↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生するなら馬でしょ!  作者: 駄馬
3章
43/55

第1-2話

 ダバ達が戻って来ると、セツラン達が先に戻っていた。

『おー……お?なんだこの状況?』

 鬣で巨大な肉の塊を縛っているエルくんはまだ良いとして、問題は牙を咥えて遊んでいる二頭だ。

 口から牙を前面に出し、お互い突撃して遊んでいる。

『ダバさんダバさん、必殺技!!』

『ししょー、どうコレ?』

 苦笑いしか出ないこの状況。

『あ、うん。売り物だからね…扱いには注意して下さい』

『『ハッ!!?』』

『忘れてただろ…』

『『ごめんなさい…』』

『まーいいさ。んで、エルくんはまだ縛ってんの?』

 何やら怪しげな縛り方に見える。

『うん。キンバーグに教えてもらったやつを試してるの』

 嬉しそうに答えるエルくん。楽しそうでなによりだ。

『血抜きは…縛られてある程度出てるかな?リーヴァ、出来るか?』

「あ、うん。呆気にとられてたわ…。大丈夫。やるわ」

 解体作業に入るリーヴァ。流石に馬の脚では無理がある。

「うーん、コレってエンテロドンだよね…よくこんなの仕留めたわね」

 リーヴァ曰くかなりの大物だとか。

 肉は塩漬けと乾燥させる分に解体。持ちきれないのは今夜の食事に使う。毛皮も売れそうなので丁寧に剥いでいく。牙は遊ばれていたが、売れそうだ。

「よし、こんなもんかな?内臓関係は危ないし捨てるわよ。穴掘ってくれる?水は…出すとしますかね」

『ちょいまち。オレに出させてくれ』

『ダバさん、変なの出したらダメれふよ?』

『出すか!見てろよー【水よ、出ろ(アクア)】!』

 冒険者にとって水は欠かせない。当たり前だが野生に水飲み場はそれ程ない。そこでダバは考えた。

(結露で水出せんじゃね?)

 空気中にある水分を集め、飲用水として使おうという事だ。

 マソを使い、理屈抜きで結果を出す。便利な世界だ。結果を想像できれば過程をすっ飛ばせるんだから。

『おぉー!』

 空中に水が集まり下に落ちる。それをリーヴァが使い、手と道具を洗っていく。

「へぇー、やるじゃない」

 感心感心と褒めるリーヴァ。

『だろ?まだまだ色々出来そうだ』

「期待してるわよ?」

『任された!』

 チョロい主役である。


 その後、余った肉は夕食として焼肉にして美味しく頂いた。塩味のシンプルなモノだが、やはりシチュエーションが加味してより美味しくなる。

『うめ〜なぁ…』

『焼肉って美味しいれふねー』

『草よりこっちかなぁ』

『肉食になりそうだよ』

「ちょっと硬めだけど美味しいわね」


 美味しく堪能した【無邪気な尻尾】(イノセントテール)一行は、一先ずこの地で野営をする事にした。

「初日としては良いできだよね。薬草や木の実も採取出来たし、エンテロドンも狩猟出来たし!セツラン組のおかげよ!」

 ニコニコ顔のリーヴァ。

『どの程度の金額になるんだろうな?』

「さぁね。相場によるものでしょね」

 希少性が高けりゃ高く売れるのはどの世界でも変わりない。だが、草と肉と毛皮だと数千〜数万と言ったとこか。

『金はギルドに加入してからだな。依頼で稼ぐか、移動しながら採取すれば何とかなるだろ』

「せめて泊まる所は宿屋が良いわ。か弱い女性だし」

『現実的に考えてその方が良い。野生で生きるのは人には無理だ』

「……まともな返答ね。なんか意外」

『あのなぁー、お前はオレのパートナーだぞ?大切にするのは当然だ』

「………ありがと」

 赤面しながら馬に返事をする。茶化されるものだと思っていたら真剣な答え。不意打ちを食らうとはこの事だ。

「も、もう寝る!警戒は頼んだわよ!」

 一人テントの中に入るリーヴァ。

『あぁ、任せろ』

 周囲を警戒するダバ。

 馬は元々睡眠時間が短く、3~4時間寝れば問題ない。襲撃された時にすぐに起きれるよう睡眠も浅いとか。

『さて、二交替でやるか。オレと…ぺんちゃん。セツランとエルくんで警戒するとしよう』

 ダバとセツランはある程度応用が利くが、エルくん、ぺんちゃんは能力的に少し尖っている。

 指揮官がいた方が活躍できるのだ。

『どっちが休みまふか?』

『セツラン達が先に休んでいいよ。良いよなぺんちゃん?』

『良いよー。ししょーには話があるし』

『なんだよ…怖ぇな』

『んじゃお休みー』

 テントの周りで休みはじめるエルくん、セツラン。

『じゃ、ちと離れて警戒な』

『あーい』


 それから少し経った時…

『ねー、ししょー』

『んー、なんだ?』

『さっきの事だけどね』

『ああ、話ってやつか。なんだ?』

 神妙な面持ちで語るぺんちゃんに対し、真摯に対応しようとするダバ。

『…………』

『なんだよ。溜まってるならはっきり言ったほうがいいぞ?』

『……僕も個性が欲しい!!』

『へ?』

『だってみんな個性豊かじゃん!前世の記憶持ってるししょー。カビちゃん付きのセツラン。緊縛好き(キンバーグ)のエルくん。…僕だけペンギンカラー。光るだけ…そんなのつまんないよ!』

 だいぶ拗らした様だ。

『そうは言っても、個性なんて後付けみたいなもんだし…ぺんちゃんモフ好きだろ?パートナーが出来たらキャラ立ちするんじゃないかなぁ?』

 それぞれ好きなジャンルが違う様に教育してある。被ると喧嘩の元だ。

『それだと何時になるかわかんないし、戦闘でも役に立たないもん…』

『フム…』

 ぺんちゃんのスキルは【ペンギンフラッシュ】所謂目くらましだ。

『すると何か?戦闘でも役に立つ様なスキルと個性が欲しいのか?』

『うん…』

『ふーむ…』

 無個性って訳でも無いのに拗らせ始めたぺんちゃん。周りが濃すぎるのも原因の一つだ。

『具体的にはどんなのが良いんだ?』

『わかんない。だからししょーに聞きたかったんだ』

『ふーむ…』

 困った。キャラ立ちをしたいがイメージが無い。どうありたいかも決まって無い。でも個性が欲しい。

『むむむ…』

『ししょーでも無理?』

 泣きそうになっているぺんちゃん。

 無理と言われるとムキになっていくのが男ってもんだ。


『ぺんちゃん。個性ってのは他人に付けてもらうもんじゃない。自分で付けるもんだ。セツランとエルくんは、たまたま外的要因があったが、ぺんちゃんがソレを羨ましがる事は無い。確かにぺんちゃんは目立った個性が無いのかもしれん。だが考えようによっては、これから自分で付けることも可能だ。この差はデカいぞ?』

『どゆこと?』

『自分で選べるってことだ。スキルを強化したり、新たに習得したり、ケモナーとして確立したり。流石にキノコは生えないだろうけど。まだまだこれから!チャンスはあるって事だよ』

『そんなもんかなぁ?』

『そんなもんさ。焦っても仕方ないし、オレ達はまだ若いんだぜ?』

『うーん……うん、わかった。しばらくは成り行きに任せる。旅立ったばっかりだもんね』

『そだぞ?色んな物や世界を見ていけば、自ずと方向性も見えてくるよ。焦らず行こうぜ!』


 ダバも自身に言い聞かせるように答える。強さという面では、遥かに超える人達を見て少し焦る気持ちもあったのだ。だが、ぺんちゃんと話す事により、心の整理もつき、ゆっくり成長しようと思うようになったのである。


『でも必殺技欲しい!』

『技なぁ…ペンギンフラッシュだけだと今後も不安だよね。フラッシュからの〜技を考えようか』

 二匹の会合は続く…

読んで頂き感謝<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。