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転生するなら馬でしょ!  作者: 駄馬
第1章
22/55

幕間その2

 〜あの世にて〜

「半年ぶりにダバさんに会いに行ったんですって?どうでしたか?」

 今日は仕事の関係上、転生庁に来ているチャチャ。ついでとばかりにD田中に進展具合を尋ねるが…

「ダメだったよ。適当にあしらわれた感があったなぁ。またおやびんか、カビちゃんにやられたかな?」

 やれやれ、と首を振ってダメ出しをするD田中。

「呆れた…またですか。貴方本当に嫌われやすいですね。以前の方々も同様じゃないですか。人望無さすぎじゃないですか?」

 心底呆れた顔で見下し話すチャチャ。

「しょうがないじゃん!僕に出来るのはアフターケアだけでしょ?向こうの領域(テリトリー)には手だしできないしさ。どうしろっての!」

 そんな態度が人に嫌われやすい事を理解してないD田中。


「はぁ…本気で人事に関して苦言を入れたくなりますね。私にも報告義務があるんですから、少しでも情報仕入れて下さいよ?」

「そこまで言うならキミがやったらいいじゃん!」

「…貴方、クビ(亡者)になりますよ?」

「ぐっっ……やりますよ、やりゃぁいいんでしょ?ったくめんどくさい!」

「誠心誠意行って下さい。次回報告内容が無ければ…」

「脅すな!黙って待ってろ!」

 フン!と鼻息荒く自室に戻るD田中に対しちょろいなと思うチャチャ。

「さて、他の視察をしなくては…」


 D田中(上司)が本気になったらろくな事がないなぁ、と思う部下の鬼達は今日もため息を付くのだった。

「はぁ……」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 〜もう一つのあの世にて〜


「情報を漏らした様子は無いんだな?」

 カビちゃんから報告を受け、確認するおやびん。

「多分大丈夫っす。でもこの先怪しいかもっす」

「なんで?」

「親のアルハザードから、オイラを信じるなって言われてたっす」

「アルハザードって、ちょっと前にリードさんと一緒に暴れてたあの馬?また厄介な親だなぁ…」

「まぁ仕方ないかなと思うんすけどね」

「カビちゃん確か一緒に行動してんだっけ?」

「…色々あったんす」

「報告は書面でしてくれ。でも多少は情報流れても構わんよ。どの道大筋では変えられんことが多いからな」

 大目に見るよとおやびん。出来る上司だ。さっきの脅す人と大違い。

「助かるっす。ダバさん、最近集落を旅立ったんでこのまま様子を見るっすよ?」

「おお。エルフんとこに行くんだよな?ダバさんに変わった点はないか?」

「集落を出る前にアルハザードとやり合ったんすけど…そこでちょっと気になる点が有ったっす」

 カビちゃんは二度目のスキル使用に関して気になる様だ…

「ふむ…書面で詳しく報告してくれ。以上だな?」

「他方面でも気になる点が有ったっす…」

 カビちゃんの報告は続く…



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ところ変わり


 〜人族の国エルドラド(黄金郷)〜


 この世界で一番の人口を誇り、また多くの金が行き交う王国“エルドラド”

 人々はこの国を黄金郷と呼ぶ。


 首都アウルムの一角、騎士団詰所にて、一人の指揮官らしき騎士が部下より報告を受けている。

「アヴァロンのグリトニアの森で異変があっただと?」

「はっ!昨日夜半、探知部隊より報告が上がりました。報告によると、早朝グリトニア地方より大量のマソの集中が確認されました。その直後、強大な気配を感じたとの事です。気配の感じから、恐らく我が国で暴れまくったアルハザードではないかと」

「ヤツが動いたと言うのか?」

「いえ、気配はすぐに消えたようです」

 困惑気味の部下が書類を見ながら報告している。

「するとなにか?ヤツらしき気配が【馬王顕現】(デウスインペラートル)をおそらく使い、直ぐに解術したって事か?訳が分からんな。【馬王顕現】(デウスインペラートル)を使わなくてはならない敵がいたにもかかわらず、直ぐに解術か…やはり魔獣のやることは理解できん」

「そうですね。目下アヴァロン方面の哨戒を厳にしております」

「うむ。それでいい。下がっていいぞ」

「はっ!」

 敬礼をし、後ろに下がる部下。この場には指揮官一人だ。


「何かあったのか?アルハよ…」


 男の名はダニー。多くの人達が住むエルドラド(黄金郷)における軍部のトップ、ダニー騎士団団長、ダニー・ジールマンその人である。


「願わくばこのまま平和でいてもらいたいものだ…」

 濃い顔つきで遠くを見るダニー。渋い良い味が出てるはずだ。



〜とある酒場にて〜

ガタッと椅子が倒れる音がする。頭までローブを被った人が急に立ち上がった。

「…なんだ?このデカい気配は?」

アヴァロン方面をフードで隠した目が睨む。

「なんだ?」

一緒のテーブルを囲むマッチョな男が聞く。

「いえ、アヴァロンの方でヤバそうな気配を感じたんです」

「ほほぅ…詳しく」

ニヤニヤし、更に目をキラキラさせながら聞いてくるのは、紅い髪の男。

「厄介事はゴメンだよ?」

めんどくさいなぁとしかめっ面の初老の男。

「詳しくも何も、強そうな気配がしただけですよ?直ぐに消えた様ですが…」

「おお?ヤバそうな匂いがするな!面白そうじゃん、次の目的地は決まりだね」

紅い髪の男はどうやらリーダー格の様だ。

「知りませんよ?尻拭いはご自分でお願いします」

ローブの人は諦めた声で応える。

「「はぁ…またか」」

ほか二名は疲れた様子だ。振り回される人ってのはどこの世界にもいる。

「良し!決まり!準備整えて出発な!」


出会ってはいけない二人が出会おうとしている…


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ところ変わり


 〜人族の国コンロン〜


 ここは宗教の国コンロン。人生に疲れた人達が、自分の信じる神に祈りを捧げる土地。


 そこの新興宗教団体の一つ

 “ウロボロス”


 急速に力をつけ始めた原因は、御神体である蛇神が現存しているからである。名をリード。

 そう、アルハと共に旅をしていた蛇である。いつの間にやら蛇神になっていたのだ。全長5m程の蛇が蛇神になる話もあるのだがそれは別の話。


『うん?アルハの奴なんかあったのか?今の気配は【馬王顕現】(デウスインペラートル)だよな?』

 奉納された酒の酒樽に首を突っ込んでいたのを止め、アヴァロン方面を見る。

『相変わらずド派手なヤツだな』

 カカッと笑いながら再び酒樽に首を突っ込む。

『ぷはーっ!やっぱうめー!こっちの酒もイケるな!』

 リードはダバと同じく転生者だ。やりたい事をやり暴れまくった挙句、神に至った。ある意味やりきった元人。


『なんかあったら言ってくるだろ。多分カビも絡むだろうし』


 ツマミが欲しいなーと考え奥に消えていく蛇だった…。


今年最後の投稿です(^^)

来年も楽しめる話を書くんで、どうぞお越しください。

では、良いお年を〜

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