教皇国を潰すって事かい?その後は?あんたがこの大陸の王にでもなるつもりかい?」
教皇国は解体させたい、でもそれは潰すって事なのかもしれない
そして、その後は?どうしたいだろうか・・・・
「私は・・・・・美味しい物が好きなんです」
里長「はあ?」
「そして、それは色んな人達がいるから生まれて、広がっていくものだと思っています。国も人種も違っていいんです。だから、どこかを、誰かを迫害する国家を許せません。なので教皇国は解体して、その歪んだ教義を潰したい。戦争が起きる前に・・・・・それは難しい事で、教皇国で『人族至上主義』を信じている人たちを目覚めさせる方法もまだ見つけられていませんが、方法がないのなら・・・・・・・・・あっちの人間がこちら側に2度と来れないように、天に届くほどの壁を作るか、大陸を割ってしまってもいいと思っています!」
方法が無いわけじゃないだろう
ベルリンの壁じゃないが、今なら大陸を分断することも、時間をかければできそうな気がする
こっちに害が及ぶのなら、潰すか、関われないようにするかだ
里長「大陸を割る・・・・・」
ベルヌルト「天に届くほどの壁・・・・」
しん・・・・・・と、みんな黙ってしまう
ダメだっただろうか?
里長「あーーーーはっはっはっはっはっは!」
ベルヌルト「ふふふっふふふふふっ」
「くっくっくっくっくっ」「ぐっくっくっくく」
ガロルド「ぶっふーー」
後ろの護衛や、ガロルドまで笑っている
なんでなん??
ありがとござした!




