第2-4話
龍人種。
半龍半人の獣人種。その姿は女性であり、背には羽根が有り、四肢は龍の如く4本指と鋭い爪。また、肘、膝までの龍鱗、尻尾が特徴。龍種と人種の混血である。
希少種である為中々出会う事がない種族であるが、さすが理想郷であると言える。
残念ながらメイド姿では無いが……。
『ほえー、珍しい人に会ったなぁ。こっち見てたみたいだけど、なにか用?』
「む、喋れるのか…いや、失礼した。かなり大きな馬体をしているので、危険な魔獣かと注視しておったのだ」
礼儀正しく一礼をし詫びを入れてくる。
…武士っぽい。
ただ、お辞儀をしているその姿には巨大な双丘があった。
手を前にし、寄せたその場所には深い谷間がある。思わず視線が向いてしまう。仕方が無い事だ。
チラッと横を見ればエルくんもガン見だった。エロ馬二頭だもんね。
『いえいえ。旅を始めたばかりの馬です。相方とは宿で一旦別行動になりましてね。物見遊山中なんです』
「ほう。相方はさぞかし名の通った御仁なのですかな?これ程の馬に跨がれるのですから」
『いえいえ。フツーのエルフの女性です。彼女と世界を回る旅をしたくて、先ずはココに来ました』
その後も少し話をし、徐々に打ち解けてきたのだが……エルくんの興奮度が高い。
『おねーさん、可愛いねー。理想的な人だ!!!顔といい、スタイルと言い、最高!縛りたい!!!!!!』
暴走気味のエルくんだ。
「え?えっと…縛…り?其方は何を言っている?」
『……あんまり気にしないで下さい。言葉の意味を履き違えてる様なので』
エルくんに個人念話を送る。
(エルくん抑えて!)
(だってダバ兄ぃ!可愛くて巨乳だよ!?ターゲットロックオンだよ!)
(あんまり攻めると引かれるぞ?押すだけじゃダメだ。押して引く。コレ大事)
(だけど……)
人とのコミュニケーションで大切なのは距離感。特に女性相手だと最初は壁がある。ソレをどう壊すか?それが駆け引きなんだが……馬には関係ないかな?
「……まぁいいです。それでこの後の予定はあるのですか?」
何とかエルくんのフェチを誤魔化せた様だ。
『いや、はぐれた仲間を探すためブラつきますが…』
いつの間にかセツラン達は迷子扱いだ。待ち合わせ場所も決めていないし、時間の概念が薄いこの国では仕方の無いこと。時間に縛られた現代人とは良い意味で感覚が違う。のんびりなのだ。羨ましい…。
「そうか。ここであったのも何かの縁。捜索がてら私が都市を案内しよう」
『いや、そんなの悪いですし…なぁエルくん』
だが、助けを求めた相手が悪かった。
『何言ってんだよダバ兄!ありがたく案内してもらおうよ!断るなんてありえない!!!ボクだけでも案内してもらうからね。ねっねっ、おねーさんのお名前なんていうの?』
逃してたまるか!と、言わんばかりに攻め込むエルくん。
「おぉ、そうか。申し出を受けて貰えるか。私は龍人種のレディアーヌ・ドロール。レディと読んでくれて構わん。して、其方達はなんと申す?」
『あぁ、オレは…』
『エルです!!!エルくんって呼ばれてる!』
絶賛売り込み中のエルくんはハイテンション。
『……ダバです。一応纏め役してますが。それと…』
【無邪気な尻尾】の面々を話す。
「承知した。では、御案内致しましょうぞ。我らが誇り、理想郷のアルフレイムへようこそ!」
そこからは主にエルくんがレディの相手をしている。オレは一歩下がり気味に観光に没頭していた。
自然と調和した都市。のどかな田園風景。農家らしき人達。湖畔には絵になる家と数々の亜人達。無論森の中にはエルフ達が。
更に、世界樹の側に行くと嫌でもわかる生命の脈動。ああ、この都市は護られてる。そんな気にさせてくれる……筈なんだが、何やら心がザワつく。
『……なんだ?』
なんとなく下から上を見上げる。いい陽射しと気持ちのいい風。不安になる要素は無い筈なんだが……。
「どうしたのだ?」
レディが近づき同様に上を向く。
エルくんも上を向く。
『なんかあんの?』
『いや、良く分からんが……ザワつくんだ』
「ふむ。魔獣の勘は馬鹿にならんのだが……」
『ボクわかんないけど。勘違いじゃないの?』
『う〜ん。かな?良く分からんくなった』
不思議な感覚も無くなり心も落ち着いた。しかし、あのなんとも言えないザワつきは、なんなのだ?少しだけ気に留めておこう。
その場を離れ捜索兼観光を再開する。
この都市は広く、一日で見て回れるものじゃない。全力で走ればまた違うが。レディは騎乗すること無く共に歩いている。ジアンス種の事を知っている様だ。
その後は特に何も無く、日も陰り始めた頃レディと別れダバとエルくんは郊外の森にいた。
どうもエルくんはかなりレディを気に入ったらしく、仲間にしようとダバに詰め寄っていた。
『そうは言ってもほかの仲間にも聞かないとさ…』
『絶対行けるって!あの娘がいいんだもん!』
目がキラキラしてる…ダメだこりゃ。。
『わかってると思うけど、先にセツラン達と合流しなきゃダメだからね』
『そういやどこに行ったんだろうねー』
やっと口調が元に戻ったようだ。落ち着いたかな?
それはそうと、とりあえずメシだな。道草(リアル草)食ってたけど、やはりしっかり食べたい。
『エルくん、メシ食おうぜ。何か実でも無いかな?』
『んー、あっ?アレは?』
そこには落花生と瓢箪の間のような物がなっていた。
コイツは瓢箪の様に地上の枝から出来ているが瓢箪にしては小さく、落花生の如く群生していた。要は小さい身が一杯出来てるってことだ。
『アレかー。ちと高い場所だな。ならば…』
フン!と垂直跳び。
そして枝の根元に齧り付き、切歯で噛み切る。
魔獣だからなのか歯が恐ろしく丈夫なのだ。
『よし、採れた』
『うん。良い味。でもボリュームないねー』
『うーん、デカい実が欲しいな……』
ゴリゴリ臼歯で噛み砕きながら辺りを見回す。
アルフレイム近辺の森林は恵も多く、野生動物も豊富だ。食料事情には恵まれているハズなんだが…。
『ダメだ、味が薄い』
『焼いた肉食いたいね』
ダバはともかく、エルくんまで調理の素晴らしさを知ってしまっている。
無論そのままの味が良い食べ物も存在しているが、まだ見分けがつかない二頭である。
『仕方ない、捜索がてら移動だ』
『ホントにあの二人どこいったんだろうねー』
セツラン、ぺんちゃんはまだ見つかってない。
若干不安ではあるものの、まだ気楽な二頭だった。
読んで頂き感謝<(_ _)>
久々の投稿でした。超スローですが、書き続けたいと思ってます。




