第1-4話
夕暮れが近づき、ダバとリーヴァは宿に戻っていた。
リーヴァは部屋へ。ダバは馬房で過ごしている。
『豪華な飯ねぇ…』
ダバの前にあるのは飼い桶に入ったキューブ。何やら色々な草が固められたモノだ。
最近グルメに目覚め始めたダバにとっては、これじゃない感が酷い。
『肉がよかったのに…』
無論馬は肉食動物ではない。草食動物だ。だが、雑食性も高く、好き嫌いもあるそうだ。
「贅沢言わないの!」
世話をしてくれる厩務員の女の子が声を掛けてくる。
『最近焼肉にハマっててさー。出ない?』
「出るわけないでしょ!なんで馬が焼肉を催促するのよ!私が食べたいわよ!」
呆れた顔の女の子。彼女は見た目は普通の人なのだがここは亜人の国。恐らく人族とは違うのだろう。
『ねぇねぇ。君は何の種族なの?見た目は普通の人族っぽいんだけど』
「私?大まかに言えば狼族かな。人狼族。星の導きによって姿も変わるんだよ?」
『ほー。すごいの来たな!星の導きかぁ、カッコイイね!』
星の導きによって姿を変えるなんて、ロマンがある。
「そんな良いもんじゃないよ。コントロール効かないし、全員一緒だし、気性荒くなるし、強くなるけど短期間で戻るし…」
まだブツブツ言っている。どうやらかなり不満がある様だ。
『人狼族、嫌なの?』
「嫌いじゃないよ。本性が出た時はカッコイイしね。でもさ、その時だけじゃご飯食べらんないでしょ?狩りだけで生活出来ないし、働かないとねー。そんな理由で私も働いてるのさ」
『世知辛いねー』
「馬のセリフじゃないわよ。それ。てかアンタも大概変な馬よね。何者?」
『オレはジアンス…』
「それは知ってる。それだけじゃ説明つかない」
じろりと睨む女の子。変な馬だと怪しまれている。
『それは話せないな』
「そか、仕方ない…ってか私に関係ないか」
軽く笑って流す女の子。可愛いもんだ。
『わりーな』
「悪いと思うならご飯しっかり食べてよね。残すんじゃないわよ!」
「じゃーねー」と手を振りながら去って行く。
ポリポリとキューブを食べながらこの世界の事を考える。
(やっぱ中世なのかな?文明レベルは高くなさそうだけど…この国だけかな?人族の国に行けばまた変わるのかな?)
この村や、リーヴァの里を思い出しても高度な文明は無さそうだ。だが、上下水道が完備されていたり、夜の街灯が篝火ではなく、ランプのような物だったり。料理も多彩な物がありそう。
(なんかバランスが違うんだよなぁ…)
科学文明と魔法文明との違いが出ているのだろう。進み方に違いがありそうだ。
(ソレはソレで面白そうなんだけどな)
一人(一頭)ニヤニヤしながら夜の帳は降りてくる。
(一応周囲の警戒はしておくか…)
フラグが立ったような、立たないような。微睡みながらも、警戒を怠らないダバだった。
少し時は戻り、視点はセツラン達に行く。
『さっきの連中何れふかね?』
ハンター達に見られている事に気が付いていたようだ。
『あんまり強そうには見えないから、ほっといていいんじゃね?』
『そんな事よりお腹空いたー。晩ごはんどうするの?』
食欲優先のエルくん。デカい身体を維持するには大量のカロリーが必須なのだ。
『そうれふね…焼肉食べたいけど、火を起こすのは無理れふし、草かな?』
『そろそろ夜になるしなぁ。夜目を効かせるのは可能だけど』
『果実を探そうよ!』
『今かられふか?』
夜の森は流石に危険が多い。セツラン達も強いとは言え、多勢に囲まれると厄介な事になり兼ねない。その点、草原ならば機動力を活かして何とでも出来る。
『うん。ダバ兄のクエストだっけ?仕事にも役立つかも知れないし』
珍しい物を見つけたら、二人の助けになるかも知れないっとエルくんは考えている。
『ふむ。ありかもれふね。でも敵と遭遇したら逃げるれふよ?』
『『りょーかい!』』
暗くなる中、三頭は森に入っていく。その後悪夢の様な出来事が待っているとはつゆ知らずに…
時間は戻り、視点はリーヴァに行く。
ダバと分かれ、リーヴァは一人宿の部屋にいる。
「うーん!疲れたー」と、言いながら背伸びをし、ベッドにダイブ。
(それにしても随分と稼げたわね)
先の換金率の事を思い出していた。エンテロドンの牙と毛皮、その他薬草類で約十万円…初級クラスの一日の稼ぎとしては破格だろう。
(みんな役に立ってくれてるし…)
夜の監視や食材集め。旅の安全には持ってこいの仲間達。基本的には馬だから安心感もある。
(ダバには感謝ね。私の目に狂いはなかった)
感謝の念はあるものの、自画自賛も忘れないのは若さ故んか…。
「さて、温泉もあるって言ってたし、お風呂入ってご飯を食べに行こうっと!!」
温泉と美味しいご飯。旅行には欠かせない成分である。
「あ、アイツも入りたいって言ってたわね……明日、水浴びでもさせようかな」
若干扱いが悪そうに見えるが、こんなものである。まだまだ旅は始まったばかり。絆が深まるのはこれからだ。
(何食べよっかなぁ〜♪)
一人ぼっちの寂しさなど何処吹く風の如く、旅を楽しむリーヴァだった。
読んで頂き感謝<(_ _)>




