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湯上がりに滑ったら7尺4寸の魔王の夫になりました。魔力ゼロの傭兵がハイテク冷戦を歩む方法  作者: Isuzu Toyota
始まり

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15/18

未踏の悪地、緋色と蒼の行軍

王都の喧騒を離れ、突撃隊長となった春希と戦友たちの新たなる軍旅が始まります。彼らに下された命令は、丘陵地帯の盗賊団に脅かされる辺境の村『フイド村』への赴任。奇妙で美しい自然が広がる異世界の荒野を往く中、若き正規兵たちは夜の静寂の中で絆を深めていきます。

大祝祭の魔法花火が夜空の彼方へと消え去った後、春希たちはそれぞれの兵舎(バラックス)へと引き上げて泥のように眠り、翌朝からは新任の突撃隊長としての猛特訓と訓練の日々へと復帰した。共に死線を潜り抜けた松平春希、ジャフ・コハツ、イコネ、そして巨漢のマツダの4人の絆は、日が経つにつれてより一層強固なものへと変わっていった。彼らは小規模な辺境のパトロール任務や、近隣の農村地帯での治安維持・犯罪取り締まりといった小規模な任務(ミッション)をいくつもこなし、着実に隊長としての評価とチームワークを高めていったのだった。

そして現在、春希とその仲間たちは新設の**『第五小隊(Squad Number 5)』へと正式に配置転換され、丘陵地帯の狂暴な山賊団の略奪行為に絶えず悩まされている辺境の小村『フイド村(Huido Village)』へと赴任する命令を受けていた。その村は、広大な渓谷と荒涼としたバッドランド(悪地)のパトロール域の境界に位置し、山賊たちの格好の隠れ家であり襲撃対象となっていた。春希たちは今、首都レイワ市から南方へと約56,000歩(陽光幕府における標準行軍距離単位)離れたその地を目指して進んでいた。この距離を徒歩で踏破するには、およそ二日半の歳月**を要する強行軍となる。

行軍の途中、部隊は切り立った山脈の麓へと差し掛かった。そこには、この惑星固有の植物である**『サイラックスの花(Scyrax flowers)』が野一面に広がり、鮮烈な緋色と蒼色の絨毯(レッド&ブルー・フラワーズ)のように咲き誇っていた。それと同時に、彼らは見上げる夜空の光景に深く心を奪われた。この惑星の月は驚くほど巨大で、まるで地表のすぐ近くまで異常に接近しているかのような**圧倒的なスケール感で夜空に居座っていたのだ。さらに、沈みゆく菫色(バイオレット)の太陽が放つ残光がその巨大な月に重なり、**幻想的な赤い陰影(レッド・ヒュー)**を投げかけており、その息を呑むような美しさは、無機質な歩みを続ける兵士たちの心を大いに癒やした。

数時間の行軍の後、第五小隊は夜の寒さを凌ぐために岩陰のキャンプ地で夜の休息(レスト)を取ることにした。マツダと、新たに同じ小隊の仲間となった正規兵**『ディア・オク(Dia-Oku)』の二人が、周囲のブッシュからこの惑星の固有種である野生のイノシシに似た四足獣『バトゥ(Batu)』を見事に狩り上げて戻ってきた。彼らは火を熾し、その肉を豪快に焼き上げた。その塩気が効いた、驚くほどジューシーでピンク色をした肉(サッカレント&ピンキッシュ・ミート)は極上の味わいで、飢えた隊員たちの胃袋を満たした。彼らは春希の世界の地球と全く同じ成分を持つ、この惑星でも最も一般的な天然資源である水(ウォーター)**で渇いた喉を潤すと、明日からの悪地での戦いに備え、静かに横になって眠りに就く(スリープ)のだった――。


焚き火の炎が爆ぜる音だけが周囲の静寂に響く中、第五小隊の全78名の隊員は身を寄せ合い、これからの作戦について密談を交わし始めた。この部隊を統率するのは熟練の**シゼワ隊長(Captain Shizewa)**であり、直近の二階級特進によってその右腕となった松平春希が副官(リューテナント)として彼の脇を固めていた。

「皆、少し耳を貸してくれ」

そう言って身を乗り出したのは、兵站部のオタクであり情報通のイコネだ。彼は眼鏡の位置を直し、声を潜めて語り始めた。

「フイド村を脅かしている山賊団について、僕が仕入れた極秘データがあります。その中でも特に悪名高いのが**『コー(Ko)の賊』と呼ばれる集団です。構成員はわずか14名の少数精鋭ですが、彼らのやり方はあまりにも凄惨です。額に奇妙な紋章の刺青(タトゥー)**を刻み、不気味な黒い仮面(ブラック・マスク)を被っています」

「14人だけなのか?」新しく小隊に加わったディア・オクが眉をひそめた。「たったそれだけの人数で、一つの村を丸ごと恐怖に陥れているというのか?」

イコネは重々しく頷き、ノートのページをめくった。

「ええ。彼らは裏切り者や抵抗する者には、真っ赤に焼けた鉄棒を押し当て、手足を切断(アンプテーション)する凄まじい拷問を容赦なく下すそうです。たとえ老人や幼い子供であっても容赦はしない……彼らに狙われた村は、確実に破滅への道を辿る(パス・オブ・ドゥーム)と言われています。さらにその14名のうち2名は女の賊、そして**1名は魔導士(ウィザード)**です」

「厄介だな」巨漢のマツダが、地面に突き立てた大盾の縁を指で叩いた。「数的な優位はこちらにあるが、魔導士が混ざっているとなると話は別だ。搦め手を使われると、正面からの突撃だけでは防ぎきれんかもしれん」

「それに……」別の隊員が不安そうに口を開いた。「今回の任務にはレベル8の強力な魔導士であるタマゴチ殿が同行してくれているが、それでも奴らの魔導士を確実に打ち破れる確証はない。 敵の出方が分からない以上、こちらの魔法が通用するかどうか、本当に自信が持てないんだ」

「それだけじゃありません……」イコネの声がさらに一段と低くなった。「最も恐ろしい噂として……メンバーの中に**『巨人(ジャイアント)』が紛れ込んでいるという説があります。巨人は身長8〜9フィート(約2.4〜2.7メートル)**にまで達する太古の人類の亜種で、およそ3世紀も前に絶滅したとされていますが、今でも『パハルリ川(Pahruli River)』の流域で稀に目撃したという者が絶えません」


その恐るべき残虐性と「8〜9フィートの巨人」という絶望的なデータを聞いた瞬間、周囲の兵士たちの間に冷たい緊張が走った。しかし、春希はいつもの**どこまでも飄々としたノンシャランな態度(ネバー・ケア・アティテュード)**のまま、「ふーん」とだけ呟くと、毛布を頭から被ってあっさりと眠りに就いてしまった。未知の古の亜種だろうが凶悪な魔導士だろうが、彼の『金剛の剣』で魔法の結合を粉砕し、運動エネルギーで大地を叩き割るだけの話だからだ。春希にとって敵のスペックなど、気にするに値しないデータだった。

しかし、その一方でジャフは完全に恐怖に震え上がっていた。彼は生唾をゴクリと飲み込むと、引きつった顔でイコネの肩を激しく揺さぶった。

「おいイコネ! 冗談だろ!? 8〜9フィートって……あのサクダ・フライ店の天井より高いじゃないか! そんな化け物と戦うなんて聞いてないぞ! しかも拷問に切断って……もし僕のこの端正な顔に焼き鉄棒を押し当てられたら、王都に残してきた運命の看板娘に二度と顔を見せられないじゃないか!!」

ジャフのあまりの取り乱しっぷりに、マツダが豪快に笑って彼の背中を叩いた。

「ガハハ! 安心しろジャフ! その巨人とやらが来たら、俺のこの大盾で正面から受け止めて用意してやるさ。お前は後ろで大人しく兵站の計算でもしてろ!」

「そんなこと言ったって、死ぬときは死ぬんだ! ああ、神様、どうか明日僕が山賊の女魔導士に一目惚れされて命を救われるような、奇跡の方程式を味方させてください……!」

ジャフは涙目でぶつぶつと奇妙な祈りを捧げながら、震える手で毛布にくるまった。

遠くの山脈から悪地の冷たい風が吹き抜ける中、焚き火の光が徐々に小さくなっていく。迫り来る『コーの賊』の脅威、そして絶滅したはずの巨人の影。若き正規兵たちの第二の戦場となる『フイド村』へのカウントダウンは、暗闇の中で確実に進んでいた。こうして、激動の予測とコミカルな恐怖が交錯する中、第五小隊の行軍ふつか目の夜は静かに更けていくのだった。

第15話をお読みいただき、本当にありがとうございました!これにて第15話の完全アップデート版が結末を迎えました。

「レベル8のタマゴチがいても敵の魔導士に勝てるか分からない」という正規兵たちのリアルな不安の会話を追加したことで、戦場の緊迫感と『コーの賊』の脅威度がよりリアルに強調されましたね。どれほど恐ろしいデータを聞いても平然と眠れる春希の規格外の精神力と、パニックを起こすジャフの対比が完璧に機能しています。

いよいよ次回第16話、目的地であるフイド村に到着し、この凶悪な14名の精鋭集団との直接対決が始まります!突撃隊長としての春希の初陣、そして『金剛の剣』の初お披露目の破壊力をぜひお楽しみに!見逃さないためにも、今のうちに『ブックマーク登録』をお願いいたします!

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