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壁打ちの詩
輝雨を降らす雲のパラソル
虚構に夜想曲が実るは先の話で
点在する感情の花々を数えて暮らし
隠遁者は迷子の老猫を抱き上げる
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愚かなる対岸の弱者が吐いた息は届かず
双眼鏡で覗いた姿は遠くに在る黒点
歪な形状にこそ真実は顕現すこと知らぬ
ブランコ揺らして投げた靴の着地点
頭上の景観は一瞬のみで通り過ぎ
届いた物の裏側、かの者には見えず
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灰釉の海原にて
初期化す私の海馬を仰ぎ見た
哀愁のさざ波を瞼の裏で聴き
無防備な頭もとに白き聖者を置いて
静かに朽壊す世界の膜を魂で感じ
天に運命の花軸を預ける
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【詩の切れ端 一行詩アラカルト】
・言葉の編み図、心の糸をかぎ針に
・眠りへの橋桁、羊の柵越え
・刻の柄杓を用いて逆さまの調べを溶く
・白き祈りを喚ぶ永遠の盃を満たし
・黒曜の歌響かせ音の波紋広げ
・是正の種子を蒔いて悪循環の園に出づる
・捕食者を飼い慣らした善性という名の幼獣
・硬質の殻を破って噛み砕いた蜜溜まり




