第57話 孤児の守護と学びの場
マイマリツゥの隣家に孤児たちを住まわせ、屋台支店の準備も順調に進む中、アイリスはふと思案した。孤児たちはまだ小さく、街の喧騒や冒険者の往来で危険にさらされる可能性がある。屋台の営業や生活の管理に集中できるよう、護衛役と教師役を用意することが必要だと考えたのだ。
アイリスは仲間たちに話しかける。
「ねえ、孤児たちの安全と学びのために、護衛と教師の奴隷を買おうと思うの」
ガルドは眉をひそめるが、すぐに理解する。
「なるほどな。子供たちを守る役と、知識や技術を教える役が必要ってことか」
リーナも頷き、口を開く。
「パーティだけじゃ手が回らないものね。私たちは冒険や屋台の運営に集中できるわ」
アイリスは商業ギルドに連絡し、街の奴隷商に赴いた。店内には様々な人材が並んでいるが、今回は護衛役として戦闘経験のある元冒険者、教師役として基礎的な教育が可能な人物を選ぶ必要がある。
「こちらの護衛役は、戦闘経験豊富で孤児の安全を任せられます」
店員が紹介する男は、肩幅の広い屈強な体つきをしており、視線は真剣そのものだ。アイリスは目を見て、信頼できると直感する。
「この人なら安心ね」
続いて教師役として紹介された人物は、知識豊富で礼儀正しい青年だった。表情には落ち着きがあり、孤児たちに学ぶ楽しさを伝えられそうだ。
「学ぶ楽しさを教えてくれるなら、孤児たちも喜ぶわね」
商業ギルドで手続きを済ませ、二人は正式にパーティに加わることになった。護衛役の男はレオと共に孤児たちの安全管理を担当し、教師役の青年はリーナの指導のもと、読み書きや計算、日常生活の知識を教える。
隣家に戻ると、孤児たちは屋台支店の準備に夢中になっていた。アイリスは二人の新たな仲間を紹介する。
「皆、これから護衛役のガルト……じゃない、違う名前にするわね。護衛役のルクと、教師役のセリル。二人が君たちを守り、学びを教えてくれるの」
孤児たちは最初は戸惑いながらも、すぐに興味を示す。ルクは堂々と立ち、孤児たちに向けて簡単な挨拶をする。
「これから皆を守る。危ないことがあればすぐに助けるから安心しろ」
セリルは柔らかい笑みを浮かべ、小さな机を囲んで孤児たちに声をかける。
「これからは少しずつ色んなことを学んでいこう。楽しく学べるように手伝うからね」
孤児たちは歓声を上げ、屋台支店の片隅で簡単な仕事をしながら、ルクとセリルの指導を受け始める。ガルドとリーナも協力し、孤児たちの作業や学習の進行を見守る。
アイリスはアイテムボックスから肉や野菜を取り出し、屋台の調理を行いながら孤児たちの様子を確認する。ルクは子供たちが道に出ないように見張り、セリルは簡単な読み書きや料理の手伝いの方法を教える。
「君たち、焦らずにやれば大丈夫。失敗してもいいんだ」
セリルの声に安心した孤児たちは、次第に笑顔で作業を進める。ガルドも横で手伝いながら、少しずつ子供たちの成長を実感する。
「こうして守られながら学べる環境があれば、孤児たちも安心だな」
リーナも頷き、子供たちに優しく声をかける。
「怪我しないように気をつけてね。無理しなくていいのよ」
屋台支店は次第に形になり、孤児たちの学びと仕事の場として機能し始める。モツ煮込みや唐揚げを作る厨房では、子供たちが手伝いながら学び、隣の部屋では読み書きや算数を学ぶ声が響く。
アイリスは窓から外を見ながら、次の冒険の準備と孤児たちの生活を同時に進められる環境を整えたことを実感する。守護役と教師役が加わったことで、パーティは安心して屋台支店の運営やダンジョン攻略に集中できるようになったのだ。
夜、家の明かりが灯ると、孤児たちは眠りにつき、ルクは見回りを行い、セリルは明日の授業の準備をしている。アイリスはアイテムボックスを整理しながら、屋台支店と隣家の計画が順調に進んでいることを噛み締める。
物語の幕はまだ下りない。孤児たちを守り、学ばせ、街に笑顔を広げるため、アイリスと仲間たちの挑戦は続くのだ。




