第3-3話
だらだらと今までの経緯をモッキーに説明しつつ、リーヴァにもこれまでの話をしていた。
「うっそ!?ゴブリンに殺られかけたの?コレは評価を下げなきゃね」
ニヤニヤしながらダバを見る。
『しょーがないだろ?多数対個人なんだから』
「あんたなら楽勝だと思ったんだけど?」
『ぐっ…傷心だったんだよ!』
「へぇ〜?傷心ね?おおかた訓練が上手くいかず拗ねてたんじゃないの?ぷぷぷっ…子供じゃない」
見透かしたかのごとくダバをおちょくるリーヴァ。
『ちくしょー!』
「中身じじいが若返ってんじゃないわよ。じじいらしくドーンとやりなさい!」
『そうは言ってもなぁ…馬齢は短いし、慣れないんだよなぁ…』
「まったくしょうがないわね!」
怒られながらも仲良く歩く二人だ。
「それはそうと、この後あんた達と旅に出るんだけど、馴致とか教育出来てるの?」
『馴致?まったく出来てないぞ?つーか出来るわけないじゃん。人いないんだし』
「あ、そりゃそうね…。じゃあ里に戻ったら勉強ね。ダバも含めて全員」
いい笑顔で馬達を見渡すリーヴァ。対する馬達は引きつった顔。
『ダバさん、何されるんれふか?』
『ダバ兄、楽しい事?縛られる?』
『ししょー、ちょっと用事が……』
一頭安定の変態が……
『まぁ、ちょっとした意思の疎通を図る道具を勉強するんだよ。飼われてる馬達が付けてるだろ?顔とか背中に』
『あ〜、アレね。顔を縛り付けてるやつと、なんか咥えさせてたよね。あと、お腹も縛ってたよね!ゾクゾクするなぁ…』
エルくんはどこに向かってるんだか…
『なるほど。会話に頼らない道具れふか』
『うん。セツランは話が早いな』
『ししょー…めんどくさい』
『ぺんちゃんは勉強しような。どの道これから人や荷物を載せることもあるんだし、人の世界を旅するんだから必要なスキルだろうな』
『しょーがないかぁ』
ボヤきながらも承諾するぺんちゃん。
『パートナー乗せるんだろ?ちっちゃい獣人だったっけ?練習しなきゃな』
『はっ!!!?忘れてた!!!』
『だろ?乗ってくれないと寂しいしな。いずれオレもリーヴァ乗せるし』
「そうね。鞍も頭絡も手網も無い馬には乗って走れないわね。疲れるし、お尻痛くなるわ」
『コッチにもダメージあるからな。擦れて傷になり、化膿しかねない』
「そう。馬具って大事なのよね」
二人の説明に感心するほかの馬達。
『ふむ。これは真面目にやらねば…』
『喜んでちゃダメだね』
『あっという間に習得してやる!』
意気揚々の馬達。その姿を見てリーヴァが…
「あんた達にもパーティー名欲しいわね…なんか良いの無いの?」
『?パーティー名?ジアンス…じゃダメか?』
「それは種族名でしょ?なにかカッコイイの決めなさいよ」
『無茶振りを…うーん………』
「這い寄る性的倒錯とか?」
クレナイがとんでもない事言い出した。
『いやいやソレは色々ヤバいっしょ』
「そう?個性的でいいかなぁと思ったんだけど」
笑いながら言ってくる。絶対遊んでるな。
「それなら『馬王襲来』とかは?」
シロウが加わる。
『いやいや、そんなレベルに達してないから。てか、襲来って襲ってるやん』
「チッ、バレたか」
何させるつもりなんだか。
「んじゃ馬だけに『超弩級砲台』とか?」
『クレナイさん下ネタ好っきゃなぁー。やめましょ』
満更でもないが、呼ばれたくない。
「全員センスないわね。馬側からなんか無いの?」
『んー、【馬なり四ハロン】四頭だから』
『ダバさん、それはないれふ。【運命の馬達】とか?』
むむむ?良さげだ。やるなセツラン。
『いやいや、【緊縛の戦士達】なんかは?』
縛られてどーする。ブレないエルくんだわ。
『ここはししょーを崇めて【ダバと愉快な仲間たち】一択』
……ぺんちゃんひねりがない。
「どいつもこいつもセンスなさすぎね。私が決めてあげるわ。そうね、まだ子供だし…
……【無邪気な尻尾】でどう?」
ほう。リーヴァにしてはいいのが来た。口には出せないが。
「なに?珍しくいいこと言った、みたいな顔して。満更でもないんでしょ?」
『人の心を読むな!まぁ確かに気に入ったけど』
『いいれふね』『かわいいイメージがあるね』『姉御にしては良いな』
「誰が姉御よ!」
「決まりだな。これからダバさん達のチーム名は【無邪気な尻尾】だ」
『む?ならチームの一員として、リーヴァもテールを付けてもらおうか』
「私に尻尾付けるの?アクセサリー的な?嫌よそんなの」
「ダバさん…前尻尾?」
大爆笑の野郎共。どこの飲み屋だここは。
『クレナイさんやめれ。リーヴァ、アクセサリーじゃなくて、ポニーテールだよ。今、髪下ろしてるだろ?上げてポニーテールにしたらいい』
「後ろでくくるの?」
髪を束ねる仕草をする。
『もうちょっと上でな』
後頭部よりやや上で髪を束ねる。うなじが見えて良い感じだ。
『うん!そこ。可愛くなったぞリーヴァ!』
「やべぇ!!!コレいいな!」
食らいつくクレナイさん。ポニテフェチか?
手がそわそわしている。変態禁止。
「ふーん。見れないからわかんないけど、似合ってるなら良いかな?これで私も仲間ね!」
『チーム【無邪気な尻尾】(イノセントテール)誕生だ!』
『『『ヒャッハー!!!』』』
「おめでとう!【無邪気な尻尾】(イノセントテール)達!」
クレナイさん達にも祝福を受ける。
思いもよらぬタイミングでチーム名が出来たけど、これはこれで良かった。
チーム名も出来たし、里に帰って馴致したら出発だな……ってまだつかないの?
『モッキー討伐隊はまだ?』
『うむ…もう出会ってもいいんじゃがなぁ……』
少し不審がり辺りを探るモッキー。
『なんかあったの?』
『いや……特に……は……!?』
「!?」
全員が一斉にある方向を見る!!
ナニかがいる。もしくはナニかがある。
認識しにくいがナニかから出るナニかに全員が無視出来ずにいる……
「………エーリカさん。なんだアレは…」
「……わかりません。ですが、関わらない方がいいのはわかります。正しく悪いモノです。近寄らないのがいいです」
「……だな。アレは良くない。変な汗が止まらん」
「クレナイさんもですか…私もです」
他の【真紅の遊戯団】のメンバーも同様だ。闇の森を見つめて動けない。
【無邪気な尻尾】のメンバーも硬直している………が、ただ一頭平気な奴がいる。
エルくんだ。
『?みんなどうしたの?なんで動かないの?』
一頭だけ平気そうに動く。そして皆が固まってるのが不思議でたまらないと言った感じか。
『エルくん、動くな!アレに近づかない方がいい!むしろ離れろ!』
ダバが必死に訴えるが…
『でもダバ兄、ボクなんかアレに呼ばれてるんだよね。ちょっとおいでって』
正気を失った訳でもなく、呼ばれてるから行ってくる。と言った感じで動き出すエルくん。
『エルくん絶対やべーって!ダメだって!』
ダバの懇願も届かずエルくんはよく分からないモノに近付いていく。
『うーん、大丈夫っぽいよ?行ってくるー』
『エルくん!!!』
いつもの通り軽い足取りでナニかに近付いていくエルくん。
はたしてナニかとは何なのか?
エルくんは無事帰ってこれるのか?
【真紅の遊戯団】や【無邪気な尻尾】の面々はこの先大丈夫なのか?
読んで頂き感謝です。<(_ _)>




