幕間その3
その頃あの世では…
「D田中さんはいますか?」
転生庁にやって来たのはチャチャだ。
「居りますが…」
「なんです?」
「最近田中さんの様子がおかしいんです…」
「ふむ…おかしいのは以前からですが、まぁ会って確認しますかね」
担当の鬼に案内され、D田中の元に行く。
「D田中さん、元気にしてましかた?」
「あぁ、これはチャチャさん。いつもご迷惑をかけて申し訳ない」
「…誰ですか貴方」
若干引き気味のチャチャ。
「私はD田中ですよ?何も変わってません」
「……まぁ良いでしょう。それで、ダバさんから何か有益な情報得られましたか?」
訝しげな表情をするが、すぐに消し仕事モードに移る。
「そうですね…では、最近の情報を伝えます」
………
……
…
「ふむ、オークの襲撃とエルフの里ですか…他には?」
「何も…ありません」
ジロリとチャチャの鋭い目がD田中を睨む。
「仕事はされている様ですね。
それから貴方ご自身には?何かありましたか?」
「最近良く言われますが、真面目に仕事をこなしてるだけですよ。少し似合わないのですかね」
自嘲気味に笑う。
「これは失礼。こなして頂けるなら文句はありません。今後も継続して調査をお願いします。
では、私はこれで失礼しますよ」
「わかりました。お疲れ様です」
その場を後にし転生庁を出るチャチャ。
「怪しすぎますね。絶対何か企んでます…
草、居ますか?」
「ハッ!ここに」
陰から出てくるのは、これぞ忍び!と言った出で立ちの鬼。
「しばらくD田中を見張って下さい。何かあれば報告を」
「ハッ」
「嫌な予感しかしません…」
表面上は真面目に仕事をこなしているのだが、如何せん以前の印象とまるで違うので怪しすぎるのだ。
一方、疑いの目で見られたD田中は…
書類と向き合いひたすら無表情だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
もうひとつのあの世にて…
「おやびん!!!ヤバいっす!!!」
カビちゃんが焦りながら上司のおやびんに報告する。太った鳥だが。焼き鳥にしたら脂だらけだろう…
「どうした?カビちゃんが焦るのは珍しいな」
「バンドーの生霊がダバさんの仲間に接触したっす!!」
「なんだと!!!?」
椅子の上で立ち上がり、焦った表情のおやびん。鳥が焦ってもよく分からんが…
「バンドーだと!?なんで今更!?カビちゃん詳しく報告してくれ…」
青い太った鳥のおやびんが更に青くなる…
バンドーの名はそれ程の影響力があったのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
場所は変わり、ここは人の国|エルドラド(黄金郷)、首都のアウルム。
その中でも一際人の集まる一角があり、海千山千の商人達が集まる市場がある。その名を一期一会。その市場を纏める会長が居る。
名をカサキ。客は彼のことを愛称を込めてポンコツと呼ぶ。
「ポンコツー、今日の特売品はどこが安い?」
「にくー!肉をくれ!」
「イチゴ安いんだろ?市場名に合わせてイチゴ一円か?」
「ヘビイチゴは無いのか?お供えに使いたいんだが」
「今日はギャンブルやらねぇの?」
ポンコツと呼ばれるカサキ。本人は何とも思っておらず、愛称として受け入れていた。
「フッ、今日のオレは、昨日のポンコツとは違うぜ!さっき競馬で大穴当てたんだぞ!!!!
オレんとこの店に来い!安くしてやらァ!!」
それを聞き、地元の客は、
「よっしゃあああああ!言質取ったぞ!!ポンコツん所に集合だ!」
「あ、程々に頼む…」
我に返ると途端に弱気になるポンコツこと、カサキ。
「補填足りるかなぁ…ま、また馬券当てりゃ良いか!?」
どこまでも前向きなサカキ。不思議と店は傾かず、そんな彼の元には多数の客と商人達が集まる。
人の集まる所には、情報も集まり、金も集まる。
その全てを把握していくカサキ。民間企業の顔役になりつつあるのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「最近の布教はどうなの?」
「はい、コンロン、エルドラドを含めリミ様の名は浸透しつつあります」
ここは宗教の国、コンロン。その中でも最大宗派でもある神の子達。
各地に孤児院を建て、子供を保護し教えを施す。
そのトップ、生き神様、女神様と呼ばれるのがリミ。
その右手とされるシン。
「ダメよ、もっともっと拡げて!信徒を増やして、この国を私が変えなくちゃならないのよ!」
「ですがリミ様。この国は各宗教派閥が治める土地。無理をすれば闘いになりかねませんよ?」
「報われない子供たちはまだまだ居る。囲…いえ、助けなくちゃ!」
「本音出ましたね?まったく…女神様がショタなんて、バレたらどうするんですか…」
「うるさいわね!そう言うシン君も小さい子好きじゃない!」
「私はホントに助けたいんです!一緒にしないで欲しいです!」
リミは少しアレだが、シンはまだまともな様だ。
「ホントかしら?貴方が教えてる子達、随分美形だと思うけど?」
「将来を見越して教えてるんです。矢面に立つ人は、美形の方が良いに決まってるでしょ?所詮人は顔しか見ないし…大人女性怖いし…」
コンプレックスでもあるのか、どうもシンは美形に対して思う所があるようだ。アレか?一度キツく振られたか?
「どうでもいいけど、勢力は伸ばさないとね。あの方の指示でもあるし…」
「解ってますよ。人界の活動はオナスさんに任せます。魔王国方面と、亜人国方面をどうするかなんですよね…」
「エルフ良いわよねー。ずっと若いし!!!!」
「そこ?まぁ、若い時間が長いって話ですからね。猫人族、犬人族辺りも忘れちゃダメですけど、宗教国家と仲悪いからなぁ…少し当たってみるか」
光悦顔のリミとは逆に思案顔のシン。
どの世界でも管理職は大変な様だ…
読んで頂き感謝<(_ _)>




