↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/40

第27話 鎌倉幕府を思い出す。

先ず初めに、ルフランの花をご存知だろうか?ルフランの花とは極寒の秘境に咲く花。この植物は氷点下25度以下でないと咲かないとされる花であり、その植物の前に辿り着くことは困難である。それに、もし辿り着いたとしても氷点下25度以下でないと咲いていないため、採取できないという運ゲーでもある。

「ルフランの花…ですか、聞いたことがありませんが…」

その上、ゲーム上ではなんの情報が得られず行ってみない事には、どんな魔物やモンスターがいるか分からない。 そのため、この様にカヤエにさえ情報が入らない。

俺はゲーム中、クリアすることはできたが、それは本当に運が良かったからだろう。

普通、魔物やモンスターは決まった場所に出現する。

例えば、「テリア平原」のような平原であればゴブリンとブスリという魔物しか出現しないという風に決まっている。

しかし、ルフランの花を咲かす植物がある場所では魔物やモンスターの出現する種類はランダムで、このゲームに出てくる魔物やモンスター達が出現する。

極端に言えば、魔王すら出現する。流石に魔王のようなキチガイレベルの魔物は中々出現しないが、可能性が無いわけではない。

逆に言えば、ゴブリンしか出てこなくて、めっちゃ簡単にルフランの花を採取することさえできる。

俺の場合は魔王のような高レベルは出現しなくて、大体レベル80位の中レベルの魔物やモンスターが出現した。よって運が良かったといえるだろう。

「ルフランの花は、凍える台地の奥地にあると聞きました…」

流石に情報が誰にも入らなければ、ゲームが進行できるわけがない。ウラだけはその情報を少しだけだが知っている。

「何なのだ、そのルフランの花とか言う物は。美味なのか?」

なにそれ、美味しいの?と聞きたいのだろう。ウラは返答に困る。

「た、食べたことはありませんので分かりませんよ…」

「そうなのか」

残念そうにするリリー。

「で、どうするのー?」

アルが何処からか知らないが大きなリュックを持ってきて、背負っている。

絶対行きたがってるだろ。

「準備万端だな、アル」

「えへへ」

何がえへへだよ。

「どうするのですか?」

カヤエがアンテナをピクピクさせながら聞いてくる。

「行くに決まってるだろ?どうせ暇なんだから」

俺の言葉でカヤエのアンテナが何故だかへんなりとする。

「どうしたんだ?」

「いえ、何でもありません。私は、そんなに感情が顔に出てますか?」

自分の顔をペタペタ触る。

顔じゃなくて、アンテナだよ。そのアンテナが気になるんだよ。

「いいや、何となく、そう感じただけ」

適当に誤魔化しておく。本人は気づいていないのだろうか。

「さー、出発ー!!」

意気揚々と歩き出すアル。そんなアルを先頭にしながら、俺たちは凍える台地へと向かった。

凍える台地の前に、極寒の平原というフィールドに出た。その名前の通りにとても寒い。

俺は防寒対策はキッチリとしていたので、全く寒くはなかった。ゲームでは寒いとかは感じなかったが、今は感じるみたいだ。

「防寒対策してきて正解だったぞ。ははは」

リリーは何処か勝ち誇ったような態度で前で歩いているアルの所へと向かう。

不思議に思いつつも、歩いていると、ブリーという魔物が現れた。氷の様な魔物で、常に浮遊している。

しかし今の俺たちの敵ではない。リリーが一斬り、いや、人蹴りしたらブリーは消えていった。

そこで少し疑問に思った。いつもなら、皆に手間をかけさせないようにと、カヤエが一足先に斬りかかる筈だと。

俺は後ろで歩いているカヤエの方に顔を向ける。

「だ、大丈夫か?カヤエ?」

カヤエは身体を縮めながらブルブルと震えていた。

「大丈夫です……クチュン!」

明らかにくしゃみをして寒そうなカヤエ。

「なんで防寒しなかったんだ?」

「私は戦闘し易い服装の方が……クシュン!」

この状況だと、逆に戦いにくい気がするんだが…

本当に寒そうにするカヤエを見兼ねた俺は、防寒着を脱ぎカヤエに着せる。

「だ、大丈夫です。これは貴方が着ていてください」

あまりにもしつこく断るもんだからプライドを気づつけるのも気が引けるし、諦めることにした。

きっとここに来たがらない雰囲気を出していたのはカヤエが寒さに弱いからだろう。

そうこうしているとブリザードの山のふもとに到着した。ブリザードの山は、凍える台地の前のフィールドである。この山を越えれば凍える台地だ。

「ヨシハル殿、天候がだんだん悪くなっているぞ。どうするのだ?」

見れば吹雪が渦巻いていて、山の形がはっきりとわからなくなっていた。

「今日はここで寝泊まりにしよう。ここなら雪も降らないだろうし、風も強くない。明日の朝に出発しよう」

この極寒の平原では雪は降らない。そのことはゲームプレイ中に知ったことだ。

「ここで、泊まるのですか?」

カヤエが震えながら聞いてきた。

「そうだよー。どうやって泊まるのさー」

俺は戸惑う二人を無視して、持ってきたスコップを持ち、神殺しスキルを使い……

「出来たー!今日はここで泊まる!」

ドヤ顔をして結構大きな、かまくらを作った。

「ヨシハルさん。まさか私を殺すおつもりですか」

震えながらカヤエがそういったが、そんなカヤエの背中をおす。

「まぁまぁ、入ってみなよ」

それにつられて皆も入る。かまくらはかなり大きく作ったため、皆が余裕で入れるスペースがあった。

そこに折りたたみテーブルを置いて、その上に灯のついたロウソクを置く。

本当は焚き火をしたいが、かまくらの中で焚き火をすれば大変なことになる。

ロウソクで充分暖まる。

「ヨシさん凄いですね!雪の中なのに暖かい!」

皆のテンションが上がっていく。

「カヤエ、今は闘わないんだし、これ着なよ」

もう一度、防寒着を着せる。

「……ありがとうございます」

今度は素直に応じてくれた。

「しかし、よくこんなものを思い付いたものだな」

「俺の国にあった文化だよ」

「ヨシハル殿は雪国生まれなのか?」

一応生まれは東北で田舎だから雪も積もっていた。

「ま、生まれた所は雪が多かったけど、国中が寒いわけじゃないよ」

「なら毎日かき氷食べてるんだな!!自然に降り積もったフカフカの雪にトロトロのシロップをかけていろんな色に染めて…」

「んな訳ないだろっ!路上の雪を誰が食べるんだよ!」

何言ってんだよ…

ま、これでリリーのかき氷好きが判明した訳だが。

「でもさー、そんな国聞いたことないよ?」

アルが何故か疑いの目をして俺を見る。

「私も気になってたんです!ヨシさんの生まれた国のことに!」

それに食い付くウラ。

「そうだな。この機会に色々と話してくれないか?」

さらに便乗するリリー。

そして無言で擦り寄ってくるアヤメ。

既に寝てしまったカヤエ。

「誰も行けない未開の地とでも言っとこうかな」

この未開の地という設定が冒険者達の心を鷲掴みにした。

「誰も行けないー?おかしくない?」

「何が」

「確かにおかしい。ヨシハル殿はこの国に来るのに必ず何かしらのルートを使ったはずだ。そのルートを逆から辿れば帰れるじゃないか」

確かにそうなるが、俺がこの世界に来たルートを逆から辿るなんて出来っこない。

「その方法は色々あってダメなんだ」

「それなら、ヨシさんが瞬間移動して戻ればいいじゃないですか?」

俺の瞬間移動スキルは、行ったことのある場所でしか移動出来ないという制限がある。しかし、俺は元の世界に行ったことはある。というか住んでた。

今、瞬間移動スキルを使ったが何も反応しなかった。

「駄目みたいだな」

「……しなくていい」

「え?」

「……そんなの、しなくていいの」

アヤメの小さな声はかまくらに響いた。

「どうして?」

「……どっかにいってほしくない」

ぎゅっと俺の腕を抱きしめる。

なんか微妙な空気が流れ出したのでこの辺で終わりにしておく。

「まだ早いけど寝よう。明日は早いし、夜ご飯もないからな」

「っ!?なんだと?晩食がない?」

「仕方ないだろ?誰もこうなるって予想してなかったんだから」

アルは「仕方ないねー」といって大きなリュックから布団を取り出す。親切にも皆の分も持ってきたようだ。

俺は布団をもらって、隣にいるアヤメと被さった。ウラもカヤエの分と自分ね分の布団をもらい、カヤエに被せ、自分も被さった。

「アル殿、何か摘めるものは無いのか?」

「んー、布団しか無いから……

あ、コレならあるよー?」

ドンとテーブルに置かれたそれはかき氷のシロップだった。

(なんでそんなの持ってるんだよ…

)

「おおっ。ナイスだ、アル殿!」

リリーはバッとテーブルの上のシロップと器を取り、出て行った。

やがて帰ってくる。かき氷を持って。

「やはり、かき氷は美味しいな。ん?ヨシハル殿も食べるか?」

「いらんわっ!というか雪はゴミを核にしてんだぞ?」

「な、なんだと!?それは本当かっ!?」

気付いた時には既に遅かった。器に盛られたかき氷は食べ終えていた。二杯目のおかわりは当然せず、アルから布団をもらっていた。

やっと皆が眠りについた頃。

「すまない。入れてくれ…」

リリーが震えながら俺の隣に来た。

「ただでさえ寒いのにかき氷なんて食べるからだよ」

布団の中にリリーを入れる。アヤメとリリーに挟まれる形になった。

「すまない、以後気をつける…」

なんだかんだで夜は明けて来て朝を迎える。

「ヨシハル殿、朝だ」

俺はリリーの声で起こされた。

「よし、皆は準備出来たな?」

「はい、貴方が寝ている間にとっくに出来ています」

皆が「お前は準備できたのか?」と言わんばかりの視線を俺に浴びせると、すぐにかまくらから出て行った。

俺も後を追うように出て行く。

「これはどうするのですか?」

カヤエがかまくらに指をさす。

「潰してくれても放置してくれても構わないよ」

「ひゃっほぅー!本当だねー?」

かまくらを潰せることにテンションを高くするアル。

「うん…」

俺が首を縦にふると、アルはかまくらに向き直る。

「本気で行くよぉー!!豪炎の…フレアぁぁああ!!!」

アルがその魔法を使うと、街を一つ巻き込めるほど、大きい爆炎がかまくらを包みこんだ。

「……やり過ぎだろ」

アルが使った魔法は上級魔法で、そこいらの奴が使える魔法じゃない。

当然ながら、かまくらなどは昇華してなくなり、それどころか目の前には雪というものがなくなっていた。

「…ぁ…あ…あぁぁ~…」

相当魔力を使ったのだろう。フラフラになり、身を崩す。

「おい、大丈夫か?」

「…ぁ…ひょっと…やりひゅいた…(ちょっと…やり過ぎた)」

アルがかまくらを潰すために魔力を使い果たし力尽きてしまった。

このままでは先に進まないため、アルを背負うことにした。

「ヨシハルさん。確か、貴方のスキルで瞬間移動出来ましたよね?今、使えませんか?」

「そうですよ!」

…残念だが、イベントが発生している時にこのスキルは使えない。

「……今は、使えないんだよ」

理由を求められそうだったが、そんなことはなかった。

俺達は無事、何も起きずに山を乗り越えた。

山を越えた先には、どこか懐かしく感じる凍える台地が広がっていた。



27話を読んでいただき、ありがとうございます!

もうじき、お気に入りが100人を突破します!!

皆様のおかげです!1人でも多くの人に読んでもらえれば、嬉しい限りです!

これからも本作品を応援していただければと思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。