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大魔王ビックベンの伝説・その腹痛は世界を救う  作者: 水源


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22/22

最終話 勇者パーティの明日は続く

 ――そして。


 翌朝。


 まだ朝日が山の稜線から顔を出したばかりだというのに。


「大変だあああああああ!」


 宿舎いっぱいに、グーンの絶叫が響き渡った。


「何だ!?」


 ムーニーが毛布を跳ね除ける。


 寝ぼけた頭のまま剣へ手を伸ばし、勢い余って椅子に膝をぶつけた。


「いってぇ!」


「敵襲ですか!?」


 ポコも飛び起きる。


 寝巻き姿のまま鍋を抱え、髪をぐしゃぐしゃにしたメリーズが部屋から飛び込んできた。


「火事!?」


 オヤスミは反射的に薬箱を抱えている。


「怪我人は!?」


 ビッグ・ベンに至っては。


「魔族の軍勢か!」


 寝台から転がり落ち、それでも堂々と立ち上がった。


 朝の静けさなど、とうの昔に吹き飛んでいた。


 そして。


 全員の視線が。


 部屋の中央で肩を上下させているグーンへ集まる。


「何があった!?」


 ムーニーが叫ぶ。


 グーンは荒い息を整えながら、指を震わせた。


「……パンが」


「パン?」


「パンがない!」


「…………」


 一瞬。


 誰も言葉を発さなかった。


 窓から差し込む朝日だけが、妙に明るかった。


「……は?」


 ムーニーが聞き返す。


「だから!」


 グーンが食卓を指差す。


 そこには。


 昨日まで確かに置いてあったパン籠があった。


 しかし。


 中身は空っぽだった。


「パンが全部なくなってる!」


「昨日、二十個買っただろ!?」


「そうだ!」


「じゃあ何でないんだよ!」


「俺に聞くな!」


 グーンが怒鳴り返した。


 そして。


 全員が。


 ゆっくりと。


 一人の方へ顔を向ける。


『…………』


 壁際。


 巨大な身体を丸めるようにして座っている邪神。


 その口元には。


 パン屑が一つ。


「…………」


『…………』


「邪神」


『なんだ?』


「パンは?」


『食べた』


「何個?」


『二十個』


「全部じゃねえかあああああ!」


 グーンの悲鳴が、再び宿舎を揺らした。


『我のパンだ』


「確かにそうだけど!」


『働いた』


「働いたから二十個買ったんだろ!」


『だから食べた』


「そういう意味じゃない!」


 グーンが頭を抱える。


 その横で。


 ポコが小さくため息をついた。


「……朝ご飯、どうしましょう」


「パン以外ならありますよ」


 オヤスミが棚を覗き込む。


「干し肉があります」


「昨日の残りの野菜もありますね」


「じゃあスープにしよう!」


 ポコが鍋を抱え直す。


『…………』


 邪神の目が。


 明らかに沈んだ。


「何だよ」


 グーンが見る。


『パンがない』


「お前が食ったんだろ!」


『…………』


「反省しろ!」


『……すまない』


 邪神がしょんぼりと肩を落とす。


 そのあまりの落ち込み方に。


 誰も何も言えなくなった。


「……まあ」


 ムーニーが苦笑する。


「今日は仕事をしてから買いに行こう」


『本当か?』


「ああ」


『パンを?』


「パンを」


『いっぱい?』


「稼いだ分だけな」


 邪神の目が。


 ぱっと輝いた。


『働く!』


「切り替え早っ!」


     ◆


 朝食を終えるころには。


 宿舎の中にも、ようやく落ち着きが戻っていた。


 木の床を踏む音。


 鍋から立ち上る湯気。


 温かなスープの香り。


 食器の触れ合う小さな音。


 窓の外では、町が少しずつ目を覚ましていた。


 遠くから荷車の車輪が転がる音が聞こえる。


 パン屋の前には、すでに人が並び始めているらしい。


 そんな平和な朝だった。


「さて」


 ムーニーが立ち上がる。


「今日の仕事を決めるぞ」


「稼げるやつにしましょう」


 グーンが即答する。


「できれば昨日みたいに」


 メリーズが依頼書を並べる。


「薬草採集」


「却下!」


「街道警備」


「却下!」


「荷物運び」


「却下!」


「家の掃除」


「……報酬は?」


「銀貨三枚」


「却下!」


「早いな!」


 グーンが笑う。


 メリーズは依頼書を一枚めくった。


「では、これ」


「何だ?」


「鉱山採掘」


 全員の動きが止まった。


「昨日の続き?」


「違います」


 メリーズが首を振る。


「別の鉱山です」


「報酬は?」


「金貨十枚」


「行こう!」


 ムーニーが即答した。


 全員が頷く。


 その横で。


『パンは?』


「働いてからだ!」


『分かった!』


「そこだけ理解が早いな!」


     ◆


 鉱山へ向かう道は。


 昨日より少しだけ遠かった。


 朝露の残った草を踏む。


 ざく。


 ざく。


 靴底から湿った土の感触が伝わってくる。


 山の空気は冷たい。


 町よりも明らかに気温が低く、吐く息がわずかに白かった。


 やがて。


 木々の切れ目から。


 灰色の岩肌が見えてくる。


 その麓に。


 一軒の小さな建物が建っていた。


「ここです」


 依頼主の鉱山主が出迎えた。


 日に焼けた顔。


 煤で黒くなった手。


 厚手の作業着。


 長年、鉱山で働いてきた男なのだろう。


「最近、鉱夫が足りなくて困っていましてね」


「任せてください!」


 ムーニーが胸を張った。


「我々は勇者パーティです!」


「……はあ」


 鉱山主は。


 ムーニーを見る。


 グーンを見る。


 賢者のメリーズを見る。


 聖女のオヤスミを見る。


 鍋を抱えたポコを見る。


 大魔王ビッグ・ベンを見る。


 そして。


 最後に。


 山の向こうから顔を出している巨大な邪神を見る。


「…………」


 しばし沈黙。


「……採掘って」


「はい」


「そんなに大人数でやるものでしたっけ?」


「普通はもっと少ないですね」


 ティベリウスが答えた。


「ですが」


 ちらり。


 邪神を見る。


「今日は効率重視です」


「…………」


 鉱山主は何も言わなかった。


 ただ。


 遠い目をした。


     ◆


 坑道の中は。


 ひやりとしていた。


 外の風とは違う冷たさだ。


 湿った岩の匂い。


 土の匂い。


 古い木材の匂い。


 ところどころに置かれた松明が、橙色の明かりを揺らしている。


 足元では。


 水滴が。


 ぽた。


 ぽた。


 と落ちていた。


「ここが採掘場所です」


 鉱山主が壁を叩く。


「この辺りに鉱石があるんですが、最近はなかなか見つからなくて」


「なるほど」


 ビッグ・ベンがツルハシを肩に担ぐ。


「ならば余に任せろ」


「お願いします」


 ムーニーたちが少し離れる。


「いくぞ!」


 ビッグ・ベンが振りかぶった。


 そして。


 ――ドゴォン!


 凄まじい音が響いた。


 岩盤が砕ける。


 細かな石が跳ねる。


 土煙が舞い上がる。


「おお!」


 ムーニーが歓声を上げる。


「さすが大魔王!」


 ビッグ・ベンが胸を張る。


「ふっ。


 この程度、造作も――」


 そのときだった。


『……どこだ?』


 邪神が。


 ビッグ・ベンの横へやって来た。


「…………」


 ビッグ・ベンが嫌な予感を覚える。


「何だ」


『ここか?』


「そこは今、余が――」


 邪神が。


 岩壁へ指を当てる。


 ほんの少し。


 押した。


 ――ズズズズ……。


 岩盤が。


 音もなく沈んだ。


「…………」


 さらに。


 邪神が指先を動かす。


 まるで柔らかな土を削るように。


 硬い岩が。


 少しずつ崩れていく。


 ぽろり。


 ぽろり。


 やがて。


 壁に。


 巨大な穴が開いた。


「…………」


 ビッグ・ベンが。


 手にしたツルハシを見る。


 それから。


 邪神を見る。


「余の出番がない」


「大魔王」


 グーンが肩を叩いた。


「張り合う相手を間違えてるぞ」


「…………」


「ツルハシと指一本だぞ」


「分かっておる!」


 ビッグ・ベンが怒鳴る。


「余は大魔王だ!」


「知ってるよ!」


「だからこそ!」


「だからこそ何だよ!」


「……悔しい!」


「そこは認めるんだな!」


     ◆


「ま、待ってください!」


 鉱山主が慌てて駆け寄る。


「それ以上はいけません!」


『なぜだ?』


「鉱山というのは、ただ掘ればいいというものではありません!」


 鉱山主は真剣な顔で説明した。


「坑道の位置を考えて、支柱を立てて、岩盤の状態を見て、それから少しずつ掘り進めるんです!」


『我なら崩さない』


「…………」


「……本当に?」


『できる』


 鉱山主は。


 邪神の足元にある岩を見た。


 先ほどまで巨大な岩盤だったものが。


 きれいに取り除かれている。


 しかも。


 周囲には亀裂一つない。


「…………」


 鉱山主は。


 長いため息をついた。


「……では」


 顔を上げる。


「お願いします」


「いいのか!?」


「他に方法がありますか!?」


     ◆


 それから。


 邪神は。


 驚くほど慎重に仕事を始めた。


『……ここか』


「はい。その少し右です」


『ここか?』


「もう少し」


『ここだな』


「はい」


 ――コツ。


 ――コツ。


 ――コツ。


 巨大な爪の先が岩を削る。


 その一つ一つは。


 人間がハンマーで叩くより小さい。


 だが。


 正確だった。


 岩の層を見極め。


 不要な部分だけを外していく。


「……器用ですね」


 ティベリウスが感心する。


「もっと豪快なものだと思っていました」


「邪神様、案外細かいんですよ」


 オヤスミが笑う。


「パンを数える時も細かいです」


『二十個だ』


「そこは忘れないんですね」


 そのとき。


 邪神が動きを止めた。


『…………ある』


「何が?」


『何かある』


 爪が。


 ゆっくりと岩を削る。


 ぱら。


 ぱら。


 細かな石が落ちる。


 そして。


 その奥から。


 淡い青色の光が漏れた。


「これは……」


 鉱山主が息を呑む。


「魔晶石だ!」


 松明の明かりではない。


 地下深くから。


 自ら光を放っている。


 青い光が。


 濡れた岩肌へ反射する。


 坑道全体が。


 静かな青に染まった。


「こんな大きなものは……」


 鉱山主が震える手で触れる。


「一つで金貨五枚。


 いや、大きさを考えれば、それ以上かもしれません」


「…………」


 全員が邪神を見る。


『…………?』


「もっと掘れ」


『分かった』


「迷いがないな!」


     ◆


 それから。


 採掘は止まらなかった。


 魔晶石。


 銀鉱石。


 鉄鉱石。


 銅。


 その他の鉱石。


 邪神が岩を削るたび。


 新しい鉱石が顔を出した。


 最初は目を輝かせていた鉱山主だったが。


 やがて。


「……まだある」


「はい」


「まだある……」


「はい」


「……まだある!」


「はい!」


 最後には。


 鉱山主自身が半ば悲鳴のような声を上げていた。


 坑道の外へ運び出された鉱石は。


 次々に積み上げられていく。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 いつの間にか。


 人間の背丈を超える山になっていた。


『まだ掘れるぞ』


 邪神が言う。


 鉱山主の顔が引きつる。


「いえ!」


『?』


「もう十分です!」


『だが、まだある』


「あるでしょうね!」


 鉱山主が両手を広げる。


「見てください!」


 外に積み上がった鉱石を指差す。


「もう置く場所がありません!」


『…………』


「それ以上掘ったら、今度は私が管理できません!」


『…………』


 邪神が。


 しょんぼりと肩を落とした。


『もっと掘りたかった』


「いや!」


 鉱山主が叫ぶ。


「もう十分です!」


     ◆


 帰るころには。


 山の端へ夕陽が沈みかけていた。


 空は赤く。


 薄紫へ変わっていく。


 長い影が山道へ伸びている。


 疲れたはずなのに。


 ムーニーたちの足取りは軽かった。


「すごかったな」


 グーンが言う。


「昨日より稼げたんじゃないか?」


「かなりの額になると思います」


 ティベリウスが答える。


「これなら当分、困らないでしょう」


『パン』


「そうだな」


 ムーニーが笑う。


「パンも買える」


『…………!』


 邪神が嬉しそうに歩く。


 そのたび。


 地面が。


 どしん。


 どしん。


 と揺れた。


「……なあ」


 グーンが呟く。


「こいつ、本当にパンだけでいいんだよな?」


「今のところは」


 ティベリウスが答える。


「世界征服とか言われるより、ずっといいでしょう」


「まあな」


 グーンが笑った。


     ◆


 宿舎へ戻る。


 扉を開けると。


 朝とは違う。


 温かな匂いが迎えてくれた。


「おかえりなさい!」


 ポコが鍋をかき混ぜている。


「今日は具を増やしましたよ!」


「おお!」


 グーンが声を上げる。


 食卓には。


 新しい鍋。


 新しい皿。


 買ってきた調味料。


 薬草。


 魔法研究用の素材。


 そして。


 紙袋いっぱいのパン。


『…………!』


 邪神が。


 ぴたりと止まった。


「二十個あります」


 ティベリウスが笑う。


『…………!』


「ちゃんと二十個です」


『…………!』


 邪神の顔が。


 一瞬で満面の笑みに変わった。


『働くのは楽しいな』


「現金すぎるだろ!」


 グーンが笑う。


「朝からパンパン言ってたもんな!」


『大事だからな』


「何が?」


『パン』


「そこまでかよ!」


     ◆


 食卓を囲む。


 湯気が立つ。


 鍋の中で野菜が揺れる。


 焼きたてのパンからは。


 香ばしい匂いが漂っていた。


 誰かが笑う。


 誰かが喋る。


 誰かが取り皿を渡す。


 誰かがパンを一つ取る。


 そんな。


 何でもない光景。


 ティベリウスは。


 ふと。


 その光景を眺めた。


 かつて。


 自分は邪神のために働いていた。


 世界の終焉のために。


 誰かの命を奪うために。


 誰かの明日を壊すために。


 そのためなら。


 何でもした。


 働くことは。


 恐ろしいものだった。


 だが。


 今は。


 違う。


 仲間と一緒に依頼を受ける。


 鉱山へ行く。


 汗を流す。


 失敗する。


 稼いだ金で鍋を買う。


 研究材料を買う。


 薬を買う。


 そして。


 パンを買う。


 同じ「働く」という行為なのに。


 こんなにも。


 意味が違う。


「…………」


 ティベリウスの頬が。


 自然に緩んだ。


「明日も頑張りましょう」


「ああ」


 ムーニーが頷く。


「もっと稼ぐぞ」


「研究費を増やします!」


 メリーズが拳を握る。


「食材も!」


 ポコが手を挙げる。


「薬も必要です」


 オヤスミが笑う。


「余は新しい鎧だ!」


 ビッグ・ベンが叫ぶ。


『パン』


「…………」


「お前だけ目的が単純すぎる!」


 グーンの怒鳴り声に。


 食卓が笑いに包まれた。


     ◆


 夜。


 食事が終わったあと。


 外へ出る。


 空には星が見えていた。


 町の明かりは少ない。


 だからこそ。


 星がよく見える。


 風が。


 ほんの少し。


 山から下りてくる。


 昼間の鉱山の冷たさを残した風だった。


「静かですね」


 ティベリウスが言う。


「ああ」


 ムーニーが頷く。


 しばらく。


 誰も喋らなかった。


 やがて。


『明日は何をする?』


 邪神が聞いた。


「依頼探しだな」


「稼ぎます」


「研究します」


「料理します」


「薬を買います」


「鎧を探す!」


 それぞれの言葉が。


 夜の空気へ溶けていく。


『……パンは?』


「明日も稼いだらな」


『分かった』


「約束する」


『うむ』


 邪神が満足そうに頷く。


 その横で。


 グーンが苦笑した。


「なんだかんだ」


 夜空を見る。


「これからもこんな感じなんだろうな」


「そうでしょうね」


 ティベリウスが答える。


 世界を揺るがす戦いは。


 もうない。


 魔王軍に追われることもない。


 邪神を封印する必要もない。


 勇者として命を懸ける必要もない。


 きっと明日も。


 依頼書を見て。


「これは報酬が安い!」


 と叫び。


「これは稼げる!」


 と喜び。


 誰かが失敗して。


 誰かが怒って。


 最後には笑う。


 そんな日になる。


 それでいい。


 たぶん。


 それが。


 彼らにとっての「平和」なのだ。


     ◆


 翌朝。


「大変だああああああ!」


「またか!」


「パンがない!」


「お前また全部食ったのか!」


『…………』


「二十個だぞ!?」


『二十一個目があった』


「それは今日の分だ!」


『…………』


「食べるなよ?」


『食べない』


「本当だな?」


『……たぶん』


「たぶんじゃねえ!」


 朝の宿舎に。


 また。


 大きな声が響く。


 窓の外では。


 鳥が飛び立つ。


 町では。


 人々が動き始める。


 朝日が。


 屋根を照らす。


 昨日と同じ朝。


 けれど。


 昨日とは少し違う朝。


 そして。


 明日もきっと。


 また違う朝になる。


 勇者。


 大魔王。


 賢者。


 聖女。


 邪神の巫女。


 そして。


 邪神。


 本来なら。


 同じ食卓を囲むはずのなかった者たち。


 戦うはずだった。


 憎み合うはずだった。


 世界の敵だった者までいる。


 それでも。


 今は。


 同じ場所で笑っている。


 同じ仕事をして。


 同じ金を稼いで。


 同じ飯を食べて。


 同じ明日を迎える。


 それは。


 世界を救った英雄の物語としては。


 ずいぶん地味なのかもしれない。


 けれど。


 彼らにとっては。


 何より大切なものだった。


 ――平和な日常。


 ――騒がしい仲間。


 ――そして。


 明日のパン。


「邪神!」


『なんだ?』


「山を食うなよ!」


『分かった』


「本当にだぞ!」


『分かった』


「……パンも勝手に食うなよ!」


『…………』


「邪神?」


『それは難しい』


「おい!」


 笑い声が。


 宿舎から飛び出した。


 朝の町へ。


 山へ。


 青い空へ。


 遠くまで。


 いつまでも。


 いつまでも。


 響いていった。


 世界は。


 今日も平和だった。


 たぶん。


 明日も平和だ。


 ――邪神が。


 山を食べなければ。


 そして。


 パンを食べ過ぎなければ。


 まあ。


 きっと。


 どうにかなる。


 勇者パーティの金策生活は。


 今日で終わる。


 けれど。


 彼らの日常は。


 終わらない。


 明日も。


 きっと。


 ドタバタしている。


 だから。


 これは。


 終わりではなく。


 彼らにとっての。


 いつもの朝なのだ。


# ――完。


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