第56話 隣家と屋台支店の計画
マイマリツゥの街に戻ったアイリスたちは、屋台の成功と孤児たちの笑顔を思い返しながら、次の構想を練っていた。屋台は一時的に街の広場に設置する形だったが、これを安定させるには拠点が必要だった。
アイリスは仲間たちに話しかける。
「ねえ、家の隣を買い取って、孤児たちを住まわせる場所にしたらどうかしら」
ガルドは地図を広げながら考え込む。
「なるほど、隣が空き家なら拠点も広くなるし、孤児たちの生活も安定させられるな」
リーナも頷き、少し笑みを浮かべる。
「それなら屋台の支店も作れるわね。孤児たちに少し手伝ってもらえれば、街中に拠点が広がる形になる」
アイリスはアイテムボックスから過去の屋台の設営図や食材の整理方法を取り出し、具体的なプランを説明する。
「隣家を改装して、寝室や食堂を設ける。そして屋台の厨房設備を一角に設置すれば、孤児たちが自活できるようになる。料理や食材の管理はパーティで分担してやるわ」
ガルドは笑みを浮かべ、腕を組む。
「よし、俺たちで孤児たちの生活と屋台運営を両立させるわけだな。これは面白くなりそうだ」
リーナも楽しそうに言葉を重ねる。
「しかも、孤児たちが働くことで屋台の支店も運営できるなら、街全体に食の楽しさを広められるわ」
アイリスは仲間の反応を確認すると、購入予定の隣家を見に行くことに決めた。街の不動産屋で手続きを進め、無事に購入を完了する。家の構造は広く、孤児たちが生活するには十分なスペースがあり、屋台用の厨房も設置できそうだ。
帰宅後、パーティは早速改装の計画を練る。アイリスはアイテムボックスを駆使して、家具や調理器具、寝具を整理し、孤児たちの生活に必要な物資を配置する。
「ここにベッドを置いて、あそこを食堂に……屋台の準備もこっちの部屋でできるわね」
ガルドは収納場所や作業動線を確認しながら意見を出す。
「調理器具はこの棚にまとめて、材料はここで保管。作業しやすくなるように動線を考えると、孤児たちも安全に動けるな」
リーナは安全面に注意しながら、孤児たちの作業場を整える。
「火の扱いもここなら監督しやすいわ。怪我しないように気をつけてね」
孤児たちは最初は戸惑いながらも、次第に新しい家の中を探検し始める。小さな手で棚を確認したり、寝床の位置を決めたりしながら、家に慣れていく。
アイリスは窓の外を眺め、街の人々や冒険者が屋台を訪れる光景を思い浮かべる。孤児たちが生活しながら屋台を手伝うことで、街の活気がさらに増すことを確信した。
「これで孤児たちも安全に暮らせるし、屋台の支店も安定するわね」
ガルドは隣家の間取りを指し示しながら、厨房と作業場の配置を確認する。
「動線もこれなら効率がいい。材料の搬入も、調理も、掃除も全部スムーズだ」
リーナも笑顔を浮かべる。
「孤児たちにとっても、働くことで自信がつくわね。社会性も育つし、士気も高まる」
アイリスはアイテムボックスから食材を取り出し、厨房の設置を開始する。モツ煮込みや揚げ物の鍋を整え、孤児たちが作業に加わると、自然と笑い声や会話が生まれる。
「ここで作業すれば、迷宮での戦闘後の補給も万全ね」
ガルドは作業中の孤児たちを見守りながら、楽しそうに声をかける。
「焦らずやれば大丈夫。手伝いたい子はここで準備、料理は少しずつ教える」
リーナは子供たちに安全な作業のやり方を教え、笑顔で励ます。
「火や包丁の扱いは気をつけて。ゆっくり覚えれば大丈夫よ」
屋台の支店が形になるにつれて、街の人々も興味を持ち始める。パーティが管理する屋台と孤児たちの働きぶりは、街の活気を増し、広場は次第に賑わいを見せる。
夜、作業を終えたアイリスは窓から星空を見上げ、仲間と孤児たちの笑顔を思い浮かべる。隣家を囲って屋台支店を作る計画は成功の兆しを見せていた。孤児たちの生活の安全と、街への貢献、そしてパーティの士気向上――すべてが一つの目的に繋がっていた。
物語の幕はまだ下りない。隣家を拠点に、孤児たちを支え、屋台支店を軌道に乗せることで、アイリスたちは街マイマリツゥでの新たな挑戦と冒険を切り拓いていくのだ。




