第3-1話
ちょっとだけ…
目を覚ますとそこは世界樹の前。
倒れたダバを心配そうに見る顔があった。
「おお!気がついたか!良かった」
誰だ?この人?
『えっと…オレは…』
辺りを見渡し現状把握に務める。
「ワシが分かるか?」
『えーっと確か…ゲ…ゲロルド!』
「誰がゲロだ!」
拳骨が飛ぶ。
『痛い!!失礼、間違えました。ケラルトさんでしたね』
「人の名前で遊ぶな!」
再び拳骨。
『目が出るわ!!手加減して下さいよ!ゲラルトさん』
「全く!心配したのが馬鹿らしいわい」
少しは安心したのか、一息つく龍人ことゲラルト。
「で、どうしたのだ?いきなり喚いて気を失ったように見えたが」
『あー、まぁ色々ありまして…』
説明しずらい。中の人と口論になってたって言ったって理解出来んよな。
「ふむ。まぁ体調に問題なければ構わんだろ……って言うと思ったか?吐け!」
凄んでくる。犯罪者を落とすかの如く睨みつけてきた。ヤクザな刑事だなこりゃ。
『いやそこは空気読ん…』
「吐け。何があった?何を聴いた?この世界樹を守るものとして確認しておかなければならん」
有無を言わさぬ様凄んでくる。
ゲラルトは国の防衛部隊の人だ。特にこの世界樹は国の礎。要でもある。その声を聞き、その前で奇声を上げて気絶する馬。確かに怪しすぎる。
『そう言われてもなぁ…』
「わかった。本部に連行する」
こうしてオレはタイーホされた。
まぁ、逮捕と言うか連行と言うか。。
人の様に手錠や足枷をすると動けないので、頭絡を掛けられて手網で引っ張られた。無理に逃げる事も可能だったが、後々ろくな事がないと判断し大人しくお縄にかかる。
(どーしてこーなる)
檻付きの馬房に押し込められたオレは独り思う。
どうやらココは魔獣用の檻らしい。
ゲラルトに暫くそこで待ってろ、と言われたので大人しく待つ。
(逃げても後が怖いしなぁ)
実際ゲラルトは防衛部隊の偉いさんらしく、かなりの強さを誇る。まだまだ未熟なダバでは太刀打ち出来ない。
『はぁ…』
溜息一つ吐く。
『ん?お隣さん、入ったのれふか?』
ふと隣から声がする。
『んん??どっかで聞いたような喋り方だなオイ』
『ん?誰が来たの?可愛い獣の子?』
更にその奥からも声がする。
『ん?ケモナー?』
『『ん?その声は…ダバさん(ししょー)!!』』
『行方不明者二頭じゃねーか!!』
最近見当たらなかったセツラン、ペンちゃんがこんな所にいた。そりゃ見つからないわけだ。
『で、オメーらは何やらかした?』
こんな所にいる以上、何かをやらかして捕まったに違いない。
『冤罪れふよ!』
『そーだそーだ!可愛い子が居たから追いかけただけなのに』
はい、ストーカー行為確定。
『そりゃダメだろ。迷惑防止条例…あるのか?あるならそれだろ』
『なんれふかそれ?』
『僕達悪くないもん!』
悪いと認識していない二頭。
『そう言うダバさんは?誰か殺したんれふか?』
『やるか!怖いこと言うな!実はな…』
ここに来た経緯を二頭に説明する。
『…つまり、中の人の話をし難くて捕まったんれふね』
『くっ…ししょーばっかキャラ立てして、ずるいぞ!』
ズルいと言われてもなぁ。あの世の人達が決めた事だし。
『そんな感じでオレも捕まったんだが、どーする?』
逃げる訳にも行かないけどね。
『リーヴァさんには連絡行ったんれふかね?』
セツランが大切な事を言った。
『げっ!!やべぇよ!絶対怒られる…』
現状身元引受け人としては、エルフのリーヴァしかいない。あとは|同種族(ジアン種)のエルくん。
通信機器のないこの世界でどの様に連絡を取るのかは分からないが、檻から出る為には恐らく身元引受け人が必要だろう。
『誤魔化しても仕方ないから、正直に言うしか無いんじゃね?』
ペンちゃんが言う。
『だよなー。黙ってても後でろくな事にならんし』
嘘ついてもバレたあとが怖いのは、人も魔獣も同じだ。
『防衛部隊のゲラルトさんが来たら言っとくわ』
そんな感じで来て欲しくない待ち人を待つダバだった。




