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ラズ・フィオーレ

「一体どうすれば…これが四天王なのか…!!」


「でも…やるしか…ないよ」


アモーレとサーロスは、いよいよ限界に達していた。


(このままだとアモーレやサーロスも殺されちゃう…そんなの嫌だ!!!)


「いい加減、くたばりやがれぇぇえ!!!!」

魔女が倒れているアモーレ達を見て、上機嫌に高笑いしている所に、ぺスカは台風の3倍はあるであろう鋭い風を放った。


「グフッ!!」

鋭い風は、見事に魔女に命中して、魔女はそのまま壁に衝突した。


一方、アモーレとサーロスは、近くに居たため、風によって遠くまで飛ばされた。


(攻撃はラズに命中して、その風で2人も避難させられた…いける!!!)


そのままぺスカは、壁にぶつかり怯んでいるラズの所へ高速で近づき、渾身の一撃を顔面にぶつけた。


「グゥッ!!!」

魔女は口から、青い血を吐いた。


そのままぺスカは逆上して、魔女の顔面を殴り続けた。


「あんたの…せいで…皆が…レガーレが!!!!」


魔女の顔からは、どんどん青い血が流れていく。


「やめ…て…お姉ぇ…お姉さん!!!」


魔女がそう叫んだ瞬間、ぺスカはかつて、人間だった頃のラズを思い出し、腕が止まった。


「私が…悪かったよ…とんでない事をしてしまったね…」魔女の目からは涙が流れていた。


「ラズ…」ぺスカは思わず声を漏らした。


「そうだよ…ラズだよ…お姉ぇ…ただいま」


「ただいま?ふざけないでよ!!!なんで…なんであの時、お父さんとお母さんを殺したの…?」

ぺスカはラズの胸元を掴んで、怒りに満ちた顔で質問した。


「…分からない」

魔女はそう答えた。


「分からない?そんな馬鹿な話通用すると思うの?実の親を殺しておいて…!!!」

怒りに満ちていたぺスカの表情に、少し悲しみが混ざった。


「…操られていたの…無理矢理魔王に血を飲まされて…でもお姉ぇに殴られて全部思い出したよ…」ラズは泣きながらそう答えた。


「だったら…お父さんとお母さんを殺したのも…?」


ぺスカがそう言うと、魔女は大声で泣き叫んだ。


「なんてことをしてしまったの…!!!大好きなお父さんとお母さんを…!!!この手で…」


「ラズ…お姉ぇ勘違いしてたみたい」

ぺスカは、泣きながら微笑んだ。


「お姉ぇ…ごめんね」


「いいのよ…ラズ…ただいま」


そう言ってぺスカは、ラズを抱きしめた。


だがその瞬間、ぺスカは腹部から鋭い痛みを感じた。


「…な、なんで… 」


魔女が懐に仕込んでいたナイフで、ぺスカの腹部を刺したのだ。


「ハッハッ…お姉ぇ、いいザマね」


「…なんで…まさかまた洗脳されたの?…戻ってきて…ラズ!!!」

ぺスカは苦しみながらも、魔女に喋りかけ続けた。


「洗脳…?ハッハッハッハッハッハッ!!!! お姉ぇって昔から騙されやすいよねぇ?今後は気をつけなよ、まぁお姉ぇに今後はないだろうけどさハッハッハッ!!」


その光景を遠くで見ていたアモーレは、怒りを抑えられなくなり、無言で魔女の背後に忍び寄った。


「類は友を呼ぶとはよく言ったものね、お姉ぇの友達は皆揃ってバカだもん」


そう言って魔女は、アモーレが攻撃を繰り出す数秒前に、アモーレの方へ振り向き、手のひらを向けた。


「えっ!?」


するとアモーレの全身は灰になって、消えていった。


「どうよ私オリジナルの魔法よ?凄いでしょ」


その光景を目の前で見たぺスカは、思考が停止した。


「このォォォォ!!!」

それを見ていたサーロスは、がむしゃらに突っ込んだ。


「じゃーま」

魔女はそう言いながら、 サーロスの持っていた剣を奪い、サーロスもろとも遠くの壁に吹き飛ばした。


剣は、サーロス貫いたまま壁に刺さった。


「お姉ぇ、冥土の土産に教えてあげるよ、なんで私があの二人を殺して、魔王様に魂を売ったのか」


「…やっぱり、さっきの話は嘘だったのね 」


「むしろよく信じたね、お姉ぇらしいや」


「お姉ぇは昔から皆に愛されたよね、その上に魔術のセンスもあるときた、そんなお姉ぇがプレッシャーになりながら私は生きてきた」


「フィオーレ家は代々1番上の子が跡を継いで、勇者になった…そして皆に愛された」


「だけど残念ながら私は次女だった、 別に勇者になりたかったわけじゃない、ただ人並みには愛されたかった、せめて家族にぐらいはね…長女な上に才能抜群なお姉ぇを見て、あの二人はお姉ぇだけに愛情を注いだ」


「……」ぺスカは心当たりのありそうな顔をした。


「私は見向きもされなかった、外食に行く時も私だけお留守番、毎日固くてカビの生えたパンだけを食べていたよ…日々あの二人に甘えているお姉ぇを見ると、死ぬほどムカついたてさ、でもどうしようもなかった」


「それでね、ある日私は、お姉ぇにあって、私に無いものはなんだろうって考えてみたの、まずは長女であると言う事、双子なのにね、偶然お姉ぇの方が先に出てきたからこうなった、神は私に微笑んではくれなかったのよ…でもこれは変えようのない事実… 」


「次に力、お姉ぇは私以上に魔術を扱えたし、凄く強かった、でも私はどう頑張っても強くなれなかった、才能の無い肉体では限界があった」


「もうダメだと思った、一生お姉ぇには届かないと思っていた、魔王様と出会うまではね 」


「魔王…」ぺスカは息を飲んだ。


「魔王様は孤独に苦しんでいた私に手を差し伸べてくれた、力を与えてくれた…この魔女の力を」


「そして気づいた頃には、この力であの二人を殺していたわ、あなたの前でねハッハッハッ」


「それから思ったの、力こそが全てだって、どんなに孤独でも、たとえ親に見放されたとしても、力があれば、皆従ってくれる、服従してくれる、その快楽が忘れられなかった」


「そして今では、四天王の地位に立っている、魔王様には感謝しかないわ」


「どうやら…力に溺れてしまったそうね」

ぺスカはそう声を漏らした。


「!?家族に愛されて…皆に愛されて…なんの不自由もなく暮らしてきたお前になにが分かる!!!!」魔女は今までにない程に逆上した。


「私は…両親から見放されて一人でいたあなたに、いつも声をかけて手を差し伸べたわ…でもいつもあなたは拒絶した」


「それは…いつもあの二人に甘えているお前が憎かったからだ!!!」


「私だけじゃない、おじいちゃんだって…!!」


2人の元姉妹が、必死に自分の意見をぶつけている時、1人の男が近づいてきた。


その男は、オンブラだった。


(レガーレを含んで2人も死んでしまったか…このままだとパーティが全滅するかもしれないな、めんどくさいが殺るしかないか)


そう思いながらオンブラは、魔女の前へと立った。


「ごちゃごちゃうるさい、俺が終わりにしてやる…!!」


すると魔女が反応するよりも先に、風圧で魔女の頭部を木っ端微塵にした。


だが四天王だけあって、それだけでは死なず、頭部は再生を始めた。


「急に…何するのよ雑魚が!!!」


すると地面の至る所から闇が出現して、そこから魔女が、複数現れた。


その魔女の数は、本体を含めて100人だった。


「私の名前の意味、理解出来たかな?」

魔女の名は、ハンドレッド・フィオーレ、その名の通り、自分を含めて100体の分身を生み出す事が出来る。


「ただの分身とは違う、それぞれ私と同等の力を持っているわ!!!」


あの強力な魔女が100人もいると思うと、普通は恐怖を覚えるものだが、チート能力を持つオンブラには、脅しにもならなかった。


「だからどうした?雑魚が100体群れても変わらないぞ?」オンブラは魔女を挑発した。


「このクソガキがァァァ!!!」

そう言って100体の魔女は、各方面からオンブラに攻撃を繰り出そうとした。


「はいはい強い強い」

魔女を適当にあしらいながら、オンブラはどんどん魔女の分身を倒していく。


「はいドーン」

各分身を一撃で倒して、次の分身の場所へ瞬間移動して、また一撃で倒すと言う事を繰り返している。


そうこうしているうちに、99体の分身は消しずみになり、残りは本体の1人だけとなった。


オンブラは炎で魔女を焼き殺ろそうとした瞬間、ぺスカが声を出した。


「ちょっと待って!」


「なんで、レガーレとアモーレの仇をとりたくないのかよ?」


「最後に教えて、なんで未だにフィオーレを名乗っているの?普通嫌いなら捨てるでしょ?」


ぺスカがそう問い詰めると、魔女は少し悲しそうな表情で笑った。


「…少しは後悔してるよ」


そう言って魔女は、自らの魔術で灰になった。


「ラズ…」


こうして四天王との戦いが終わった。

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