第1-6話
『腹いてー』
「同じく…ぷぷぷっ。こっち見ないでよ」
二人が腹を痛めたのはセツラン達の顔だ。
揃いも揃って顔面肥大。蕁麻疹によって腫れまくっていたのだ。
『かゆいーかゆいーかゆいー』
三頭揃って顔を擦り合わせている。
『あんまり掻くと別の場所でも発症するぞ?』
『『『ンガー!!!』』』
地団駄を踏んでそこら中に穴を作る。はた迷惑な行為だが、我慢するのは辛いので仕方がない。
『何食ったんだよ?』
恐らく食べたものからの発症だろう。そのヘンの虫にやられるヤワな奴はいない。
『アレれふかね?』『アレだろ?』『絶対アレだよー』
『アレじゃわかんねえよ。詳しく』
…どうやら実が熟して落ちていた果物を食べたらしい。表面が黒く熟しており、かなりの甘い香りがしてた様だ。
『リーヴァわかるか?』
「うーん、多分ポポの実じゃないかしら。確信は持てないけどね。かなり甘い香りと味。それと熟すと木から落ちるの」
『危険性は?』
「皮を食べたら被れるって話は聞いたような…。でもまさかここまで酷くなるなんて」
哀れんだ顔を見せながらも、肩は震えている。笑いをこらえるのに必死だ。
『食あたりって理由か。じゃあそのうち治るの待つか、薬草でも貼る?』
「やめて、お腹痛すぎ」
顔面肥大に薬草取付。想像しただけで面白すぎる。
そんな二人を尻目に本人達は、
『ホントに痒いんれふよ!』『ダバ兄にも喰わせてやる!』『イライライライラ…』と、不機嫌。
『どの道、宿に荷物取りに行くからその時に薬ないか聞いてやるよ』
『『『あざーす』』』
〇軟膏的なやつあるかな?
『で、だ。荷物運ぶの俺だけじゃキツいから、エルくん来てくれるか?』
『こんな顔で良かったらー』
『んー、エルくん鬣伸ばせるか?その毛で顔隠せないか?』
『隠すの?んーーーーん、こんな感じ?』
わしゃわしゃっと鬣を伸ばし、顔一面を隠す。正直怖い。。。
『う、うん。それでオケ』
『さらに顔が痒ーーーい!早く終わらして薬買って!』
凄まじい地響きが鳴る。あまりの痒さ故にエルくんが本気で地面を踏みつけた。
陥没した地面を見て〇王号かよ…とダバは思う。
『オケ、すぐ行こう。リーヴァ、オレの命が危険だ』
「そ、そうね…改めて魔獣だと認識したわ」
ゴクリと唾を飲み込む。
軽口で付き合ってはいるがダバ達は歴とした魔獣。ただの馬ではない。変だけど。。。
『厩務員のおねーーさん!仲間が蕁麻疹なんだよ。塗り薬ってある?』
「あら、おかえり♪
蕁麻疹?……コレは腫れてるねー。ウチには常備薬が有るけど、恐らく足りないわ。薬屋さんで買った方がいいわね…」
患部の範囲、仲間の数からそう判断した様だ。
「彼女さんは?」
『今、宿の精算中だと…あ、リーヴァ!』
宿の会計を終わらして厩舎にリーヴァが来た。
「どう?」
『やっぱ薬屋さんで買わなくちゃならない』
「そ、急ぎましょ!」
『早くー、痒すぎて物に当たりそう…』
どちらかと言えば穏健派のエルくんがキレ始めている…。
『リーヴァ、精算終わったな?薬屋さんの場所わかるか?』
「大丈夫!行きましょ!」
『じゃっ!厩務員さん!急いでるんでまたね!』
「またねー」
手を振ってくれている厩務員さんを後に、ダバ達は急ぎ薬屋さんを目指す。
村の大通りにある薬屋さんを探していたのだが…絡まれた。
「そこの人ーー!立派な馬を連れたエルフの方ーー!」
話しかけてきたのは、昨日セツラン達を草原で見かけたハンター達。
「何よもう!急いでるのに!!」
若干イラついた感じのリーヴァ。
「あ、スマンな。少し話を聞きたいんだが構わないか?」
「そんな暇無いのよ!じゃね!」
通り過ぎようとするが…
「ちょ、待ってくれよ!そんなに冷たくしないでくれよ」
前に回り込み邪魔をしてくる。
「良い?急いでるの!わかる?退いて!!」
強行突破を図ろうとするが、ハンター達に邪魔をされる。
「いい加減にし…て…?」『この…や、ろう…?』
思いっ切り凄んで吹っ飛ばしてやろうと、意気込んだのだが、後方から凄まじいプレッシャー。
同じく、リーヴァが絡まれて助けに行こうとする瞬間に動けなくなったダバ。
はたまた同じくリーヴァに絡んでいたハンター達も同様に動けない。それどころか大通り一面動きが止まったのだ…。
『痒いって言ってるよね?我慢の限界だよ?』
そう。プレッシャーの元凶はエルくん。我慢の限界がとうとう超えた!
『ふざけんな!!!!!!!邪魔すんじゃねーよ!!!!!!!!!』
鬣を伸ばし、目元も隠れていたのに、紅い目が光る!口元からは蒸気の様なものまで出ている。
凄まじい嘶きと共に両前脚を高く上げ、振り下ろす!さながら巨人の一撃!!
『これ以上邪魔するなら当てるぞ?』
紅い目を光らせながら脅迫するエルくん。
脅され硬直状態のハンター達の前には、二つの蹄の跡。ただし、凄まじく凹んでいるが…
尻餅を付き、ガクブルのハンター達はそのまま後退る。
『早く行こうダバ兄、リーヴァ姉』
『お、おう!』「う、うん!」
少しスッキリしたのか、いつもの調子で話すエルくん。
のちにダバは語る
『大人しい奴がキレたらやっぱヤベーわ…』
一部始終を見ていた村の人は語る
「あの圧力はヤバい…黒〇と名付けよう」
ハンター達は語る
「新たな脅威の発見だ!至急ギルド…に………やっぱやめよう…どれほど被害者が出るかわからん」
と。
蕁麻疹から発生したエルくんの世界デビューだった。
第1話終了です|ω`)
書き溜めたら第2話投稿しますね。
ここまで読んで頂き感謝です!
(*`・ω・)ゞ




