第4-3話
「じゃ、交代!」
『セツラン交代な』
『行ってきます』
セツランがテシヲの元に行く。
『なー、ダバ兄、さっき何テシヲに言ってたの?』
『なんかごにょごにょ言ってたヤツ』
『あー、あれか?あとのお楽しみってヤツだ』
『『ブー』』
ちなみにリーヴァは家に帰っている。家族の説得やら手続きやらだ。
オレ達馬は楽なもんだ。
『それにしても他にスタッフ居ないのか?』
今はテシヲさんだけだ。
辺りを見渡しても…あ、居た。遠くから騎乗した人がやって来る。
「あら?貴方達はどうしたのかな?」
やんわり系の美人だ。何方かと言えば色気が勝ってる方かな?それなりの歳と見た!言えんが。
『あ、オレ達は…』
「おーい、アハティ!ちと手伝ってくれ!」
「はーい。またね」
ウインクしながらテシヲの元に行くアハティと言う女性。奥さんかな?
そこからは夫婦で同時進行だ。
二頭が調教、二頭が休憩。アハティさんの鞭で叩かれる時のエルくんが喜んでたのは言うまでもない…。
「さて、お前ら寝床はどうする?普通の馬なら馬房に入れるんだが、普通じゃねえだろ?」
『いや、今後の事も踏まえて馬房を体験してみるよ。あと、騎乗も』
「良いのか?確かジアンスはプライド高いんだろ?」
『最早オレ達はジアンスを超えたよ!平気さ!』
「お、おう…そ、そうなのか…なら明日からの馴致メニューに入れるわ」
変な告白に戸惑うテシヲ。
「じゃあ馬房に行くか」
『今日は個室だな!』
『初体験れふね〜。楽しみ!』
各自馬房につき落ち着く頃。ダバは独り考えていた。それは…いわゆるアイテムボックスの開発だ!
『鞍が結構重いし、背中痛めそうなんだよなぁ…』
その上荷物を運ぶとなると背中の負担や脚の負担も有る。恐らくスキルによる治療もあると思うが負担は減らしたい。
『なんとか開発出来んだろうか…カビちゃんいないかな?』
『呼ばれたら出てくるカビっス!』
あいも変わらず万能カビだ。
『よう、カビちゃん。アイテムボックスって作れるの?』
『あれ?以前自分の力で旅するからって言ってたじゃないっスか?チート使う気になったっスか?』
『細けー事はいいんだよ!つか以前の事は忘れてくれ。で、どうなんだ?』
『出来るっス。以前にも言ったっスけど、イメージが出来ていれば大丈夫っス』
『空間収納は?』
『出来ると思うっスけど、ダバさん頭を突っ込むンスか?人と違って手が使えないっスから』
『む?むー…』
頭を空間に突っ込んでる馬ってのもキモいな。
『んじゃ、収納袋タイプは?』
『ダバさん、手がないッスよ?前脚で探すっスか?』
『むー…ダメじゃん』
『そっスね。馬では難しいっス。何か違う手を考えた方が良いっスね』
どうやら難しそうだ…先送り決定。
それから数日が経ち、調教も一段落。
『テシヲさん、調教課程は終わりか?』
「そうだな。意思の疎通が出来るから早く終われそうだよ。お前らも慣れただろ?」
『合図さえ理解すればいいからね。そんなに難しくないし』
「騎乗にも慣れたし、終わりにするか。リーヴァさんに連絡しておくぞ」
『うん、よろしくー。で、アレどうなった?』
「アレか…上手く出来そうだ」
不敵な笑みを浮かべるテシヲ。
つられてニヤけるダバ。二人の悪巧みは加速して行く…
後日…
リーヴァの元に集まるダバ達、【無邪気な尻尾】。だがリーヴァの反応がおかしい。
「えっと…ダバ…よね?」
自信なさげに聞いてくる。それに対して声高らかに嘶くダバ。
『もちろんオレだ!どうだ!?カッコいいだろ!?』
自身みなぎる声で返答するが、その表情はわからない。
それもそのはず、各メンバーは鎧を着ていた。
馬用兜、首装甲、胸部装甲、臀部装甲等で固めた、完全装備だ。
「はぁ…」
盛大なため息をつくリーヴァ。
『どう?どう?』
カチャカチャと金属音を鳴らしながら寄ってくるダバ。
頭を押さえ凹むリーヴァ。
その後ではキラキラした目をする野郎共。
「誰と戦うのよ…却下!」
ガーンと音が聞こえそうなくらいショックを受けるダバ達。
『なぜだ…なぜこの浪漫が伝わらない…』
「同感だ…上手くできたのに…」
同じく凹むテシヲ。その反対側では野郎共だ同様に衝撃を受けていた。
「カッコイイじゃないか!」
「威圧感あるよな?」
「しびれるね!」
「リーヴァちゃん許してあげろよ」
等など、好き勝手に言っている。
「お黙り!こんなの来て旅に出れる訳ないでしょ!」
シーンと静まり返る…
「良い?アンタ達は強いのよ?
速いし勇敢だし、頭も使える。意思の疎通だってその辺の人より出来る。
なのになんでそんなビビった格好してるの?弱いの?」
『そんなことは無い!確かに強い人は多いけど…オレ達は弱くない!』
「なら堂々と生きなさい!弱みを見せない!装備に、見た目に頼るな!誇り高く生きろ!」
『『『『はい!!!!』』』』
周りから自然と拍手が起こる。だが、「子供の台詞じゃ無いな…年齢詐称疑惑?」「ホントにリトヴァの子なのか?」「鬼嫁だったか…」言いたい放題だ。
我に返り、恥ずかしくなったか、リーヴァは小さくなる。
「カッコよかったぞ!リーヴァちゃん」
そこにいるのはクレナイ達【真紅の遊戯団】だ。
『お!クレナイさんじゃん。見送りに来てくれたの?』
今ダバ達は馬具を外している。装甲は取り敢えずテシヲが預かることになった。
「やあダバさん。俺達もそろそろ旅立つ予定なんだ」
「そうなんです。私達は冒険者ですから、また何処か旅するつもりです」
『そっかー、どこかでまた会えるかな?』
「もち!噂を聞いたら直ぐ会いに行くよ!」
『うん!その時はまた宴会やろう!』
拳がないので前脚でグータッチ。普通の人なら危ないけど、クレナイさんなら大丈夫だ。
「ダバさん、オークの件ではお世話になりました。おかげで里は無事です。ありがとうございます!」
顔を出して来たのは族長デルタだ。一緒にモッキーもいる。
『ダバ。また帰って来いよ?お主らは歓迎するぞ!』
『おう!またなモッキー!』
「ダバさん…娘を…リーヴァを頼みます!!!!」
リトヴァだ。
人の親として、馬に頭を下げるのは辛いだろうに…
『任せてくれ!リーヴァは必ず守る』
「必ず…必ず…頼む」
涙ながらに頼むリトヴァ。
『あぁ。必ず!!!』
「頼むよ。ダバちゃん。良い男探したげてよ?」
「「姉さんを泣かすなよ!」」
エレオノーラ、オル、パルヴィッキの弟妹だ。
お母様…私、馬とは言え、一応男なんだが…
軽く相槌を打って躱す。
さて、挨拶も終わりだな。
旅たちの時だ。
『リーヴァ!行こうか!』
「いいけど、どこに?決めてないでしょ?」
『細けー事はいいんだよ!めでたい旅立ちだ!出てから考えようぜ!』
「幸先不安しかない…まぁ仕方ないわね」
ヒラリと鞍にまたがりダバに騎乗する。他の仲間には荷物が掛けられる。
(いずれ帆馬車が欲しいな)
でもスタートはこれでいい。不安と期待が入り交じり、適度な高揚感。
『さあ行こう!【無邪気な尻尾】の旅立ちだ!』
「『『『おう!!!!』』』」
意気揚々と旅立つ四頭と一人。
これから各地を周り、世界中を巻き込んでいく。
そんな彼等の旅が今始まった。
やっと旅立つ事が出来ました。
次話より第3章に入りますが…ストックゼロですw
次回更新予定は5月初旬にします。少々お待ちください




