幕間その2
〜あの世にて〜
「半年ぶりにダバさんに会いに行ったんですって?どうでしたか?」
今日は仕事の関係上、転生庁に来ているチャチャ。ついでとばかりにD田中に進展具合を尋ねるが…
「ダメだったよ。適当にあしらわれた感があったなぁ。またおやびんか、カビちゃんにやられたかな?」
やれやれ、と首を振ってダメ出しをするD田中。
「呆れた…またですか。貴方本当に嫌われやすいですね。以前の方々も同様じゃないですか。人望無さすぎじゃないですか?」
心底呆れた顔で見下し話すチャチャ。
「しょうがないじゃん!僕に出来るのはアフターケアだけでしょ?向こうの領域には手だしできないしさ。どうしろっての!」
そんな態度が人に嫌われやすい事を理解してないD田中。
「はぁ…本気で人事に関して苦言を入れたくなりますね。私にも報告義務があるんですから、少しでも情報仕入れて下さいよ?」
「そこまで言うならキミがやったらいいじゃん!」
「…貴方、クビになりますよ?」
「ぐっっ……やりますよ、やりゃぁいいんでしょ?ったくめんどくさい!」
「誠心誠意行って下さい。次回報告内容が無ければ…」
「脅すな!黙って待ってろ!」
フン!と鼻息荒く自室に戻るD田中に対しちょろいなと思うチャチャ。
「さて、他の視察をしなくては…」
D田中が本気になったらろくな事がないなぁ、と思う部下の鬼達は今日もため息を付くのだった。
「はぁ……」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
〜もう一つのあの世にて〜
「情報を漏らした様子は無いんだな?」
カビちゃんから報告を受け、確認するおやびん。
「多分大丈夫っす。でもこの先怪しいかもっす」
「なんで?」
「親のアルハザードから、オイラを信じるなって言われてたっす」
「アルハザードって、ちょっと前にリードさんと一緒に暴れてたあの馬?また厄介な親だなぁ…」
「まぁ仕方ないかなと思うんすけどね」
「カビちゃん確か一緒に行動してんだっけ?」
「…色々あったんす」
「報告は書面でしてくれ。でも多少は情報流れても構わんよ。どの道大筋では変えられんことが多いからな」
大目に見るよとおやびん。出来る上司だ。さっきの脅す人と大違い。
「助かるっす。ダバさん、最近集落を旅立ったんでこのまま様子を見るっすよ?」
「おお。エルフんとこに行くんだよな?ダバさんに変わった点はないか?」
「集落を出る前にアルハザードとやり合ったんすけど…そこでちょっと気になる点が有ったっす」
カビちゃんは二度目のスキル使用に関して気になる様だ…
「ふむ…書面で詳しく報告してくれ。以上だな?」
「他方面でも気になる点が有ったっす…」
カビちゃんの報告は続く…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ところ変わり
〜人族の国エルドラド〜
この世界で一番の人口を誇り、また多くの金が行き交う王国“エルドラド”
人々はこの国を黄金郷と呼ぶ。
首都アウルムの一角、騎士団詰所にて、一人の指揮官らしき騎士が部下より報告を受けている。
「アヴァロンのグリトニアの森で異変があっただと?」
「はっ!昨日夜半、探知部隊より報告が上がりました。報告によると、早朝グリトニア地方より大量のマソの集中が確認されました。その直後、強大な気配を感じたとの事です。気配の感じから、恐らく我が国で暴れまくったアルハザードではないかと」
「ヤツが動いたと言うのか?」
「いえ、気配はすぐに消えたようです」
困惑気味の部下が書類を見ながら報告している。
「するとなにか?ヤツらしき気配が【馬王顕現】をおそらく使い、直ぐに解術したって事か?訳が分からんな。【馬王顕現】を使わなくてはならない敵がいたにもかかわらず、直ぐに解術か…やはり魔獣のやることは理解できん」
「そうですね。目下アヴァロン方面の哨戒を厳にしております」
「うむ。それでいい。下がっていいぞ」
「はっ!」
敬礼をし、後ろに下がる部下。この場には指揮官一人だ。
「何かあったのか?アルハよ…」
男の名はダニー。多くの人達が住むエルドラドにおける軍部のトップ、ダニー騎士団団長、ダニー・ジールマンその人である。
「願わくばこのまま平和でいてもらいたいものだ…」
濃い顔つきで遠くを見るダニー。渋い良い味が出てるはずだ。
〜とある酒場にて〜
ガタッと椅子が倒れる音がする。頭までローブを被った人が急に立ち上がった。
「…なんだ?このデカい気配は?」
アヴァロン方面をフードで隠した目が睨む。
「なんだ?」
一緒のテーブルを囲むマッチョな男が聞く。
「いえ、アヴァロンの方でヤバそうな気配を感じたんです」
「ほほぅ…詳しく」
ニヤニヤし、更に目をキラキラさせながら聞いてくるのは、紅い髪の男。
「厄介事はゴメンだよ?」
めんどくさいなぁとしかめっ面の初老の男。
「詳しくも何も、強そうな気配がしただけですよ?直ぐに消えた様ですが…」
「おお?ヤバそうな匂いがするな!面白そうじゃん、次の目的地は決まりだね」
紅い髪の男はどうやらリーダー格の様だ。
「知りませんよ?尻拭いはご自分でお願いします」
ローブの人は諦めた声で応える。
「「はぁ…またか」」
ほか二名は疲れた様子だ。振り回される人ってのはどこの世界にもいる。
「良し!決まり!準備整えて出発な!」
出会ってはいけない二人が出会おうとしている…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ところ変わり
〜人族の国コンロン〜
ここは宗教の国コンロン。人生に疲れた人達が、自分の信じる神に祈りを捧げる土地。
そこの新興宗教団体の一つ
“ウロボロス”
急速に力をつけ始めた原因は、御神体である蛇神が現存しているからである。名をリード。
そう、アルハと共に旅をしていた蛇である。いつの間にやら蛇神になっていたのだ。全長5m程の蛇が蛇神になる話もあるのだがそれは別の話。
『うん?アルハの奴なんかあったのか?今の気配は【馬王顕現】だよな?』
奉納された酒の酒樽に首を突っ込んでいたのを止め、アヴァロン方面を見る。
『相変わらずド派手なヤツだな』
カカッと笑いながら再び酒樽に首を突っ込む。
『ぷはーっ!やっぱうめー!こっちの酒もイケるな!』
リードはダバと同じく転生者だ。やりたい事をやり暴れまくった挙句、神に至った。ある意味やりきった元人。
『なんかあったら言ってくるだろ。多分カビも絡むだろうし』
ツマミが欲しいなーと考え奥に消えていく蛇だった…。
今年最後の投稿です(^^)
来年も楽しめる話を書くんで、どうぞお越しください。
では、良いお年を〜




