四天王の魔女 降臨
親友 レガーレの死によって、ぺスカの精神状態は限界に達しそうだった。
「レガーレ…」
すると先程、レガーレを捕食した魔獣が、今度はぺスカを標的にした。
無数の腕がぺスカに襲いかかる。
だがその腕は全て、切り落とされた。
「はぁ…はぁ…なんとか…間に合った」
「あんたまで失ったら…もう」
助けに来たのは、サーロスとアモーレだった。
「チクショォォォォォ!!!!」
アモーレは大声で叫びながら、雷を放ち、魔獣を麻痺させた。
「仇、討たせてもらう!!」
そしてサーロスが巨大な炎を放った。
すると魔獣は、見事に火車になり、死亡した。
「…レガーレ」
ぺスカはうずくまっていた。
そこにアモーレが駆け寄った。
「行こう、魔女の所へ」
「もう嫌だよ、これ以上大事な人を失いたくないよ…」
「レガーレはさ…なんて言ってた?」
「え?」
「幸せになって、そう言ってたよね?」
「このまま双子の妹と話も出来ないまま別れて、街のみんなも殺されて、それでぺスカは幸せ?レガーレの望み、叶えてあげられてる?」
「…だったら皆で街を出ればいいんだよ…それなら皆幸せよ!もう妹と話せなくてもいい!大事な人を目の前で失うのは…もう嫌なの…!!!」
「…街から出ても、妹いや魔女はどんどん他の村を襲うと思う…そうすれば被害は広がる一方だよ、どこかの誰かが…今のぺスカや私、そしてここにいる皆と同じ悲しみを味わうんだよ?それでもいいの?それでレガーレは報われると思う?」
「それに、辛い時は私がついてるよ…!!」
「…そうね、もう辛いのは私たちで最後にしよう…!!!」そう言って、ぺスカは立ち上がった。
「よし、じゃあ行くぞ、もうここ一帯には魔獣はいないはずだ、あと魔女だけ…」
オンブラがそう言いかけた瞬間、サーロスがオンブラの顔面を思いっきり殴った。
「ぐっ!!」
オンブラは近くの岩場に衝突した。
「なんで…なんでレガーレが死ぬまで何もしなかった?あんたなら助けられただろうに!!」
「どうやら、あの魔獣には、相手の動きを止める力があるらしい…それによって流石の俺も動けなかった…すまない」
オンブラの言っている事は、真っ赤な嘘である。
先程の魔獣は、あの戦いで見せた力が全てでありオンブラの動きを触れもせずに、止めることは出来ない。
だがサーロスは信じた、幼い頃から優しい男として育ってきたサーロスには、他人を疑うという考えはないのであった。
「そうだったのか…殴ったりしてすまない」
「ふっ…分かればいいさ、じゃあ早速、魔女の場所へ向かうぞ」
そしてオンブラは歩き出し、皆もそれについていった。
「このデカい扉の向こうには、四天王がいる、気をつけろよ…」
オンブラはそう言って、巨大な扉を蹴り飛ばした。
「あらあら随分と、人間は品性が無いことね…」
扉の向こうには、優雅にワインを飲んでいる女性が居た。
顔のパーツはぺスカと瓜二つだが、肌が若干青白く、髪色はぺスカの様な明るい桃色とは違い、暗めのピンクをしている。
「あらお姉ぇ、随分と久しぶりねぇ…フフフ、私があの二人を殺す所を見て以来、私の事が嫌いになったのだと思っていたんだけど、案外気にしてなかった?」
「あんたねぇぇ!!!あんたのせいで、何人の人達が犠牲になってると思うのよ!」ぺスカの感情は、悲しみから怒りに変わっていた。
「フフフ、お友達を殺されて不機嫌のようね…お姉ぇ達も魔女になればいいんだよ、そうすれば永遠に友情ごっこが出来るよ?お姉ぇ昔からおままごと好きだったもんねぇ~、お友達ごっこ楽ちぃでちゅか?ハッハッハッ」
「…あんたァ…」
ぺスカが魔女に殴りかかろうとした瞬間、ぺスカのすぐ目の前に、魔女が瞬間移動して、ぺスカの腹を殴った。
「どう?痛い?お・姉・ちゃ・ん、ハッハッハッハッハッハッ」
「…まずは話をしましょう…ラズ!!!」ぺスカは当初の予定通り、話し合いで決着をつけようと考えていた。
「へぇ~お話したいんだ?四天王である私と?下等生物である人間が?ハッハッハッいくら元姉妹だからって冗談キツイよォ、昔は冗談苦手じゃなかったっけ?お姉ぇのそう言う所、嫌いだったなぁ」
「元姉妹?あんたと私は血が繋がってる以上、いつまでも姉妹よ!残念ながらね!」
「残念なのはそっちよお姉ぇ、私は魔王様の血を飲んで、魔女になったんだよ?その意味がわかる?」
「あんた、何言ってるの!?」ぺスカはなにがなんだか分からなかった。
「血を飲んで魔女になった私には、もう人の血は流れていない、お姉ねぇ…ラズはもう死んだんだよ?ここにいるのは四天王の一角、ハンドレッド・フィオーレ!!!」魔女は大きな声で、そう宣言した。
「話し合いなんてダメだよ、元姉妹らしく殺し合おうよォ!!!ハッハッハッハッハッハッ!!!!」
そう言って魔女は、ぺスカの顔面を殴って、遠くの壁まで吹き飛ばした。
「どうだいお姉ぇ、元妹に殴られる気分は?」
魔女が機嫌よく笑っていると、背後からサーロスが攻撃した。
「すまない、ぺスカ」
そう言ってサーロスは、光で生成した西洋剣の様なものを振り下ろした。
「あらあら…人に気遣う余裕があるのかな?」
魔女はそう言って、サーロスに闇で生成した銃を向けた。
だがその時、魔女の足が地面に沈んでいった。
「私を忘れないでよね…ぺスカのお姉様」
アモーレが地面に闇の魔法を忍ばせておいたのだった。
闇の引力によって、魔女はどんどん地面に沈んでいく。
「あなたも闇の魔法を使用していたから、私の闇を上手く感知できなかったようね?」アモーレは得意そうに笑った。
「フフフ…確かに闇魔法を使っている最中に、相手の闇は感知しづらいものね?」
だが魔女は余裕そうに笑っていた。
そのまま魔女は、アモーレの仕掛けた闇に飲み込まれて姿を消した。
「意外とあっさり終わったな…」サーロスは魔女を倒せて、安心していた。
だがその直後、魔女はサーロスの背後から闇と共に現れて、サーロスの首を絞めた。
「感知しづらいのは、あなたも例外じゃあないでしょ?お姉ねぇのお友達さん」
「!?まさか、完全に飲み込まれる前に、サーロスの背後に闇を出現させて、そこからワープしたって言うの!?」アモーレは状況を瞬時に理解した。
「ご名答、お姉ぇやさっき死んだ馬鹿なお友達とは違って、あなたは賢いようね?少し気に入ったわ」魔女は笑顔でそう言った。
「あんた…今なんて言った?」アモーレが言った。
「フフフ、敵の数も瞬時に把握出来ないマヌケで、脳内お花畑の友人さんとは違うねぇって言ったのよハッハッハッ!!!」
「このゲスがァァァァァ!!!!」
アモーレは火と雷の魔法を同時に発動させて、全身に炎を纏わせながら、雷の速度で、魔女に突進した。
だが近づく前に、魔女はアモーレ以上の雷を使って、アモーレを麻痺させた。
そして麻痺して動けないアモーレに、首を絞めていたサーロスをぶん投げた。
「ぐっ!!すまないアモーレ…!!」
「だい…じょうぶよ…」
アモーレは魔法を同時に2つも使った事で、完全に疲れ切っていた。
果たして、ぺスカ達は魔女を倒す事が出来るのか!?
一方、オンブラはずっと遠くの角にもたれて、皆の戦いを見学していた。
(ちっ、いちいち面倒な敵だな)




