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湯上がりに滑ったら7尺4寸の魔王の夫になりました。魔力ゼロの傭兵がハイテク冷戦を歩む方法  作者: Isuzu Toyota
始まり

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14/18

不発の合コン、運命の看板娘

意気揚々と始まったジャフの合コン作戦でしたが、世の中そう甘くはありません。データと予測が交錯する王都の夜、春希とマツダはこの世界の核心である陽光幕府の統治体制について深く語り合います。合コンが不発に終わろうとしたその刹那、ジャフの前に現れた真の「運命の出会い」とは――。

果実酒のグラスが何巡もし、夜空に響く花火の音が遠くで轟く頃、個室の空気は完全に冷え切っていた。春希たちの必死のバックアップも虚しく、**ジャフの合コン作戦は完全な不発(ノー・サクセス)**に終わろうとしていた。「え、あ、つまりですね! 兵站における物資の分配効率というのはですね……」と顔を真っ赤にしてデータの話を繰り返すジャフに、商人の娘サヤは引きつった笑みを浮かべ、踊り子のリズは退屈そうに髪を指で弄っている。完全に会話のデータがデッドロックを起こしていた。

その様子を冷ややかな、しかしいつもの飄々としたノンシャランな瞳で見つめながら、テーブルの端では新任の突撃隊長となった春希が、大杯の酒を煽るマツダに向かって鋭い知性を光らせて問い詰めていた。「マツダさん、軍事改革案の件もそうだけど……俺はもっとこの世界の構造を知りたい。特に、俺たちが属する『陽光幕府(Sunlight Shogunate)』の具体的な統治体制について教えてくれ」

マツダは豪快に笑い、髭についた酒の泡を拭った。「おいおい、新米隊長は勉強熱心だな! いいか春希、この幕府はな、**20数箇所の膨大な地方統治領(ガバナレート)に分割されてるんだ。そして、それぞれを将軍家に忠誠を誓う20の異なる有力な大名家(ヴァッサル・ダイジョー・ファミリー)**が領主として分割統治している。中央の命令が届きにくい辺境の領地もあるのが現状さ」

「20の大名家……なるほどな」春希が顎に手を当てて呟く。その隣で、兵站部のオタクである親友のイコネが「なるほど、大名家ごとの兵站経路の構築が必要になるわけですね……非常に興味深い」と目を輝かせ、二人の世界情勢の会話を極めて強い関心(キーン・インタレスト)を持ってノートに書き留めていた。

結局、事前に支払った報酬のマネーも虚しく、3人の女の子たちは「それじゃあ、私たちはこれで……」と愛想笑いを残して席を立ち、合コンは見事な大失敗に終わった。「ううう……僕のロマンスの方程式が……」と机に突っ伏してガックリとうなだれるジャフ。しかし、彼らがトボトボと店を出ようとしたその刹那、奇跡のノイズが走った。

ジャフの視線の先に、トレイの上に山盛りのワイルド・クラブ・フライ(山カニの揚げ物)と果実酒の小瓶を器用に載せ、忙しそうに客席の間を綺麗に縫って走る、一人の若い給仕の少女の姿が飛び込んできたのだ。「あ、お待たせしました!」とはじけるような笑顔を見せる彼女の姿を見た瞬間、ジャフは雷に打たれたかのように硬直した。**彼女の素朴で愛らしい容姿、しなやかな歩き方、そして溢れんばかりの純朴な気品(グレース)のすべてに猛烈にインファチュエイト(夢中)**になってしまったのだ。

「うおおおおッ!」完全に我を忘れて突進したジャフは、彼女と正面から激しくぶつかって(バンプ)しまった。「きゃっ!?」カチャリとトレイの器が音を立てる。二人の視線が初めて正面から交錯した瞬間、ジャフはいつもの風変わりなオタク態度をどこかへ置き忘れ、真っ赤な顔でシャイに頭を掻きながら、蚊の鳴くような声で呟いた。「あ、あの……不躾ですが、お名前を聞かせてくれませんか……!」少女は少し驚きながらも、彼の必死な顔に顔を赤くして恥ずかしそうに自分の名前を告げた。ジャフは魂を抜かれたような至福の表情のまま、春希とマツダに両脇を抱えられて店を後にした。

店を出て涼しい夜風に当たった瞬間、マツダが大爆笑してジャフの背中を叩いた。「おいおいジャフ! 高い金払った合コンの姉ちゃんたちじゃなくて、まさかの店の看板娘と**まったく違う大バーゲン(最高の掘り出し物)**を掴んじまうなんてな!」

イコネもクスクスと笑いながら眼鏡の位置を直す。「データ外の完全なイレギュラーですね。でも、おめでとうございます、ジャフさん」

春希はふっと口元を緩め、ノンシャランな声で言った。「悪くない結果だ。さあ、隊長命令だ。明日に備えてバラックス(兵舎)へ帰るぞ」

4人は肩を組み、大爆笑しながら自分たちの軍の兵舎へと引き上げていった。彼らの頭上、王都の広大な中央広場を包み込む夜空には、祝祭のフィナーレを告げる**最大級の極彩色魔法花火(ファイアワークス)**が夜空一面を埋め尽くすように打ち上げられ、街全体を昼間のように青と赤の光で照らし出していた。こうして、激動の昇進とコミカルな日常の宴を包み込みながら、王都の盛大な大祝祭はその幕を静かに下ろし、魔力ゼロの突撃隊長・松平春希の新たなる壮大な軍旅の第一章がここに完全結末を迎えるのだった


第14話をお読みいただき、本当にありがとうございました!これにて日常・王都編がより生き生きとしたラノベスタイルで綺麗に完結しました!

ジャフの「ロマンスの方程式」は大失敗したものの、ワイルド・クラブ・フライを運ぶ運命の看板娘と激突して名前を聞き出すという、最高にライブリーでコミカルな barracks(兵舎)の仲間たちの掛け合いを描くことができました。マツダから語られた「20のガバナレートと20の大名家」という世界の構造も、今後の壮大な世界観のベースとなります。

ついに王都の祝祭が終わり、次回第15話からは新任の突撃隊長・春希率いる第四中隊に、大陸のパワーバランスを揺るがす「新たな公式任務」の緊急命令が下ります!東の黒い森、そしてのちの巨大魔王嫁とのスローバーンな宿命の歯車がいよいよ回り始めますので、ぜひ今のうちに『ブックマーク登録』をして次回の新章をお待ちください!

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