表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死の国のアリス  作者: 幽幻乃 紫
第三章「森」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

十二話「覚悟」

アリスは森の景色を堪能しながら、女の言葉を思い出していた。


「探して、青い…」

「うーん、何だろう?

 青い生き物? それとも青い物?」

アリスは首を傾げた。


「そもそもなんで、一番大事そうなことを最後に言うかな?」

アリスは髪をいじりながら、ぶつぶつ文句を言った。


「深いことをいってそうで、わけわかんなかった」

「言葉に意味あるの?」

地面に落ちた枝をわざと踏みながら、森の中を進んだ。


「プオーン!」突如、軽いラッパの音が鳴り響いた。


音は森の中へ響き渡った。


白兎と巨大な熊の姿が記憶の中で蘇り、

思わず身構えた。


「バキ、バキ」


木々が倒れる音が近づいてくる。


アリスは口を覆い隠し、

身を屈めた。


やがて巨大な熊が姿を現した。


アリスは、森の茂みに隠れて様子をみた。


「おかしい、ここにいるはずなのに」

渋い、白兎の声。


白兎は、熊の背中に寝そべり、葉巻を吹かしていた。


「向こうへ行くぞ」

白兎は、そう言って、灰を熊の上に垂らした。


熊は唸り、遠くへ去った。


「ふぅー、危なかった」

アリスは一息ついた。


アリスは逃げたい気持ちを抑え、

好奇心に負けて熊を追いかけた。


「カサカサ、カサカサ」

アリスの後ろから、何度か聞こえた。


それは、音でなくたくさんの声だった。

「カサカサ、カサカサ」

また、聞こえた。


アリスは、後ろを振り向いた。


目に入る景色は、緑豊かな森だけだった。


「おかしいわね、確かに声が聞こえたはず」

アリスが、あたりを見渡していると、


「カサカサ、カサカサ」

声は地面から聞こえてきた。


アリスはゆっくりと視線を下に移した。


そこには、

アリスを癒す光景が広がっていた。


赤や青、黄色や桃色、たくさんの色がアリスの目を輝かせた。

日の光を浴びて、鮮やかに花が咲いていたのだ。

いや、

正しくは、

地面を歩いていた。


「あっち行っても地獄、そっち行っても地獄、こっち行っても地獄」

花がハーモニーを奏でながら合唱していた。


いくつかの花は、少し音程がずれている。

アリスの耳にはそう聞こえた。


アリスは一歩、二歩とゆっくり下がった。


うねうねと花たちがアリスに近づく。


花の行進は不気味で、アリスの目から彩を奪った。


「あっち行っても地獄、そっち行っても地獄、こっち行っても地獄」

花の不協和音がまた、森の静けさを穢した。


「どこに行っても地獄なの?

もし、来た道を帰ったらどうなるの?」


アリスは花に聞いてみた。


「地獄~」

赤い花が歌う。


それに、続いて他の花々が

「地獄~!」

息を合わせて歌う。


もちろん、合唱は汚い。


「館に戻るの?

あそこには、悪魔だか、魔女がいるって噂があるよ」

青い花が恐怖に怯え、体を震わせながらしゃべった。


「ちゃんと、話せるんだ」

アリスは思わず、心の声が漏れた。


「あなたが探している、青?」

アリスは青い花を手に掴み聞いてみた。


「ガブ!」


突然、青い花が噛みついた。


「痛い!」


アリスは思わず花を振り払った。


「地獄。地獄。地獄に落ちな~」

花の音が揃い、美しい合唱になった。


アリスは危険を感じて、駆け出した。


花が「カサカサ、カサカサ」と合唱しながら、追ってきた。

その旋律は美しい曲になっていた。


歌は、不思議なことにアリスから遠のいていく。


アリスはいつもよりも軽やかに、速く走っている。

おかしい、そして楽しい。


歌が聞こえなくなるまで走った。


アリスは呼吸を整え、切り株の上に座った。


「なんで、こんなに速く走れるんだろう?」


少し間をおいて、さらに続けた。

「ここは、理不尽だけど、理不尽じゃないのかも?」


アリスは顔を上げた。

そして、叫んだ。


「靴! きっと靴だわ!」


「服も靴も、不思議な力がある。

そうだわ、そうに決まっている!」


女の言葉をもう一度思い返した。


「この世界は危険。

多分だけど、死んで、生き返る。

不思議で危険な世界ね

でも、迷い込んだなら、きっと出口もあるよね。」


アリスは覚悟を決め、

立ち上がった。


「ゴンッ!」


突然、頭の後ろから強い衝撃が押し寄せてきた。

衝撃は、全身に伝わった。


「よし、うまくいったぞ」

「よくやった。」


アリスは男二人の声を聴いた。


やがて、

目の前が真っ暗になり、

完全に意識を失った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ