第3-4話
ナニかに近付くエルくん。
『ねぇ、ボクを呼ぶのは君?みんな怖がってるけど…大丈夫だよね?』
闇の中、空中に蠢く得体の知れないモノ。
皆が形容しきれないモノ。
そのナニかに話しかけるエルくん。
『ねぇ、答えれるよね?ボクに話しかけたんだから』
『………我の声が聞こえるか』
『うん。聞こえるよー。ボクに用?』
ダバ達の目からは闇の空間にいるナニかと話しているエルくんが見える。だが、声は聞こえない。
『………我が力を求めるか?』
『力?強くなるの?』
『………純粋な力ではないが…な』
『なんでボクに?』
『………わかる奴にしかわからないからだ』
『?意味わかんない。結局君なんなの?』
『………我は思念体だ。ある想いを遂げたいのだ』
『その想いと、力と、関係あるの?』
『………ああ。貴様が引き継いでくれれば、我が力を、知識を授ける』
『うーん。どうしよっかなぁー。ダバ兄達に言っても反対されるだけだしなぁー』
『………』
『引き受けたらなんか変わる?』
『………さてな、素養のある者しか我の声は届かんのでな』
『今までいたの?』
『………おらぬ。貴様が初めてだ』
『よっぽどレアなんだね!良いよ!貰ったげる!!!』
『………感謝する』
レア物に惹かれたエルくん。
歩を進めナニかに飲み込まれる。
『エルくん!!!』
ダバ達の必死の声も届かずエルくんはナニかに飲まれた。
『ちくしょう!なんでだ!?なんで進むんだよ!』
『エルくん…』
ぺんちゃんが凹んでいる。
『カビちゃん!エルくんを助けて!』
セツランがカビちゃんに助けを求める。
『…大丈夫ッスよ。アレは不気味なだけで害?はないっス』
ひょこっとセツランの頭の上に現れた。
「うぉ!?なんだそれ!?」
事情を知らないクレナイ達が騒ぐ。
『カビちゃん!どういう事だ!』
そんな事はお構いなしにダバが息巻いてカビちゃんに絡む。
『ダバさん、落ち着くっス。エルくんは無事っスから』
『でも…でも…』
狼狽えながらもエルくんの方を見る。
ナニかが蠢きエルくんに絡み付いている。
『アレでも大丈夫だってのか!?』
カビちゃんに絡んでも仕方ないのはわかっているんだが、何も出来ないもどかしさからカビちゃんに当たってしまう。
「ダバ!少しは落ち着きなさい!」
『!?』
「アンタが狼狽えてどうするの!ジジイらしく落ち着けってさっきも言ったでしょ!?
そこのカビが大丈夫って言うなら、落ち着いて待つ!
何かあれば、そいつになんとかしてもらいなさい!」
無茶苦茶だ。だが少し我を取り戻せた。
『………すまんリーヴァ。お前には怒られてばっかりだな』
「アンタが子供だからでしょ!さっさと自分を取り戻しなさいな!」
『……あぁ、善処する。
…で、カビちゃんアレを知ってるのか?』
少し落ち着き、現状把握に努め出すダバ。
『落ち着いたッスね。良かったっス。んで、問題のアレっスけど…
アレは思念体。言わば幽霊の類いッスよ。問題がないって理由は、邪念が感じられないっス』
『思念体?』
『そっス。言わば想いが形を成したモノと言うべきモノっス』
『じゃあ…じゃあ、なんでこんなに不気味なのに大丈夫って言えるんだよ?邪念が無いのに不気味って…なんなんだアレは?』
『それは……』
「割り込み失礼します。カビさんと言いましたね。私はエーリカ。【真紅の遊戯団】の一員です」
エーリカがたまらず話に加わる。
『エーリカさん、ちょっと待って』
「ダバさん、答えがわかりました」
『ちょ、どういう事?』
他の【真紅の遊戯団】メンバーは「?」だ。
「彼の思念体は、解る者しか解らない思念体なんですね?」
『?』
『オイラが言おうとしてたのに……』
「すいません。我慢しきれず…」
謎が解けてスッキリ顔のエーリカさん。腹立つわー。
「ダバさん、つまりですね……」
『ダバ兄ぃー!終わったよー!!!』
元気よく、何事も無かったの如く帰ってくるエルくん。
『ちょっ!エルくん!大丈夫か!?何も無かった!?いや、何された!?今ならカビちゃんいるから何とかなるかもよ!』
カビちゃん頼りは嫌だが、背に腹はかえられない。
小さいプライドより仲間だ。
『大丈夫だよー。ダバ兄は心配性だなー』
『でも…あんな得体の知れないナニかに飲まれたんだぞ?心配するのが当たり前だろ!』
話してて腹が立ってきた。
『だいたいなんで無視して行くかな!止めろって言ったろ?無謀すぎんだよ!』
『ダバ兄に言われたくないなー』
ウンウンと頷く他の二頭。
ぐうの音も出ないダバ。
言葉にならず地団駄を踏む。
『ふー。ともかく、もうちょい相談してから行動してくれよな』
『まー、ボクには悪い感じがしなかったからね。だから大丈夫かなーって』
『で、結局何だったんだアレは?』
『アレは………』
今、ダバ達一行は討伐隊と合流していた。
問題のエルくんの背中には荷物が乗っている。それも鬣で縛られているのだ。
『で、その結び方もアレから引き継いだ事なのか?』
『そー。ボス=キンバーグって言う名前らしいよ。自分で言ってた。
あと、コードネーム?ってのもあるらしくて。それは……たしか【バンドーB】とかなんとか』
「【バンドーB】だって!?」
エーリカが反応する。
いや、その前にBて…なんでここで英語?誤変換か?転生者か?キンバーグて…緊縛師か?だから縛るのか!だからエルくんなのか!?
突っ込みどころ満載の遭遇に心の中で突っ込むダバ。
『んで、エーリカさんはそのバンドーBって知ってるんですか?』
「ええ、卓越な知識を有し人間界…エルドラドの闇の住人として有名人です。
裏切りや謀殺を繰り返し、バンドーファミリーを作り上げた一人です。コードネームはABCDとあるらしく、四人の大幹部がいたとか……
ですが、もう亡くなったと聞きましたが…こんな所に思念体がいたなんて」
どこのマフィアだよ。A〜Dって!ぜってー関係者の中に転生者がいたな。で、趣味が緊縛師…SMプレイヤーか!!!権利を手にして性癖目覚めたか!?
『はぁ〜〜〜〜』
心の突っ込みが止まらなくなり、深呼吸をするダバ。
『エルくん、引き継いだのは縛り方だけなのか?』
『んー、よくわかんない。スキルの【鬣】を使わなくても鬣を操作できるから、なんかあったのかもー』
と、他人事。
「恐らく、思念体との融合でマソの流れが効率化されたんでしょうね」
そんな事もあるよと、エーリカ。
『闇堕ちエルくんとか勘弁してよねー』
『ダバ兄じゃあるまいし、堕ちないよーだ』
大丈夫と知った途端楽観的な二頭。
『縛るのは荷物だけだぞ?』
『ノーコメントで』
笑い合う二頭。
その傍ら…
「しかし、中々合流出来なかったのはやはりアノ思念体のせいでしょうか?」
『断言は出来ないっスけど、その可能性は高いっス。ああいった思念体は周りに悪影響を及ぼすっス。
皆さんが進めなかったのは、キンバーグがエルさんに認識してもらいたかったんじゃないっスかね?』
「解る人?に解ってもらいたかった。って事かぁ」
エーリカとカビちゃんの会話にクレナイも交じる。
「そうでしょうね。ハレタさんやモッキーさんの索敵が、効果を出さない理由になりますし」
「愚者の一念は怖いな…」
ダバ、エルを見ながら呟くクレナイ。
「まぁいいやん。全員無事なんやし。はよ里に行って寝たいわ」
大あくびをしながらシロウが話す。
「だな。寝たいわ」
あくびが感染りこちらも大あくびのクレナイ。
「はは、お疲れの様ですな」
相手をするのは族長のデルタ。
エルくんがキンバーグを取り込んで、すぐに討伐隊と合流したのだ。やはりキンバーグが邪魔をしていたのだろう。
「里に付けば先ず宿を用意致しましょう。堅い話は休んでからですな」
里についたら取り敢えず寝る。
そんな感じで里に着き、各々宿に行く。
こうして長かったオーク襲来戦も終わりを告げる…
やっと里に帰れたw
読んで頂き感謝です。<(_ _)>




