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25.秘められた誓い

わずか10分間の奇跡のような再会を終えた後、デイトナは胸の中で渦巻く焦る気持ちをグッと抑え込んだ。

ここで怪我が癒えぬまま無謀に動けば、今度こそ命を落とし、トリスタンを救う術は永遠に失われてしまう。デイトナは湧き上がる感情を鎮めて自らを冷静に保ちながら、団長から告げられた言葉を反芻していた。

(邪なる魔術を切り裂く、聖なる王家の剣……)

デイトナが向かったのは、城の地下最深部に位置する、打ち捨てられた古い道具置き場だった。

かつて城の改修時に不要となった武具や資材が積み上げられ、今では兵士たちも滅多に足を踏み入れない忘れ去られた場所だ。

静まり返った暗がりの中、ランタンの灯りだけを頼りに、デイトナは埃と油の匂いが立ち込める室内を慎重に捜索した。雑然と置かれた木箱や棚を一つひとつ検分し、やがて部屋の最奥、壁際にひっそりと置かれた頑丈な鉄箱にたどり着く。

長年の埃を払い、重い鉄の蓋を持ち上げると、底に固く布で巻かれた一振りの剣が眠っていた。

布をほどいた瞬間、デイトナは息を呑んだ。

古びてなお気品を漂わせる白銀の護拳。そこに刻まれていたのは、かつてトリスタンが胸元に着けていた「金のブローチ」とまったく同じ、王家の紋章だったのだ。

「これは……間違いない」

胸の高鳴りを抑えながら、デイトナは静かにその剣の柄に手をかけ、ゆっくりと鞘から引き抜いた。

ズバァァンッ……!

その瞬間、道具置き場の静寂を切り裂くように、圧倒的な威光と澄んだ聖なる光が溢れ出した。

光は部屋を照らし出すだけに留まらなかった。

デイトナの身体に、直ちに劇的な変化が訪れる。

側腹部を苛んでいた重く不気味な冷気——バーンの黒蛇から受け、体内に残り続けていた凶悪な呪詛の魔力が、聖なる光に包まれた瞬間に一拭きで浄化されたのだ。灼くような痛みは一瞬で引き、残されたのは単なる皮膚の浅い「かすり傷」だけだった。

「傷の魔力が……消えた……?」

身体を蝕んでいた痺れと重苦しさが完全に消え去り、全身に驚くほどの軽さと力が戻ってくる。

己の身体に起きた奇跡をその身で体感し、デイトナはこの剣こそが邪なる魔導を祓う「王家の剣」であると深く確信した。

(バーンは、私がこの呪詛の傷で今も瀕死の床に伏していると思い込んでいるはずだ)

デイトナの蒼い瞳に、鋭い光が宿る。

相手の油断こそが、最大の勝機だった。

夜の9時。完全にデイトナを無力化したと思い込んだバーンが油断して眠りにつくその刻限を見計らい、デイトナは聖剣を手に本の世界へ突入することを決意する。

「トリスタン。……今、救い出す」

聖剣を固く腰に差し、デイトナは溢れる気迫とともに、決戦の舞台・王家図書館の禁書棚へと向かって力強く歩み出した。

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