第97話 白砂は、足跡を信じすぎる
白砂が撒かれた。
迷宮の入口に、さらさらと。
乾いた音がした。
戻り水を疑う者が持ち込む、白い粉。
水が流れれば、砂が濡れる。
水が戻れば、砂の筋が崩れる。
血が逆流すれば、砂に赤い線が残る。
つまり人間どもは、戻り水を見るための目を持ち込んだ。
「……厄介だな」
《はい》
「厄介だぞ」
《はい》
「だが、向こうが自分で撒いたものだ」
《利用可能です》
「そういうことだ」
白い部屋の監視面には、調査侵入班の姿が映っていた。
人数は五人。
前衛一人。
盾持ち一人。
封迷技師見習い一人。
水音を測る小さな鐘を持った女が一人。
そして、若い測量士。
聖杭技師はいない。
だが、指示は残しているのだろう。
彼らの動きは前より慎重だった。
まず入口に白砂を撒く。
それから細い鎖を垂らす。
鎖の先には、小さな白い鐘。
水が動けば鳴る。
戻り水が逆流すれば、音が戻る。
そういう道具か。
「マネ」
「ギ」
「鐘の音を覚えろ」
「ギィ」
「本物より少し遅らせて鳴らせ。戻ったように聞かせるな。逆に、戻っていないように聞かせろ」
「ギ?」
「分からん顔をするな。余も少し分からん」
《説明します。実際の戻り水の音を隠し、通常水流のように偽装するという意味です》
「それだ」
「ギィ!」
マネが喉を震わせる。
ちりん。
ちりん。
白い鐘そっくりの音。
少し高い。
少し遅い。
マネは馬鹿ではない。
いや、ゴブリンなのでかなり馬鹿だ。
だが、音だけは覚える。
その一点では、余の配下の中でもかなり使える。
「影縫い大蜘蛛」
天井の奥で、巨大な脚が動いた。
「白砂を全部消すな。人間に見える程度に残せ」
糸が垂れる。
細い。
目に見えぬほど細い。
その糸が、白砂の一部を静かに拾い上げた。
足跡の端。
水の線の横。
進路を示すような筋。
残す。
消す。
残す。
消す。
それだけで、白砂の記録は嘘になる。
若い測量士が膝をついた。
「……砂が、変です」
来た。
やはり気づく。
前衛が苛立ったように言った。
「濡れていないだろう」
「濡れていないのに、筋が途切れています」
「風だ」
「洞内に風はありません」
盾持ちが周囲を見た。
「糸か?」
いい判断だ。
だが遅い。
カゲヌイが、白縫い針を構えた。
白砂の上に落ちた前衛の影。
その影の縁を、針が床下から縫う。
《砂戻しの影縫い、起動》
前衛の足が止まった。
「……あ?」
「どうした」
「足が、動かねえ」
前衛が足元を見る。
見るな。
見たな。
影縫いは、足を止めるだけではない。
止まった者は、足元を見る。
足元を見れば、視線が落ちる。
視線が落ちれば、天井を見ない。
「大蜘蛛」
影縫い大蜘蛛の糸が、すっと降りた。
前衛の首筋に触れる。
前衛が顔を上げようとした瞬間、盾持ちが叫んだ。
「上だ!」
盾が上がる。
糸は盾にかかった。
前衛は助かった。
「ちっ」
《失敗です》
「まだだ」
失敗ではない。
盾が上がった。
つまり、盾の留め具が見えた。
「赤錆噛み」
《待機中》
「盾持ちの左留めを噛め」
《了解》
壁裏の細穴から、赤錆色の小さな影が走った。
赤錆噛み。
灰噛みネズミから変質進化した、迷靄洞の小さな歯。
戦わない。
壊す。
盾の裏側。
白金具の留め。
ぎり。
ぎりぎり。
盾持ちは気づかない。
頭上の糸に意識を取られている。
若い測量士が叫んだ。
「盾を下げないで! 金具を確認――」
遅い。
留め具が外れた。
盾の左側が、がくんと落ちる。
その瞬間、前衛の影縫いが強まった。
カゲヌイの針が、二本目を刺す。
白砂の上に、黒い線が走る。
「足が!」
前衛の膝が折れた。
盾持ちが庇おうとする。
だが盾は傾いている。
その隙間へ、白灰這いが滑り込んだ。
数を減らしたばかりの白灰這い。
だから無駄には使わない。
狙うのは喉ではない。
足具の隙間。
湿灰を流し込む。
「ぐっ、足が熱い!」
「下がれ!」
封迷技師見習いが白い札を取り出す。
まずい。
白光系の簡易封じ札。
灰灯喰い蟲を出すか。
いや、まだ早い。
「マネ」
「ギ」
「鐘」
「ギィ!」
ちりん。
ちりん。
白い鐘の音が鳴った。
だが本物ではない。
マネの音だ。
女が持つ水音鐘が、その偽音に反応して揺れた。
「水が動いてる!」
「どこだ!」
「右――いえ、左? 違う、後ろ?」
音の位置が狂う。
女が振り返る。
封迷技師見習いも一瞬、札を構える手を止めた。
「今だ」
床下の灰灯喰い蟲が、一匹だけ出た。
幼蟲ではない。
生存していた成体。
白光を食える個体。
封迷技師見習いの札が光る前に、灰灯喰い蟲がその札の端へ飛びついた。
ちり、と白い火花が散る。
「蟲!」
封迷技師見習いが札を投げ捨てる。
灰灯喰い蟲は札ごと白光を吸い、腹を膨らませる。
限界まで使うな。
「戻れ」
《灰灯喰い蟲を床下へ退避》
灰灯喰い蟲は戻り水の湿りへ落ち、床下へ消えた。
よし。
今のは消耗ではない。
運用だ。
若い測量士は、戦闘中でも床を見ていた。
足跡。
白砂。
戻り水。
糸で消えた砂の筋。
彼は、息を荒くしながら呟いた。
「砂を……選んで消している」
「何だと?」
盾持ちが叫ぶ。
「水じゃない。糸です。水の流れを見せるための砂が、別の何かに触られている」
「なら焼け!」
「焼いたら、水の跡も消えます!」
いい。
揉めろ。
もっと揉めろ。
だが、若い測量士はすぐ判断した。
「砂を捨てます」
「は?」
「砂を信用するのをやめます。全員、鎖だけ見てください。足元は見ない。影を見ない」
「足元を見ずに歩けるか!」
「見たら止められます!」
こいつ。
本当に厄介だ。
「管理音声」
《はい》
「あいつ、やはり早めに殺すべきではないか」
《生かす方針です》
「今だけ方針を変えたい」
《保留対象です》
「余の声で余を止めるな」
だが、若い測量士を殺すには一手足りない。
奴は前に出ていない。
盾持ちと封迷技師見習いの間にいる。
糸も針も届くが、殺すには浅い。
なら、別の者を殺す。
「前衛を落とせ」
《影縫い継続中》
「湿骨兵」
横穴の奥で、骨が鳴った。
湿骨兵が、槍を構える。
魔力で派手に動かない。
封迷に強い。
物理で刺す。
前衛は影縫いで片膝をついている。
足具に白灰這いの湿灰が入り、踏ん張れない。
盾持ちは盾の留め具を壊され、守りがずれている。
今だ。
「刺せ」
横穴の薄壁が崩れた。
湿骨兵の槍が突き出る。
前衛の脇腹。
鎧の継ぎ目。
赤錆噛みが少し前に齧っていた留め具の隙間。
そこへ、骨槍が入った。
「がっ――!」
前衛が血を吐いた。
盾持ちが叫ぶ。
「引け! 引け!」
若い測量士が即座に鎖を投げる。
前衛の腕に絡め、後ろへ引こうとする。
助ける気か。
なら、その鎖も道具だ。
「赤錆噛み、鎖は噛むな」
《噛まないのですか》
「今は噛むな。引かせろ」
《了解》
前衛は引きずられる。
血が白砂に落ちる。
普通なら、奥へ流れる。
だが戻り水が、ほんの少しだけ動く。
血を奥へ行かせず、足元へ戻す。
若い測量士がそれを見る。
見てしまう。
彼の目が見開かれる。
「やっぱり、戻って――」
「言わせるな」
マネが叫んだ。
「うしろだ!」
声は若い測量士の声だった。
全員が一瞬、後ろを見る。
若い測量士本人も、反射的に振り返った。
その隙に、前衛の体を引いていた鎖へ、影縫い大蜘蛛の糸が絡む。
鎖が少しだけ持ち上がる。
角度が変わる。
前衛の体が横にずれた。
横穴の口へ。
湿骨兵の二撃目が入る。
今度は首。
骨槍が喉を抜いた。
《対象一名、死亡》
《ソウル獲得:二十二》
「よし」
余は短く言った。
派手に喜ぶな。
まだ終わっていない。
だが、殺した。
一人。
確実に。
ソウルが増えた。
迷宮が育つ。
前衛の死体を回収しようと、盾持ちが前に出る。
若い測量士が叫んだ。
「死体を置いて下がって!」
「仲間を置いていけるか!」
「死体を餌にされています!」
その通りだ。
だが、人間は死体を置けない。
前にも見た。
死体は重い。
心にも、腕にも。
「グズ」
入口側で、グズが棍棒を持ち上げた。
「出るな。ただ吠えろ」
「グオオオオオオッ!」
通路が揺れた。
ただの咆哮。
だが、入口側から大型の魔物が来るように聞こえる。
盾持ちが焦る。
「挟まれるぞ!」
若い測量士が首を振る。
「違う、音だけ――」
マネが続けた。
「グオオオオオオッ!」
グズの声を、少し遠くから。
さらに別方向から。
音が増える。
若い測量士の判断が、一拍遅れた。
その一拍で十分だった。
影縫い大蜘蛛の糸が、死体の足へ絡む。
死体を少しだけ奥へ引く。
盾持ちは反射的に掴みに行く。
白砂の上に、盾持ちの影が伸びる。
カゲヌイの針が、その影を縫った。
「しまっ――」
盾持ちの足が止まる。
封迷技師見習いが叫ぶ。
「札を使います!」
「使うな、蟲が来る!」
女が水音鐘を鳴らす。
ちりん。
今度は本物の音だ。
その音に、マネが偽音を重ねる。
ちりん。
ちりん。
ちりん。
本物と偽物が混じる。
水の位置が分からない。
音の戻りが分からない。
若い測量士だけが、耳を塞いだ。
「音を捨てて!」
こいつは毎回、捨てる判断が早い。
砂を捨てる。
音を捨てる。
死体を捨てろと言う。
人間らしさより、生存を選び始めている。
……少し、ロードに近い。
「嫌な奴だ」
『似てる?』
フィルエの声が混じった。
「似ていない」
『そう?』
「似ていない!」
盾持ちを殺せるか。
影縫いで足は止めた。
盾の留め具は壊れている。
死体を掴もうとして、体勢が前へ傾いている。
湿骨兵の槍は届く。
だが、封迷技師見習いが今度こそ札を構えている。
灰灯喰い蟲を出せば吸える。
だが、さっき一度使った。
二度目は警戒される。
ここで追跡者か。
いや、まだ早い。
追跡者は第二層の奥で使う。
逃げ道を覚えさせ、封鎖線の歪みを追わせるために。
「……いや」
余は気づいた。
逃げ道。
今、奴らは逃げようとしている。
封迷箱で固定された外縁。
戻り水で濡れた床。
白砂で記録された足跡。
影縫いで止めた一瞬。
これ全部、追跡路になるのではないか。
「灰刃追跡者」
奥で、灰色の刃が鳴った。
《投入しますか》
「まだ姿は見せるな。封鎖線の歪みだけを読め」
《実戦記録に接続》
灰刃追跡者が、刃を床へ当てた。
封迷箱の白い圧が残した線。
戻り水が乱した線。
白砂の上に残った足跡。
影縫いで止まった影。
それらが、刃に映る。
灰色の刃の上に、細い白線が浮かんだ。
《灰刃追跡者、追跡路補正開始》
「行け」
姿は見せない。
だが、追跡の圧だけが走る。
通路の奥から、ぞわりと冷たいものが流れた。
盾持ちが振り返る。
「何か来る!」
若い測量士が青ざめた。
「違う……来てない。まだ来てない。でも、追われてる」
分かるのか。
厄介だ。
だが、恐怖は入った。
盾持ちが死体を離した。
前衛の死体が床に落ちる。
よし。
「死体を回収」
《白灰這い残数が少ないため、アンデッドゴブリンを使用しますか》
「使え」
通路脇から、アンデッドゴブリンが這い出た。
死んだゴブリンが復活した魔物枠。
鈍い。
臭い。
だが、死体を引きずるには十分。
前衛の死体に群がり、奥へ引く。
盾持ちが叫ぶ。
「返せ!」
戻ろうとした。
若い測量士が、盾持ちの腕を掴んだ。
「行ったら死にます!」
「仲間が!」
「もう死んでます!」
冷たい言葉だった。
だが正しい。
盾持ちの顔が歪む。
その怒りが、迷宮に向いた。
「この、くそ迷宮が……!」
「来い」
余は呟いた。
「怒れ。足元を忘れろ」
盾持ちが一歩踏み込む。
白砂の筋が途切れた場所。
影縫い大蜘蛛がわざと残した空白。
そこに足を置く。
床が沈む。
落とし穴ではない。
浅い。
ただ、足首まで。
そこへ戻り水が流れ込む。
湿灰。
蟲殻。
血。
足が滑る。
盾持ちの体が崩れる。
カゲヌイの針が影を縫う。
湿骨兵の槍が、盾の隙間から突き出る。
胸。
浅い。
致命傷ではない。
「足りぬ」
余は歯噛みした。
殺しきれない。
封迷技師見習いが、ついに札を発動した。
白い光が広がる。
灰灯喰い蟲を出すか。
いや、距離が悪い。
蟲が焼ける。
「戻り水を止めろ」
《停止》
湿りが引く。
白光が水面に反射せず、床へ吸われる。
その代わり、床下の蟲分巣を守る。
盾持ちは負傷したまま、若い測量士に引かれて下がる。
逃げる。
ここで追うか。
「灰刃追跡者」
灰色の刃が、また鳴る。
《追跡路補正、継続》
「一歩だけ追え」
《姿を露出します》
「一歩だけだ」
通路の奥に、落武者の影が現れた。
割れた兜。
灰の刃。
白い封鎖線の歪みを刃に宿した追跡者。
その姿を見た瞬間、調査班の全員が固まった。
盾持ちが呻く。
「何だ、あれ……」
若い測量士が震える声で言った。
「見ないで。逃げて」
灰刃追跡者が、一歩だけ進んだ。
たった一歩。
だが、その一歩は封迷箱で固定されたはずの通路の線を踏み越えた。
封じられた道。
縛られた外縁。
歪んだ白線。
それを、追跡路として読んだ。
《条件達成》
《灰刃追跡者、能力拡張》
《新能力:封線追い》
「封線追い」
《封迷箱・白杭・測量線などにより固定、歪曲された通路情報を追跡路として利用可能》
「つまり、人間が道を縛るほど、追える」
《限定条件下で可能》
灰刃追跡者の刃に、白い線が刻まれた。
進化ではない。
完全な別名になるほどではない。
だが、確かに強くなった。
封じられた道を追う刃。
封鎖線を、逃げ道ではなく追跡路に変える魔物。
いい。
非常にいい。
「今日はそこまでだ」
灰刃追跡者は止まった。
追わない。
追えると見せる。
それだけでいい。
調査班は逃げた。
前衛の死体を置いて。
盾持ちを負傷させたまま。
白砂も、鎖も、鐘も、一部を置き去りにして。
《敵調査班、撤退》
《死亡一名》
《重傷一名》
《獲得ソウル:二十二》
《回収物:白砂袋一、測水鐘一、細鎖二、封迷札破片》
《損耗:白灰這い一体損傷、灰灯喰い蟲一体軽度膨張、赤錆噛み損耗なし》
「悪くない」
《はい》
「いや、よい。今回はよい」
余は監視面を見た。
前衛の死体が、アンデッドゴブリンに引きずられていく。
白砂は影縫い大蜘蛛の糸に絡め取られている。
測水鐘はマネが興味津々で覗き込んでいる。
「食うなよ」
「ギ」
「鳴らすなよ」
「ギィ」
「絶対に鳴らすなよ」
ちりん。
「おい!」
白い部屋の床に、新しい記録が刻まれた。
⸻
新規罠:
《砂戻しの影縫い》
概要:
白砂による水流検知を逆利用し、砂跡を蜘蛛糸で改竄。足元を確認する侵入者の影をカゲヌイが縫う。
追加連携:
・マネによる測水鐘偽音
・赤錆噛みによる盾留め具破壊
・湿骨兵による横穴刺突
・戻り水による血痕逆流
・灰刃追跡者の封線追い
⸻
さらに、別の文字が浮かぶ。
⸻
灰刃追跡者
能力拡張:《封線追い》
封迷箱や白杭によって歪められた通路情報を、追跡路として読む。
⸻
「封じれば封じるほど、追われるか」
《相手にとっては厄介です》
「余なら二度と入りたくない」
《侵入者側の感想ですね》
「だが、あいつらはまた来る」
《はい》
若い測量士は生きて帰った。
戻り水。
砂の改竄。
影縫い。
追跡者。
多くを見た。
だが、全部は見せていない。
灰灯喰い蟲の分巣の本当の位置。
赤錆噛みの走路。
カゲヌイの針路。
第二層の奥。
そして、灰刃追跡者がまだ一歩しか進んでいないこと。
『ロード』
フィルエの声がした。
『若い測量士、たぶん次は報告を分けるよ』
「どういう意味だ」
『一つはギルドに出す報告。もう一つは、聖杭技師にだけ渡す報告』
「ますます面倒だな」
『でも、迷ってる』
「何を」
『死体を置いて逃げたこと』
余は少し黙った。
人間は死体が重い。
心にも、腕にも。
若い測量士は正しい判断をした。
だが、その正しさは人間の中では痛みになる。
「……使えるな」
『悪い顔してる』
「顔はない」
『でも悪い』
「なら、よい」
余は監視面の奥を見た。
灰刃追跡者が、置き去りにされた前衛の死体の前で止まっている。
その刃に、まだ白い封鎖線が残っている。
追跡者は、死体を斬らない。
ただ、見ている。
逃げた者の匂い。
鎖の跡。
白砂の乱れ。
戻り水に濡れた血。
それらを覚えている。
「次に来た時」
余は静かに言った。
「若い測量士の前で、追跡者を走らせる」
《殺害しますか》
「まだだ」
《では》
「選ばせる」
殺される側でいるか。
迷宮に読まれる側でいるか。
それとも――
「迷宮のために記録する側へ回るか」
白い部屋が静まり返った。
マネの測水鐘だけが、小さく鳴った。
ちりん。
今度は、止めなかった。
その音は、次の獲物を呼ぶ鈴のようだった。




