『第十一都市ウィザード』
p45、第十一都市ウィザード
■概要
第十一都市ウィザード、別名魔術都市。
魔法を完全に儀式化し、魔法を上回る威力を出力するための研究を行っている都市。
魔法使いに強い対抗心を持っている者が多く、魔法使いをウィッチと呼び、自分たちをウィザードと呼び分けている。
従来の魔法はマギアデバイスとの接続によって行うが、魔術は魔法により肉体や脳を魔法適性に変化させる。脳に直接魔法式を刻むなどするため、マギアデバイスの有無関係なく魔法が使える。
この都市で発明された魔術は六種類プラス一種類に分けられる。白魔術、赤魔術、緑魔術、青魔術、紫魔術、黒魔術、そして儀式魔術。
白魔術は、皮膚を魔法適性に改造。
赤魔術は、眼を魔法適性に改造。
緑魔術は、口を魔法適性に改造。
青魔術は、脳を魔法適性に改造。
紫魔術は、心臓を魔法適性に改造。
黒魔術は、全身を魔法適性に改造。
儀式魔術は、場や物を使い、特定の儀式を行うことで魔法を引き起こす。
■歴史
〈2222年〉リリス家が肉体改造魔法を発明し、様々な実験体を用いて魔法実験を行った。それによって魔法に適した肉体を解明していった。
〈2233年〉リリス家が現在の第十一都市ウィザードに実験場を創設。多くの魔法学者が集まり、様々な実験が行われていく。
〈2244年〉リリス家が学校や住宅街などを建て、魔術都市ウィザードを創設。次第に人口も増え、土地も広がっていく。
〈2400年〉一部の者にしか与えられていなかった六種類の魔術と儀式魔術が大衆に広がってしまう。
〈2500年〉魔術は、魔法よりもリスクを伴う代償に威力を得る技術。そのため魔法使いと魔術者との間で対立意識が芽生え、魔法者を「ウィッチ」、魔術者を「ウィザード」と呼び分けるようになる。
〈2700年〉魔法者魔術者の分断が進むとともに、六色魔術それぞれの分断も起こり始めたが、六色正剣や六色法剣などの組織が成立したことにより、六色魔術の協調意識が高まった。
〈2815年〉閻魔の大災害。マギア噴火が発生し、大規模な被害が起こった。原因は都市の一極にマギア原子を集中させる実験中、近隣の実験場に置かれた爆発系魔導具が誤作動を起こし、爆発した。マギア原子が一極集中して密度が増加していたことで、爆発が大規模な威力に及び、十万人近くの負傷者が出た。
〈2931年〉選りすぐりの魔術者の連合によって初の異世界侵攻を開始する。対象となった異世界は「魔流星世界」。魔流星が降る夜だけ魔法が使える世界だが、魔術者には関係ない。そのため十日で侵攻を終え、技術や物資を奪った。
■産業
基本的に改造が得意なため、魔法適性に改造された武器や人身が売られる。この都市では放浪者や孤児、生物の魔法改造が頻繁に行われ、成功した個体は高値で売りに出される。そのような人身オークションを行う会場は都市のあちこちに点在し、かなりの集客を得ている。
その他、魔法改造そのものを商売としている店も多くあり、自分自身に魔術を刻むことを頼む者もいる。
成功率が比較的高い白魔術の魔法タトゥーは多くの集客を得ている。だが皮膚に刻むだけなので魔法自体の威力は低い。
農業や漁業、林業や鉱業など幅広い分野を行っており、農地は魔法により栄養や虫害を管理し、漁業も水質や生態系を魔法で管理できる。そのためどの分野でも品質が非常に高く、多くの場所へ輸出を行っている。
その他、大手魔法具メーカーや魔法医薬品メーカーを経営する「月島財閥」や、魔法乗り物メーカーの「アイダ」、知育菓子業界最前線の「カシナ菓子店」発祥地。
この土地の名産品には、ランダムな魔法が刻まれた「ランダムマッシュルーム」や豊富な魔力を含んだ「大魔力草」、傷を治して枯れる「エイドフラワー」や増殖する水「インクリー水」など、自然と魔法を宿した名産がある。
■地理
都市の中心には魔術により産み出された18キロメートル級の巨大な山があり、山の周辺に潤沢な水源や鉱脈が点在している。都市の上空には大小様々な浮島が十八個漂っている。熱い島や冷たい島、龍が生息する島や毒が蔓延している島など、島によって気候や生態系が大きく異なる。
この都市周辺はマギア原子の濃度が非常に濃いため、魔法使いにとって潤沢なエネルギーを得られる。だが過剰なマギア原子摂取による高魔病を引き起こすこともある。
都市の外周は濃い霧と深い森に囲まれているため、森の中でさ迷う者が後を絶たない。森の中には人を襲う魔法生物もいる。
都市内にも自然は多く見られ、滝や河川、森や山地が多々見られる。
天気や気候は魔法によって制御されているため、雪や雨などを降らせる際には事前に連絡が行われる。
■文化
一年に一度、都市全体で「魔術祭」が行われる。この一年間での魔術の功績などを表彰しつつ、様々な出店やイベントによって魔術を楽しむ十八日間。
スポーツの分野では、この都市で最も流行しているのが魔法野球である。三年に一度、六種類の魔術それぞれに分かれ、魔法野球で勝利を競い合う。基本的には黒魔術チームが優勝するが、時折確変が起こる。
その他、魔術種目十八を競い合う「魔術戦」が三年に一度行われる。
伝統工芸品には、人体の一部を魔法改造したものが多く見られる。脳内をえぐって光源を入れた「脳提灯」や息を吹き掛けて指が動く「腕笛」、人骨製の「男傘」「女傘」、人の顔で作った「男面」「女面」などがある。
■交通
都市のあちこちにテレポートポイントがある。儀式魔術によって事前に設定された十八か所にテレポートポイントが設置され、瞬間移動できる。テレポートポイントはテレポート駅となって発展し、飲食店や娯楽施設が併設されている。
他にも、魔術絨毯や魔術ほうきなどにより上空を飛行する移動手段や、魔術特急が一番線から十八番線まであり、街の景色を眺めながら優雅に移動する手段もある。
その他、「スカイホース」や「デカラット」など魔法生物を利用した移動手段や、人力車などがある。
■教育
都市内には各魔術それぞれ一つずつ学校があり、学校では魔法改造に適した肉体づくりや魔術知識、儀式魔術の教育を行う。十八歳以下の子供だけが在籍できる。
成績や実績によって階級が分けられ、低い順でLEVEL-1からLEVEL-5まである。
【黒魔術養成学校】
宵凪姑冥が理事長を勤める学校。この学園には、深夜になると理事長に似た人物が現れるという噂がある。だが目撃した全ての人物が肉体を欠損している。地下には多くの人に心中の魔術をかけた魔女が生きたまま拘束されているという噂まである。
【赤魔術養成学校】
紅波くれんが理事長を勤める学校。目隠し試験や眼帯試験、不可視試験など、視覚や目に関する試験を行う。
【青魔術養成学校】
思考力や想像力、妄想力や知識量を重視し、成長させる。
【緑魔術養成学校】
早口術や長息術、読唇術や水中呼吸などを重視し、成長させる。
【紫魔術養成学校】
肺活量や無呼吸試験、胸筋の強化を重視し、成長させる。
【白魔術養成学校】
筋トレや日焼け試験、全裸試験や痛覚への慣れを重視し、成長させる。
■政治
2450年、魔術技術の大衆化によって魔術事件の増加を恐れたリリス家が、魔術法を制定。現在ではこの法律に幾つか条項をつけ足したものが施行されている。
現在の第十一都市ウィザードは、リリス家と六人の魔術高官によって統制されている。六人の魔術高官は六色魔術のそれぞれトップ。
またその直属には「六色正剣」と呼ばれる警察組織と「六色法剣」と呼ばれる裁判組織、「六色論剣」と呼ばれる議会組織がある。
現在、議題として多く語られているのは、魔法適性改造失敗者への救済、強制改造の禁止化、魔術犯罪の未然阻止、など。
■対外関係
どの世界よりも秀でた魔法の技術がある「超魔法世界フェアリアル」と交流を行っている。魔法技術の交換や共同での魔法開発等を行う。
第一都市ギルド都市には、魔法使いが多くいるため、極力閉鎖的な対応をとっている。だがギルド所属冒険者が都市内で問題を起こそうものなら、大きく取り上げて批判を集中させる。
第三十都市マギカには、度々技術提供を行っている。見返りに研究成果などを得ている。
■観光
●旧宝船墜落庭園
二百年前、上空を飛行していた宝船が墜落した場所。現在では庭園となっているが、地中には宝が埋まっている。掘ることは禁止されている。
●氷床太古林
地中には深く氷が広がっており、ひんやりとした空気が肌をさする。
●魚群海
人畜無害な魚がたくさん泳いでいる海水浴場。
●魔術館
儀式魔術や六種類の魔術が楽しめる施設。十八号館まで増設されている。
●サーラリゾート第一号
スキー場、ホテル、海水浴場、遊園地で構成される複合リゾート施設。半人半蛇のサーラ=サラマンダーが経営する複数あるリゾートの一つ。
●温泉島
十八ある浮島の一つ。温暖な気候で、島のあちこちに天然温泉がある。
●魔法生物島
十八ある浮島の一つ。島の場所ごとに気候や天候が大きく異なり、多種多様な魔法生物が暮らす。
■魔法生物
●ドラゴン
なつき難易度:★★★★★
基本的に翼を持ち、剣も通らない硬い鱗を持つ。様々な属性の個体がいて、火炎臓器や氷結臓器などを持っている。
●ペガサス
なつき難易度:★★★★☆
翼を持った白馬で、世界で一匹だけ黄金に輝くペガサスがいる。
●ケルベロス
なつき難易度:★★★★☆
三つの犬の頭を持ち、狂暴で獰猛。酒好き。
●マッハビー
なつき難易度:★★★☆☆
超音速で飛行する蜂。猛毒を持っているが、全身に広がるまで一日かかるほど遅効性。蜂蜜さえ上げればなつくが、毎日あげなければいけないのと、品質が悪ければ攻撃される。
●エレメントコブラ
なつき難易度:★★★☆☆
様々な属性を持った大蛇。火属性の個体や氷属性の個体など様々おり、二属性以上持つ個体もいる。
●ウルトラゴリラ
なつき難易度:★★☆☆☆
受けた魔法を30時間コピーできるゴリラ。結構人懐っこいが、主人と決めた一人以外には懐かない。
●フォグクロウ
なつき難易度:★★☆☆☆
突如霧が発生したなら、原因は大体この鴉。獲物を見つけたら霧で視界を奪い、襲う。たとえ相手が人でも。賢い人間にだけなつく。
●七転ダルマ
なつき難易度:★★☆☆☆
このダルマ周辺では地に足をつけた全ての生物が転倒する。
●ダリィキャット
なつき難易度:★☆☆☆☆
いつも気だるげな猫。過去に失踪した実験体が繁殖した子孫であり、実験が失敗したことにより倦怠感を常に感じるようになった。本来は魔法を使えるようにするつもりだったが、ただ劣化させただけだった。
■出身魔法使い
【ウィザード名誉魔法賞】
第十一都市ウィザードの発展に貢献した人物に与えられる賞。不可能と思われていたことを可能としたり、多大な利益をもたらした魔術の発明などを称える。
●ナイトメア=ダークカリバー
黒魔術師範代。
魔術都市に訪れる危機を何度も防いだ。最期は冤罪によって民衆の手で命を奪われた。
●ローラ=カーディナルナ
赤魔術師範代。
三つ目化改造初の成功体。
●セラ=クリスティーナ
緑魔術師範代。
百を超える論文を提出するほどの学者。『緑魔術理論』という論文を提出し、緑魔術の適性改造成功率を飛躍的に高め、威力も強化させた。
●ホワイティーニャ=ペロペロ
白魔術師範代。
魔法タトゥーのデザイン性を追求し、様々な世代に刺さるデザインを発明。それにより魔法タトゥーを彫る人が増加した。
●シルバーリリス=クイーン
銀魔術師範代。
彼女は堕天使。翼を魔法適性に改造し、見事成功させた初の実験体。翼の魔法適性改造を銀魔術と命名し、研究を行っている。
【等級別ウィザード】
ウィザードは貢献度や能力によって等級をつけられ、最も上が六ツ星、最も下が星ナシ。
●バーミリウォン=ナーガ
六ツ星魔女。
背中に七匹のエレメントコブラを移植させた赤魔術師。
●カーハ=イリーナ
一ツ星魔女。
恋多き女性であり、ヤンデレで、嫉妬深く、執念深いが、奉仕型で尽くしたいタイプ。赤魔術師。
●ヨツバ
星ナシ魔女。
駆け出しの緑魔術師。トラブルメーカー。
■組織
【魔女創生機関ウィッチクラフト】
魔術により魔女を創生する組織。数多の魔女が産み出される中で、最高傑作の五人がいる。この機関に入った際に名は捨てるため、それぞれ異名が与えられる。「友愛」「冷愛」「熱愛」「慈愛」「悲愛」の五人。
【秘密魔術組織ペンタグラム】
目的は祖先の遺産『五芒星魔導書』の回収を目的とする組織。組織のボスはグリモワール家出身。多くの魔導具を所有している。
【星人合成機関スターゲート】
人とモンスターの合成実験を秘密裏に行っている組織。時折街で暴れさせたり、ダンジョンで生存できるかサバイバルさせている。
【異形解放軍】
主に星人合成機関スターゲートにより合成させられた者で構成された組織。スターゲートを滅ぼすため日々戦っている。
■過去の事件
【新世界転移騒動】
2918年、都市のあちこちにストーンサークルが出現する奇妙な現象が発生した。魔力が感知されたことから、魔法的または魔術的原因と判断し、捜査が開始される。
捜査の中で、異世界から来た人物がこの現象に絡んでいることを暴く。そして十八か所にストーンサークルが建造された瞬間、この都市が異世界へ転移されるということを知る。
ストーンサークルは破壊しても再生される。阻止するためにはストーンサークルを生成している首謀者を探し、倒すこと。
六色正剣がギリギリのところで阻止したものの、魔法使いによる事件ということもあって、魔法使いと魔術者との間で分断が加速する。だが犯人は超魔法世界フェアリアルの人間であることが後々発覚する。
【百万人の魔女計画】
2920年に起こった事件。
魔女創生機関ウィッチクラフトは、日々魔女創生の実験を行っていた。そんな中、一人の学者が次のような提案をした。
優秀な魔女を時間をかけて育てても、個体に才能がなければ弱者のまま。であれば無数の魔女を産み出し、その中から優れた個体のみを抽出すれば良い。
この提案に賛同した機関は、東領土の「ナキ王国」にいた国民を実験対象にすることを決めた。人口およそ百万人。実験対象の国に魔女の血を含んだ百万匹の蛍を投下。蛍が百万人の人々に魔女の血を投与し、肉体が魔術的適性を獲得するために変化する。その際、肉体が負荷に耐えきれずに死亡する場合がある。また、全ての者が適性を獲得できるわけでなく、後遺症だけ残ったり、何も起こらないこともある。
投与後、魔法を発現させた十八名のみを回収した。ギルドは報告を受け、ナキ王国を調査したところ、五十万人もの民が後遺症を負っていた。半身が異形になる者、五感を失う者、全身が変色する者など。
ギルドは実験場を突き止め乗り込んだが、既にその場所は捨てられており、当作戦に参加した末端構成員は失踪、または遺体で発見された。
【ヒューマンプレイ】
深夜、街を歩いていた人が突然失踪する事件が連続して起こった。六色正剣が捜査したところ、右腕がライオンの頭、左腕が鷲の頭、足が蛸の奇妙な人間が人を襲っていた。
しばらくしてその生物は討伐され、事件は解決した。
〉p46、第十二都市ドワーフランド




