第2-5話
翌朝。
まだセツラン達と合流出来ていないダバ達は、とりあえずリーヴァと合流する事にした。
なんだかんだ言ってもセツラン達も魔獣種。心配する必要性などないのだ。
「え?セツラン達、いないの?」
『うん。でもまぁ大丈夫だろ。元野生だし。そのうち見つかるよ。で、だ…』
ダバは一頭で世界樹の元に来ていた。買い出しの手伝いはエルくんに任せ、昨日のザワつきがあった場所に来たのだ。
(……今日はザワつかないな)
えも言われぬ不安感に襲われた昨日。言葉では説明しにくい感覚。魔獣種ならではの第六感なのか?
(…………………)
同じ位置で佇む。
なぜそんなに気になるのか?セツラン達の方が本来は気になる筈だろう。にもかかわらずこの場所に来てしまう。
まるで世界樹に呼ばれたかの様に。
(気のせいか…)
立ち去り、セツランを探すかリーヴァと合流しようと考えた時、声を掛けられた。
「失礼する。お主もしかしてダバ殿ではないか?」
『へ?殿?』
振り向くと大人の男性が居た。正確には龍人種だ。
「娘から聞いていた特徴に似ていたものでな。どうだ?」
『あ、はい。そーですけど、あなたは?』
「儂はゲラルト・ドロール。レディの親だ。ふむ、聞いていた通りの馬体よな…」
レディの親父らしきおっさん龍人。馴れ馴れしく馬体に触れてくる。触って欲しいのは若い娘だけなのに。
『ちょ、なんすか!止めて下さい』
「おぉ、すまぬ。つい、見惚れてしまったわい」
礼儀正しく頭を下げる。この国には知性のある魔獣には対等の態度を取るようだ。
どこかの人族と違って、姿形が違うからって差別、偏見はしない。
『で、なんの用なんです?』
「………お主、世界樹の【声】が聴こえるのか?」
なんの事だ?世界樹【声】だと?
『いや、さっぱり』
「…昨日、レディから聞いたぞ?この場で何かを感じていたと。更に先程見ておったが、何か思わしげに上を向いておったではないか。
…お主、何を聴いた?何を感じ取った?」
肌が泡立ち、総毛立つ威圧を放つ龍人。ゲラルトはあからさまに気配を変えてきた。
『…………』
(ヤバい!この人ヤバい!!いきなり戦闘モードだよ!?コッチはなんにも感じて…無いこともないけど。。
でもだからってこんなに威圧してくる?正直怖いんですけど。)
ガクブルになる。
「語らぬか?」
更に威圧を高める。
仲間がおらずボッチのダバにとってヤバすぎる現状である。チビる危険が迫る!!
(ど、どうしよう!?!?!?)
『少し、おち、ち、じゃなくて、落ち着ついて下さい!!!』
「ぬ?おぉ、すまぬ。少し気合い入れすぎたかの。だが、返答次第ではどうなるか解るな?」
少し威圧を抑えるゲラルト。
(解りません!解りたくもない!逃げるが勝ち!)
一目散に逃げ出そうと考えるも
「逃げるなよ?」
『…………はい』
最早観念し、昨日の事を話す。
『だから、何かを感じ取ったわけじゃないんですよ。今日は、少し気になったからここに来た訳で』
「ふむ。そうであったか。儂の早とちりか。すまぬなダバ殿」
存外に素直なゲラルト。難癖付けられて絡まれると思っていたダバは少し肩透かしだ。
『わかってもらえたら良いですけど…ところで、世界樹の【声】って何です?樹が話すんですか?』
「……聞きたいか?」
『止めときます』
イヤーな予感しかない。絶対巻き込まれるやつだ。
「まぁそう言わずに。
儂は首都の防衛部隊に所属しておってな、ごく稀に世界樹の【声】を聞くヤツがおるのじゃ。大体その内容が碌でもない事での。今回も何か起こるのかと心配して来たのじゃ」
『そしたらオレが居たってか。それもあからさまに怪しそうにかぁ』
苦笑いと溜息を吐く。
「仕方なかろうて。コッチも仕事じゃし、大体世界樹が絡むと大事になるしの。気合いも入るって事じゃよ」
『そーなっ…!?』
会話を続けているとそれはいきなり襲ってきた。
再び世界樹を見上げる。
えも言われぬ不安感。それだけでは無い。恐怖、悲壮感、絶望感等のあらゆる負の感情が襲ってくる。
『なっ、なんなんだ?』
次に意識を送るのは自分の中。
憎い…憎い…憎い…憎い憎い憎い憎い憎い憎い…憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!
《この世全てが憎い!!》
そして、歓喜!
《出せ!俺を出せ!ここから出せ!呼べ!オレを》
内から(・・・)聞こえるその言葉は、以前に少し聞こえたアノ声だ。
『あぁぁあああぁぁ!!!』
外から世界樹の干渉、内からよくわからないモノからの干渉。
内外同時精神テロはダバの呑気な精神すら軽く砕く。
慌てふためくゲラルトを他所に、ダバの精神は落ちた。
読んで頂き感謝です。<(_ _)>




