『スパイ』
p33、スパイ
■概要
スパイとは、組織や異世界などに侵入し、味方を装いつつ秘密裏に情報を盗み出す職業。時に命の危険が伴う組織への潜入、時に世界の命運を懸けた任務の遂行など。
スパイは仕事の特性上、いつ死んでもおかしくない。これまで多くのスパイが生まれ、その多くが命を落としている。
死んだ者が帰ってくることはない。組織や異世界で葬られ、二度と帰っては来ない。
スパイにとって必要な能力は、
・柔軟な対応力
・洞察力
・変装力
・度胸
・情報収集能力
・戦闘力
などである。
どれほど優秀であろうと、確実に生き残れるスパイは存在しない。異世界や魔王軍に潜入する場合には特に、命の保証をできない。
この魔法世界において、絶対にバレないということはない。心を読む魔法があれば、真実を吐かせる魔法があれば、簡単にボロが出る。
だからこそ、スパイの誰もが命を懸けている。
■業務の流れ
○情報収集
まず組織へ潜入することから始まる。同種族への潜入であれば大がかりな変装は必要なく、顔を変えて潜入する。
ある程度信頼関係を築いた後、組織の拠点の地図を脳内で作成する。相関図なども作成し、脳内記憶をメモリアルチップへ保存する。
組織の情報庫を発見し次第、情報庫へアクセスする。機械上に情報が保存されていれば、『AZ』を侵入させ、情報を奪う。
リーダー格や幹部級の情報を引き出すため、メモリアルチップを密かに頭へかざす。情報収集後、極秘裏に本部とやり取りをし、情報を記したメモリアルチップを渡す。
○暗殺
スパイは場合によっては暗殺を行う。自分の身の危険を振り払える場合であったり、その者の命がある限り世界の命運が脅かされる場合、決行する。
スパイの本業は「郷に入り郷に従う」。だが時に郷をおかす必要性を求められる。
■スパイ道具
【メモリアルチップ】
頭にかざすことで、その者の記憶を抽出できる。抽出した記憶はチップに記録され、脳にチップを挿入することで記憶を見ることができる。
【自律起動ソフト『AZ』】
実体を持たないデータだけの存在。最初の契約者の指示に従い、以降契約者の願いを叶えるために自律的に行動する。基本的には機械や異世界ネットワークに侵入し、行動する。情報を引き出したり、書き換えたりする。
【脳内寄生プログラム『きびだんご』】
寄生ウイルスが組み込まれた団子。この団子を食べさせた相手を服従させることができる。
【パルスガン】
パルス弾を放つ拳銃。機械へ放てば機能を一時的に停止させ、人へ撃てば気絶させることができる。
【コードデバイス】
コード魔法が発動できる端末。魔法ごとにコードが割り振られ、デバイスにコードを入力することでデバイスを通して魔法が発動する。
【ステルスコート】
着ることで透明になれるコート。視覚的に透明になれるだけのため、嗅覚や聴覚で気付かれる可能性はある。
【位置情報取得道具】
髪留め型や腕時計型、その他様々なアクセサリーの形状の道具がある。この道具から放たれる魔力信号を逐一感知し、居場所を突き止める。
【睡眠薬】
水などに溶ける性質を持つ睡眠薬。服用すれば深い眠りに落ちる。
■スパイ術
○音無
一切の音を立てずに移動する技術。吐息すらも漏らさず、完全に音を消す。
○声帯模写
他者の声を真似る。物や動物などの声も出せれば一流。
○複眼
眼球を高速で移動させ、通常より広い範囲を視界に入れる。ただ集中力が必要で、疲労も大きい。
○反響定位
音を発した後の反響によって、周囲の物体や位置などを把握する。
○踏影
踏んだ影に潜り込む。
○記憶蹴り
相手のこめかみを一定以上の強さで蹴ることで、相手の瞬間的な記憶を飛ばす。
■スパイ組織
【エルキューレ】
堕天使により結成されたスパイ組織。依頼があればどこへでも潜入し、やがては滅ぼす。そんな噂が流れるほど恐ろしい組織。
堕天使は心を見分け、仲間になってくれそうな者や危険な人物を判断できる。触れただけで自分の思い通りの方向へ心を染め上げることも可能で、組織内乱を起こすこともできる。
過去に、スパイとバレてその組織を滅ぼした者も所属している。事務所は第十四都市〈ソラ〉に構えている。
【シャドウハウス】
シャドウマンにより創設されたスパイ組織。シャドウマンという種族は影そのものであり、影のまま組織へ潜入し、情報を集める。そのため一般のスパイと違い、バレずにスパイ活動を行う。
ただ影の少ない時間帯や場所はスパイ活動が限られるため、向いていない。
【Fゼロ】
五王国地帯〈闇王国〉にかつて存在したスパイ組織。世界最初のスパイ組織であり、異世界歴1192年に成立した。
Fゼロは戦闘員の中から隠密性や影の薄さに長けた人物を引き抜き、スパイ教育を一年行い、他四国へ潜入させた。
結果、全てのスパイがバレて拘束され、計画は失敗に終わった。
■スパイガーデン
スパイ養成学校スパイガーデン。一流のスパイを育てるために創設された学校であり、これまで多くのスパイを輩出してきた。
スパイに必要な戦闘力、隠密性、観察力、情報収集能力など、あらゆる能力をくまなく鍛え上げる。
第十六都市〈ナイトメア〉で創設されたため、周辺都市はスパイガーデンの同行に警戒している。
第十六都市は無法都市であり、多くの悪行を積み重ねてきた都市。その都市がスパイ養成学校を創設したため、在籍する生徒の顔や特徴を各都市が収集している。
警戒している通り、スパイガーデンの卒業生はやがて各都市の主要機関などに潜入する予定である。容姿などの情報が入っている者は門前払いできるが、中には潜り抜ける者もいる。
■歴代スパイ
○スカーレット
皇宮スパイ。王宮や皇宮など国の中枢に忍び込むことを得意とする。王や権力者に好かれる術を熟知しており、懐まで忍び込める。
現在のスカーレットは二代目。初代スカーレットは第七魔王の魔王宮殿に潜入し、死亡している。初代と二代目は同様にギルド所属スパイ。
○榊原
本名は不明。素顔も不明。常にあらゆる組織に潜入し、あらゆる組織の情報を秘密裏に入手し続けている。全ての情報はブラックマーケットで販売されている。超能力者という噂がある。
○黒猫
動物になる魔法を使える。潜入する組織の愛ペットになり、情報を聞き盗む。
■スパイが絡んだ事件
【堕天使の殲滅】
エルキューレ所属スパイは依頼によって骸亡き異世界へ潜入した。骸亡き異世界はスケルトンや骨系種族が暮らす異世界であり、密かに異世界征服を目論んでいた。
スパイはスケルトンに変装し、征服の日時や場所を盗み出そうとしていたが、ある時彼らにそれがバレた。一万を超えるスケルトンが襲いかかったが、スパイは皆殺しにしてしまった。
骸亡き異世界の異世界征服は阻止したものの、エルキューレの恐ろしさを各世界に植えつけてしまった。
【奇跡の七日】
第七魔王が支配する異世界に潜入した初代スカーレット。魔王宮殿にメイドとして潜入し、上手く馴染んでいた。異世界進出の阻止、幹部の暗殺など、順調に任務をこなしていた。
だが、同じくスパイとして潜入していた相方が魔王軍に寝返り、スカーレットを告発する。スカーレットは逃亡を計り、魔王軍は包囲網を敷く。だがスカーレットは逃亡をしていなかった。自らの命の限界を見極め、情報収集へ全力を注いだ。変装、ハッキング、あらゆる手を打ち情報を集めた。
彼女が見つかるまでの七日間で、第七魔王軍の軍容や個々の能力や弱点等を保存したメモリアルチップを作成。それを手に入れれば第七魔王軍を圧倒できる一手となる。
スカーレット処刑後、隠していたチップは魔王軍に見つかった。彼女の七日は全て無駄になった。
──はずだった。
彼女は全てを読んでいた。告発から処刑、その後に至るまで、全ての道筋を描き、策を労した。メモリアルチップは二枚あった。一つは魔王軍に見つかった。だがもう一つは、密かにあるスパイのもとへ渡り、本部へ届けられた。
第七魔王軍の全情報が流出し、やがて第七魔王軍を滅ぼす軍が結成される。
〉p34、吸血鬼ハンター




