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不死の国のアリス  作者: 幽幻乃 紫
第五章「赤の旅路」

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二十四話「真っ赤な嘘」


アリスは立派な城がそびえ立つ丘の下までたどり着いた。

「やっと着いた!長い道のりだったわ。」

額に流れる汗を拭った。


城壁の色は白色で、ハートに斧の印の旗が掲げられていた。


「赤色の工場と比べて地味な城だわ。」

アリスは城壁をじっくりと観察した。


ドカドカと、大勢の足音が後ろから響いてきた。

足音はアリスに近づいてきている。


アリスは慎重に後ろを振り返った。


数十人の赤い鎧の兵士が武器を構えていた。


アリスの額には冷たい汗が浮かんだ。

汗はゆっくりと頬を伝い、地面にポツリと落ちた。

気づかれないように、すり足でそっと後ろに下がる。


「貴様は盗人か?」

先頭の兵士がアリスに冷淡な声で聞いた。


「え?」

アリスの声は上ずっていた。


「女王様のハートを盗んだのかと聞いておるのだ!」

兵士は怒鳴り、喉元へ剣先を突き付けた。


アリスの額から汗があふれ出す。


「な、何も盗んでいないわ。」

弱々しく言葉を返した。


「そうか。それならいいだろう。」

兵士は武器を降ろした。

それに続いて、他の兵士たちも武器をしまった。


風がアリスの汗をさらっていく。


「武器をしまっていただいて感謝します。」

アリスはスカートをたくし上げ、軽く頭を下げた。


少し落ち着きを取り戻したアリスは、

「盗まれたハートとは、どんなものなのですか?」


「お菓子だ!」

「よりにもよって、女王様の大好物のお菓子を盗んだ愚か者が出たんだ。」

兵士が答えた。


ゴクリ。

アリスは唾をのみ込んだ。

額から、また汗が流れた。


汗を見た兵士が、

「お嬢さんは、普段からよく汗をおかきになるのかね?」

兵士はゆっくりと剣を構え直した。


アリスの鼓動が早くなる。

「そ、そうなのよ……。」

「母が何かの病気だと言っていたわ。本当に暑い日は大変なの。」

アリスは思いつくままに嘘を並べた。


「ところで、誰が盗んだのかわかっているのかしら?」

兵士が何か言う前に、アリスはすかさず聞いた。


「それが……わからないんだ。」

兵士は、大きなため息を付いた。


「工場の間抜けな連中の情報が錯綜さくそうしているからな。」

「鳥が咥えて逃げたとか、小娘が食べたとか。」

「お菓子が勝手に飛んで行ったなんて、バカげたことを抜かすヤツもいる。」

兵士はあきれたように空を仰ぎ答えた。


「あ!」

わざとらしい言葉がアリスの口から出た。


「そういえば、大きな鳥がハートらしい形のものを咥えて飛んで行ったわ。」

アリスは城と反対の方向を指しながら答えた。


「ありがとう。行くぞ、お前たち。」

兵士たちがアリスの示した方向に急いで向かった。


「ふぅ……。」

「何とかなったわね。」

アリスの表情に自然と笑顔が浮かんだ。


「あんなに大量にあるのに、一つ食べたくらいで大騒ぎするなんて。」

「傲慢な女王様ね。」


アリスは丘を登り始めた。

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