第二十六話 カミングアウト。
会話が何時もより雑になってしまってるかもしれませんが、宜しくお願いします。
アヤメの声が聞こえてから間も無く、ウラが喋った。
「呆気ないですよ、ヨシさん。私はこのために力を溜めてたのに……
もっと警戒心を持った方がいいですよ?」
ウラは微笑みながら、俺を貫いた剣を抜いた。
「ふぅー…危なかった」
しかし、そのウラに刺された俺は消えていく。
「!?どうして!?」
ウラが刺した筈の俺が倒れこんだ場所を確認する。
「無駄だよ。ウラが刺した俺は幻影」
「っ!?そんな…」
ウラが動揺した時、カヤエがサッとウラの後ろに回り、拘束した。
「少し痛いですが、我慢してください」
カヤエはどこにあったんだそんなもんと突っ込みたくなるくらいの鉄の鎖を持って来て、椅子にガッチリと縛る。
「離してください!カヤエさん!」
「それは出来ません」
「私はっ!ヨシさんを…!」
ガタガタと椅子に座りながら暴れる。
「……だいじょうぶ?」
アヤメは俺の体をツンツンと突き確認する。
「大丈夫だよ…って、リリーもなんで泣いてんだよ」
「う、うるさいっ!」
リリーは涙を拭いながら背を向ける。
そんなことよりも、聞きたいのはなぜウラが俺を襲って来たのか。
「どうしてだよ、ウラ」
「…どうして?そんなの、ヨシさんが私の……私のお母さんを殺したからでしょ!!」
「えっ…?」
良く状況が読み込めない。どうなっている?俺がウラのお母さんを殺した?
「とぼけないでください!!
私は!あなたに復讐するため、あの人に特訓を受けたんです…!」
「あの人…?」
「はい!街の外れで、偶然出会った白い服を来た男性です!」
俺を恨んでるのになんでこうもベラベラと話せるのか…
ウラの性格は相変わらず変わってないようだ。
「白い服を来た男性…?」
「はい!ヨシハルに愛剣を盗まれたとも言ってました!」
愛剣を盗まれた?
いや、俺は剣を盗んだことなんて…
「まさか…」
俺はカヤエを見る。
「はい。きっとそれは、私の父です」
その男はヨウシ・ミクニだった。
まさかここでのカヤエの父親の登場で驚きを隠せない。それにアイツはどこまで俺を恨んでるんだよ…
「私のお母さんが…死んだのも、ヨシハルのせいだと……」
「ち、ちょっと待て!本当にウラのお母さんは死んだのか!?ちゃんと確認したのか!?」
「……それはっ…!」
ウラはその目で確認していなかったのだろう。言葉につまり、下を向く。
「わかったか?きっとウラのお母さんは死んでなんかいない。ウラはヨウシ・ミクニに騙されたんだよ」
「それが本当なら、私は…ヨシさんを…」
ウラは下を向いたまま、泣き出す。
「カヤエ、俺はアヤメと部屋に戻っておく。もうウラの泣く姿は見たくない」
俺はアヤメを連れて部屋に戻る。
「はぁ…」
ベッドに座り、アヤメの頭を撫でながら大きくため息をつく。
ウラが騙されてこんな行動を取ったのだからまだ良かったが、自分からこんな行動を取ったのなら今頃ショックで立ち直れなかったのかもしれない。
アヤメは眠たくなったのか、俺にもたれかかってくる。
俺もそれにつられて眠くなり、やがてそのまま寝てしまった。
「実は俺、リオティオンの世界に入っちゃったんだ」
俺は梨奈に向かってそのことを告げていた。
「何、言ってるの?」
梨奈は首をかしげる。
(また…ここに戻ってきた…)
「リオティオンの世界に入ったんだよ!」
俺が衝撃のカミングアウトをすると、梨奈は笑った。
「善治?仕事のやり過ぎだよ。少しは休んだら?」
俺の手を払い除ける。
「あー、もう!信じてくれよ」
俺は信じてくれないもどかしさを紛らわすように頭をかきむしる。
普通なら信じてくれる訳がない。
「…わかった。善治のこと、信じる」
案外すんなりと信じてくれた梨奈を見て感謝を告げる。
「あ、ありがとう!」
「でもね。それでも私には何も出来ないでしょ?」
確かにそんなことを信じてくれたことで何の解決にもならない。
「どうやって善治はその世界に行ったの?」
「どうやってって…俺はあの時、ゲームをクリアした時に……あ!そうだ!」
部屋の隅に置いてあるVRゲームに触る。
「何するの?」
「俺は何時も長く目を瞑ったり寝たりするとこっちの世界とあっちの世界を行き来してたんだ。
だから、このゲームを起動させて…」
俺は説明をするよりもいち早く起動したかったため、口が止まる。
「よし…!」
俺はゲームを起動させる。
「あれ…?真っ暗だ…」
辺りが真っ暗なままで、なにも進展しない。
俺は諦めてログアウトする。
「どうだったの?」
見守ってくれてた梨奈は俺に心配そうに話す。
「俺の思った通りにいかなかった。もしこのゲームが原因なら潰してしまおうとも考えてたんだけど…」
「善治は、眠る度に必ず世界を行き来する訳だよね?」
「う、うん。そうだけど?」
「じゃあさ。結局、周りから見れば善治は寝てることになってるけど善治自身は寝てることになってるの?」
…確かに。
俺は寝る度に世界を行き来して、リオティオンの世界で寝ている時はこちらの世界で起きている。そしてそれの逆を繰り返す。
その上で俺の意識と記憶は共通しているわけだから脳が休む暇もない。
でも、脳は疲れていない。
「だから、意識と記憶は共通してるけど、脳にかかる負担は変わらないんだね?」
「まぁ、そういうことになるな」
これがわかったからといって何の役に立つというのか。
「じゃあさ、じゃあさ?私も一緒にその世界に行けば…
寝ている間、なんの負担もなく二人で遊べるじゃん!」
「……うん」
梨奈はなんて愉快なんだろうか。
確かにこいつは頭良いしキレているんだけど、それの使い道がちょっとズレてるっていうか…
「なーに?嬉しくないの?」
「そんなことないよ。嬉しいよ……でも、あの世界はそんなに愉快なところじゃないと思う」
「危険だって言いたいの?大丈夫だよ。製作者様が直々に私を守ってくれるんでしょ?」
梨奈がアッチの世界に来れることはまず無いだろうが、もしも来てしまったら全力で守ってしまうだろう。
「それに、ずっと起きてれば言いわけなんだよね?じゃーあ…私と一緒に起きてよーよ」
「ありがとな」
「えへへっ。そんなお礼言われると照れちゃうじゃん」
「じゃあ取り敢えず顔洗って来…」
立ち上がった瞬間、立ちくらみが起こった。
「……おもい」
立ちくらみがなおったと思えば、ベットの上で座っていた。
俺は寝てしまっていたため、アヤメにもたれ掛かってしまったようだ。
「あ、ごめん」
俺は慌てて立ち上がる。立ちくらみが起こるか心配したが、そんなのは起きなかった。
結構時間が経ったのではないだろうか。
俺達はリビングへと向かう。
「ヨシさーん!」
ウラがヒョコッと出て来た。
「うわっ!……ビックリした…」
「…むっ?」
ウラは何やら顔をしかめて、俺の隣をみる。
それはアヤメだった。アヤメもウラを見つめる。
やがて、ススッと、アヤメは俺の背中に隠れる。
「まさか、ヨシさん…その人、彼女じゃ……」
「違うっ!」
「ひぅ!」
俺が思いのほか強く言ってしまい、ウラが怯える。
「あ、いや、違うんだ。アヤメは、ウラがパーティから離れた日に仲間になっただけなんだ」
「そ、そうでしたか!すみませんでした…!」
まだ怯えが残ってるのか、俺が喋る度にビクッと怯える。
「でも…流石です」
「何が?」
「ヨシさんはやっぱり強いです」
俺はあんまり人から強いとか言われたことがない。尊敬の言葉もそんな対して言われたこともない。
初めて言われて照れてしまう。
俺達の会話を断ち切るようにカヤエが話を持ち出す。
「それで、ウラさんはこれからどうなさるのですか」
ウラは少し戸惑ってから、答える。
「実は…皆さんに手伝って欲しいことがあるんです!」
(あ、まさか、これって…)
このセリフ、どこかで聞いたことがある。何回も聞いたことがある。
「ルフランの花を採るのを手伝ってください!!」
この言葉がスイッチとなりウラのイベントが始まった。
そのイベントの名前は…
〈悲しきルフランの守り人〉
26話、読んでくださりありがとうございます。
次話も宜しくお願いします。




