28話 Back To The My World.
28話のはじまり、はじまり〜
「ここが凍える台地ですか?」
「…た、多分…」
俺たちは山を越え、凍える台地に到着し、凍える台地奥地へと向かう…はずだった。
「凍える台地…なのに、寒くありません。それどころか、ここはまるで…草原ではないですか!!」
そう、俺たちの居るここは、雪など降り積もっておらず、青く茂った草が生えていた。
「それは、俺も聞きたいくらい…だよ」
通常、凍える台地は雪が積もっていて、本当に台地が凍えている。
いや、通常も何も、雪が積もっていないことなんてあり得ない…
そんな時、心の中で誰かが俺に話しかける。
((聞こえるか?人間よ))
何処かで聞いたことのある声。
「この声は……神様ですか!?」
その声の主は、あの神様だった。神様は少し満足そうな声で俺に話しかける。
((どうだ?お前を元の世界に返してやったぞ!仲間も連れてな))
俺を元の世界に戻した…?
そんなはずがない。この景色はどう考えても俺の世界ではあり得ない光景だ。あり得るとしたらアフリカとかまだ開発されていない土地になる。
「そんなのあり得ないですよ!俺がいた世界は…」
((はははっ!嬉しすぎて頭がこんがらがってるだけだよ。ま、とりあえず先に進みたまえ。何かあったら心の中で私を呼びなさい。名前はカリウスだ))
(カリウス…か。確か空間を司る神だったよな…)
((そうだ。よく知っているな))
「…って、聞こえてんのかよっ!!」
((当たり前だ。心の中で呼ぶ声が聞こえて、なぜ戯言が聞こえんのだ))
「確かにそうだけども…!」
俺はなんだか鬱陶しくなったため、その気持ちを蹴り飛ばすように足を前にだし、歩き出す。
「だ、大丈夫ですか?」
「ま、まぁな。大丈夫だけど…
なんで皆俺から離れてるの?」
俺が振り返ると、俺とかなりの距離をとっていて、アヤメとカヤエだけが隣にいた。
「いきなりヨシハルさんが叫び出すものですから、皆さん気味悪がって離れてるのですよ」
…そういえば、はたからみれば、俺はただの変人にしか見えないな。
「ああ……皆ごめん!なんもないから!」
後ろに居る皆に聞こえる様に叫ぶと、皆少しずつ距離を図りながら戻ってきてくれた。
歩き出してから20分くらい経過した頃に目の前に街が見えてきた。
「何かの街ですか?」
「俺に聞かれても……」
「とりあえず、行ってみよーよー」
ゲーム中で、このような街を見たことはないため、全くわからない。ほんと、こうなると俺って役立たずだよな。
とりあえず、俺の背中にしがみついているアルの提案を採用し、街へと入っていった。
「ここは……」
先程、俺は見たことのない街と言ったが、それは前言撤回しよう。来たことはないが、見たことのある街。
「来たことがあるのですか?」
「いいや……」
(カリウスゥゥゥウ!!!)
俺は心の中で叫ぶ。
((なんだ、全く。今、珈琲を嗜んでいたというのに…))
(なんだ、じゃないぞ!ここは、確かに俺の世界だ!)
((じゃろ?お前の世界に戻しただけだろう。私は何も怒鳴られるおぼえは……))
(確かに俺の世界だかな!ここはどー考えても……江戸時代だろぉぉがぁあ!!!)
今、俺たちの居るこの街並みは、木造でできた家が立ち並んでいたのだ。
((……あー。間違えたわ))
(神がそんなんでいいのか…?それよりも早く俺たちをもどしてくれ)
((ごめん…今、力を使えない状態になっていてな。もう少しその世界に居てくれ。その時代の服くらいは用意するし、お前達の髪も黒色に変えてやる。じゃないと、やっていけないだろ。それにスキルとか魔法とかもお前達だけ使えとくようにしておいてやろう))
(…なるほど、わかった。俺たちにこの時代で不定期間住めということだな)
((うん、まぁ。そうだ。頑張って生き残れよぅ!あ、それと、重要なことがある。絶対にこの時代の歴史を変えるなよ。変えてしまうと、お前達は消えてしまうからな。因みに、今から私は力を溜めに集中するから、何も話すことはできん。じゃーねー!))
…なんて愉快な神様なんだろうか。
俺たちはツマリ、この時代に閉じ込められたうえに歴史を変えないように注意を払いながら死なないように生きていかないといけなくなった。
すると、即座に俺たちの目の前にこの時代に相応しい服が出現した。
「ヨシさん。これなんでしょうか?」
俺はどう説明すればいいやら…
「とりあえず、この服を着よう。んー、そうだな。そこの森の中なら大丈夫だろ」
俺は無理矢理説明のないまま皆を連れて人気のない森の奥に入ると、それぞれ木の影に隠れて着替えを済ませる。
着替えを済ませてからカヤエが不満をぶちまけるように俺に質問攻めする。
「どういうことか説明してもらいましょう。何故、ここは凍える台地でないのか、そしてこの服を着替えさせたのか、私たちの髪の色が黒に変わったのか、更にこの街はどこなのかも。知っていることだけで充分ですので、話してください。こういう不可解な現象を起こすのは貴方くらいしかいませんので」
俺は溜め息をつく。
「ここは、前にも話した俺の国だ」
「ヨシさんの!?」
ウラがいつもの大袈裟なリアクションをすると、カヤエが言葉を溜めて俺に吐き出した。
「…残念ながら、貴方の言葉に信憑性はありません。ヨシハルさんの話によると、この様に簡単に辿り着ける簡単な場所でないのと、機械という高度なものが見当たらないからです」
「んー…なんて言ったらいいんだ?」
上手く伝えられないもどかしさにイライラしながら頭をかきむしる。
今起こった出来事をもれなく説明すれば良いんだろうけど…
神とかがいきなり話に出て来たら皆こんがらがるんじゃないか?
…そういえば、俺は今まで辻褄の合った説明を殆どしてこなかった。いつも何か、言葉を繕って誤魔化してばかりだった。
今回は良い機会だし、しっかり説明しておいたほうが、皆のためにも俺のためにもいいんじゃないか?
「…わかった。きちっと話すよ…でも、カヤエ達は俺がどんな事を言っても信じてくれるのか?」
俺がそう聞くと、カヤエ達は即答で答えた。
「当然です」
「当たり前ですよ!」
「信じるよー?」
「私もだ」
「……うん」
皆の意見は一致していた。期待の眼差しが俺を貫く。
「…そうか」
それでもまだ俺は言う事に戸惑ってしまう。
「……もし」
そんな時、アヤメが口を開いた。
「……もし、よしはるがニンゲンじゃないって言っても、わたしは、しんじる」
俺はその言葉を聞いて、背中を押されたような感じがした。
俺はこんなにもみんなに信頼されていることを知らなかった。みんなは俺をこんなにも信頼していると考えると、戸惑っていた俺が恥ずかしく思えた。
俺は決心して、口を開いた。
「まず、俺はカヤエ達の世界の住人じゃない!!」
「え…」
俺の言葉にアヤメ以外は唖然とする。
「何を…言っているのですか…?」
「その通りだよ。俺はカヤエとは違う世界に生きている人間なんだ。俺は時空とかなんやらの歪みで偶然こっちの世界に来ただけなんだよ。だから神に会って直接頼み込んだんだ。帰れる方法がないかってね」
誰も何も言葉が返ってこないため話を続ける。
「んで、勝手に神が俺を元の世界にカヤエ達も巻き添えにして戻したんだ。でもその時に間違えて俺が居た時代より遥か昔の江戸時代に戻してしまったんだよ。その服も、髪の色も、この時代では相応しいもので、目立ちにくいんだ」
これで俺は一通り説明した。だけど、カヤエ達の世界がゲームだとは話さなかった。一番怖かったのは、神域でカヤエの精神が崩壊しかけた時のようにならないかだったが、その心配も説明し終えるのと共に消え失せた。
すると、カヤエが俺の前に来る。
バシィィィン!!!
俺の頬に痛みが走る。
「貴方は…どうしてもっと早く、言わなかったのですか…」
俺の心に衝撃が走る。
そうだ、なぜ俺はみんなにもっと早く話さなかったのだろうか。せめてカヤエにだけにも話しておくべきだった。
「私たちを、もっと信じてください。貴方には失望しました」
カヤエはその一言だけを残して何処かへ走り去った。
「みんな…ごめん…カヤエの言うとおりだよ」
「そ、そんなこと無いですよ!?ヨシさんは私達にちゃんと説明してくれたじゃないですか!」
「…ありがとな、ウラ」
「まだちょっと信じらんないけどねー。ふふ、冗談だよー?」
「とりあえず街に行かないか?私は少しこの世界のエロ時代とかいうのに興味がある」
「リリーちゃん?エロじゃなくてエドだよー?」
「あ、え、そうか!?」
「やだー、リリーちゃん、エロ〜い!」
なんだかんだで、賑やかになった俺達はカヤエがいないまま街へと向かうことになった。
今日の後書きは私がやるぞ。
私の名前は覚えているか?
リリーだ。忘れていないだろうな?
作者は色々と忙しそうだから、後書きは私が代わりに書かせてもらう。
誤字脱字が多くて読みづらい中、読んでくれてありがとう。
これからも私の活躍に期待してくれよな!
(カヤエ殿がいない今……カヤエ殿の座は私がいただく!!)




