前へ、皆で向かいたかった
魔女の打倒を決意したオンブラ達は、魔女の操る魔獣達を撃破していき、魔女の洋館の前に着いた。
「ここが、魔女の洋館…四天王の住む場所」
サーロスはかなり緊張していた。
「だがオンブラが居れば… 」
サーロスがそう言いかけると、オンブラが真面目な顔で言葉を挟んだ。
「今回、俺は戦わない」
オンブラは唐突にそう宣言した。
「はぁ?なんで!!皆が死ぬかもしれないんだよ?」アモーレが珍しくオンブラにキレた。
「この前の魔獣との戦いで分かったんだ、お前たちはなんだかんや俺の力に頼りすぎだ、このままだと魔王になんか到底敵わない、はっきりいって、いずれお前たちは、俺の足を引っ張るだろう、そうならない為にも今回、俺は戦わない事にした」オンブラは、自分なりの考えをぶつけた。
「安心しろ、あまりにも危なくなったら、その時は助けるさ」オンブラは続けてそう言った。
「で、でも!!」レガーレはそれでも納得いかなかった。
「わかった、私たちの今後を考えてくれての事だもんね、私たちだけで頑張ってみるよ…!!」
ぺスカはその事に納得した。
「くっ…ぺスカが言うならしょうがないね」
結局皆は、オンブラの言う事に賛成した。
そしてオンブラパーティーは、魔女の洋館に入った。
魔女の洋館は暗く、ほとんど何も見えなかった。
とりあえず各々、炎魔法で火を出して、松明の代わりにした。
「…来る!!」
サーロスが咄嗟に反応した。
この魔女の洋館では、多くの魔獣が出現する。
「はぁぁぁ!!!」
サーロスはどんどん魔獣を倒して、道を確保していた。
「ゴミカスがァァァァ!!!」
一方、アモーレは皆に被害がないように、近くの敵を撃破していた。
だがその時、ぺスカは敵の水魔法によって、火を消されてしまった。
更に、水で濡れてる上に、ぺスカは火属性が不得意なので、うまく火をつけられなかった。
そして敵のデーモン系の魔獣は、腕に持っていた斧を、ぺスカに振り下ろそうとした。
スパッ!
だがぺスカは無事だった。
「…はぁ…はぁ…大丈夫?ぺスカ」
なんとか寸前で、レガーレが自ら盾になったのだ。
「消えろぉぉぉ!!!」
レガーレは僅かなMPを消費して、デーモン系の魔獣を粉砕した。
「れ、レガーレ…私の為に」
「大丈夫だって、このくらい!!」
そう笑顔で言っているレガーレの左腕は、もう無かった。
先程の斧攻撃で、左腕で切り落とされたのだった。
「もう泣かないで、行くよ!」
レガーレは左腕の断面を抑えながら、ぺスカと前へ向かうとした。
だがその瞬間、謎の無数の腕がレガーレを捕らえた。
あと一体、魔獣が潜んでいたらしい。
「うっ!!」
「レガーレ!!!」ぺスカは大きな声で叫んだ。
その魔獣の腕の奥には、大きな口とサメのように鋭い大量の歯があった。
どうやら、タコのような身体をした魔獣らしい。
レガーレは徐々に、魔獣の口へ吸い込まれていく。
足から徐々に、鋭い歯によって粉砕されていく。
ぺスカはレガーレの方へと走り、必死に手を伸ばす。
それでもレガーレの所へは届かない、なんど走っても、なんど手を伸ばしても。
遠くにいたサーロスとアモーレも異変に気づき、すぐに向かおうとするも、その場に居た魔獣に邪魔されてしまう。
「レガーレ!!!手を!!私の手を掴んで!!!」ぺスカは叫ぶ、喉が枯れそうになっても叫び続ける。
「ぺスカ…」
レガーレは優しく呼びかけた。そしてなにかを言おうとしている、無数の歯に身体を粉砕されても諦めずに。
「ぺスカ…しあわ…」
そして手が届きそうになり、指と指が触れ合った瞬間、レガーレは頭ごと飲み込まれてしまった。無数の歯に身体を砕かれながら。
飲み込まれる瞬間、レガーレが言った。
「ぺスカ…幸せでね…」
「レガーレ…レガーレ!!!!」
ぺスカは叫んだ、もう届かないであろうレガーレに向けて、叫び続けた。
そして呟いた。
「レガーレ…あなた達と過ごせた日常こそが…私にとっての、1番の幸せなのよ…」
ぺスカの脳内には、アモーレ、ぺスカ、そしてレガーレと3人で過ごした思い出が、フラッシュバックされていた。
「前へ、皆で向かいたかった…」
洋館全体に、悲しみが響き渡った。




