黄金の星章、仕掛けられた合コン
北海岸の孤島での激闘を制し、第四武装中隊は伝説の秘宝「無限の聖杯」を手に王都へと凱旋します。魔力ゼロでありながら大金星を挙げた松平春希に授けられる最高の名誉と、二階級特進。将軍雪野マダタ二世の覇気のもとお祭り騒ぎに沸く王都の影で、気心の知れた戦友たちが仕掛けるコミカルな婚活作戦が幕を開けます
荒々しい北海岸での激闘と伝説の剣との邂逅から丸二日間の過酷な行軍を経て、第四武装中隊はついに陽光幕府の心臓部である王都『レイワ市』の主営へと見事に凱旋した。民衆の歓声が響き渡る中、特出して称えられたのは他でもない、魔力を持たぬ異端の少年・松平春希だった。その卓越した知性と超人的なキネティックパワーで大魔導士を退けた彼の勇姿は、最高権力者である将軍『雪野マダタ二世(Shogun Yukino Madata II)』の耳に届き、盛大な謁見の儀が執り行われた。将軍の直々の覇気のもと、春希は誉れ高き『黄金の星章』を授与され、これまでの突撃兵から一気に二階級特進となる『突撃隊長』の地位へと抜擢されたのだった。この歴史的な大勝利を受け、王都は将軍家の全面的なバックアップのもとで一日中お祭り騒ぎの連日大祝勝会へと突入した。通りには色鮮やかな屋台が無数に立ち並び、夜空には極彩色の魔法花火が絶え間なく打ち上げられて街全体を照らし出していた。そんな賑やかな喧騒の中、数日間の緊張から解放されたマツダ、兵站部所属で親友のイコネ、そしてジャフ・コハツの3人は、浴びるように酒を飲み、肉を喰らう凄まじい大食漢の宴を楽しんでいた。春希も彼らと共に王都の通りをそぞろ歩いていたが、地球の家族を想う静かなストイックさゆえか、はたまたノンシャランな気質ゆえか、食欲があまり湧かず、ほとんど食事に手を付けないままどこまでもクールな表情で歩いていた。街の中心部に位置する「中央居住区第二拡張地」の未舗装の土道を歩いていた4人は、香ばしい匂いを漂わせるサクダ・フライ専門店(Sakuda Fries Restaurant)の前に差し掛かった。すれ違う人々が花火を見上げて歓声を上げる中、春希はいつもの飄々としたノンシャランなトーンのまま、隣を歩く男に向けて「ジャフ、お前のためにブラインド・デート(合コン)をセッティングした」と爆弾発言を投げかけた。唐突な言葉にジャフ・コハツは目を丸くし、「ぶらいんど……でーと? 春希、それは一体何のことだ? 兵站の新用語か何かか?」と真顔で問い返し、春希が元の世界の『合コン』の仕組み――男女が素敵な出会いを求めて席を共にする交流の場であることを淡々と説明すると、後ろからついてきていたマツダとイコネが待ってましたとばかりにニヤリと笑って反応した。ジャフは「な、何てことするんだ!」と激しく狼狽したものの、最終的に可愛い女の子が自分の奥さんになって落ち着いてくれるのであれば結果オーライだと考え直し、赤面しながらもその作戦を受け入れることにした。春希の案内で彼らが足を踏み入れたのは、地元で人気の格式高いワインバー(Wine Bar)であり、店内には芳醇な香りが漂い、この地域の名物である特製のフルーティーな果実酒(Fruit Liquor)がガラスの器に注がれて運ばれてきた。奥の個室のテーブル席では、春希が手配した3人の地元の女の子たちがすでに彼らを待っており、1人目は大きな琥珀色の瞳と明るい茶髪が特徴的で活発な商人の娘サヤ(Saya)、2人目はイコネと同じ兵站本部の図書館で受付をしている黒髪のおとなしい文学少女ミナ(Mina)、3人目は王都の劇場で踊り子をしている抜群のスタイルを持つ華やかなお姉さんタイプのリズ(Liz)であった。4人が席につき、春希が「彼が今日の主役のジャフだ」とクールに紹介すると、ジャフの緊張は最高潮に達した。人生初の女性陣との対面を前に完全にシャイになってしまったジャフは、ガタガタと震える手で果実酒のグラスを持とうとし、その凄まじい興奮と緊張のあまり果実酒をテーブルの上に少し溢して(スピル)しまい、「あわわわ、申し訳ありません!」と真っ青になって謝ったが、3人の女の子たちは特に気にする様子もなく、上品に微笑みながらハンカチで机を拭いた。それもそのはず、彼女たちは春希たちから事前に相応の報酬を受け取って席に着いており、割り切った大人の対応ができるエリートたちだったのだ。ジャフは溢れた果実酒を拭きながら、胸の中で(この3人のうちの誰か1人でも、僕の魅力に恋い慕ってインファチュエイト(夢中)になってくれないだろうか……!)と淡い期待を抱き、真っ赤な顔で果実酒を口に運んだ。
第13話をお読みいただき、本当にありがとうございました!これにて第13話は完全結末です。
お祭り騒ぎの王都の裏で繰り広げられた、嫁探しに必死な風変わりな正規兵・ジャフの大パニック合コン大作戦、楽しんでいただけましたでしょうか?春希が仕掛けたサヤ、ミナ、リズという三者三様の魅力的な女の子たちを前に、果実酒をこぼしてしまうジャフのシャイなヘタレっぷりが最高にコミカルでしたね。
第一章のシリアスな戦いから一転して、第二章の幕開けは親友のイコネやマツダたちとの最高の日常回となりました。しかし、このコミカルな宴の時間が終われば、新しく突撃隊長となった春希にはさらなる激動の任務が待ち受けています。物語の中盤に向けてじっくりと紡がれるスローバーンなロマンスや、巨大な女魔王との運命の交錯もこれから少しずつ動き出します。「ジャフの恋の結末が気になる!」「春希の次なる無双劇が見たい!」という方は、ぜひ今のうちに『ブックマーク登録』をお願いいたします! 次回の第14話もお楽しみに!




