第47話 報酬と買取金で広がる選択肢
セーフハウスでの休暇を終えたアイリスたちは、冒険者ギルドへ向かっていた。今回の目的は、先日の迷宮踏破で得た報酬と、獲得アイテムの買取金を受け取ること。
ギルドの大広間に足を踏み入れると、いつもの活気が漂っていた。新人冒険者たちが訓練を受け、書類を持った受付担当が忙しく動き回る。アイリスは小さく息をつき、仲間たちとともにカウンターへ向かった。
「こんにちは。報酬と買取金の受け取りで――」
アイリスがそう告げると、カウンターの担当者は書類を確認しながら頷いた。
「はい、登録は間違いありません。今回の迷宮踏破に対する報酬と、買取申請分を計算しますので、少々お待ちください」
アイリスたちは待合スペースに腰を下ろす。リーナが隣で手持ち無沙汰に足を組み、ガルドは床に置いたバックパックの中身を整理し始める。
「……今回もかなりの量になりそうね」
リーナが呟く。
「そうだな。アイテムボックスを使ったから、提出も簡単だった」
アイリスは静かに答える。手元の小さな箱――アイテムボックス――には、すでに整理されたアイテムが収まっている。複製も整理も彼女の手の内で完結し、仲間たちはその効率の良さに少し驚き気味だった。
やがて、担当者が計算を終えて戻ってくる。
「報酬金はこれだけです。迷宮踏破報酬に加え、買取申請されたアイテムの換金分も含まれています」
アイリスは提示された金額に目を見開く。これまでの努力がすべて反映されたかのような額だった。
「……ありがとうございます」
アイリスは深く頭を下げ、報酬と買取金を受け取る。手のひらにずっしりと重みを感じる金貨の束。
「これで、次の冒険の準備も十分ね」
リーナが微笑む。ガルドも頷き、仲間たちは自然と次の作戦を話し合い始める。
そのまま、ギルドの一角で次の装備と消耗品の購入計画を練ることにした。アイリスはアイテムボックスを操作し、必要な物資を整理しながら思案する。
「まずは消耗品と料理用の材料ね。油や調味料も忘れずに」
リーナが口を挟む。
「それから、次の迷宮では罠やギミックも多いから、道具や巻物も用意しておかないと」
ガルドが助言する。アイリスは静かに頷き、手元のアイテムボックスから必要な物を取り出しては、購入リストに目を通す。
「……全部揃えれば、迷宮でも安心して探索できる」
小さく呟く声に、仲間たちは頷きながら理解を示す。
購入の手続きを終えると、アイリスたちは街の商店街へ向かう。ここでは各種素材、食料、消耗品の補充が可能だ。
油やオイスターソース、揚げ物用の材料をしっかり揃えることで、ダンジョン内での食事作りも効率化できる。アイリスは必要な量を考え、アイテムボックスに一時的に収納する。
「これで次の迷宮探索の準備も万全ね」
リーナが笑顔を見せる。ガルドも小さく頷き、アイリスは最後にもう一度アイテムボックスを確認する。
すべてが整い、拠点に戻った四人は、テーブルに食料と装備、アイテムボックスの整理済みアイテムを並べ、次の作戦会議を開始する。
「次の迷宮は、今回よりも罠やギミックが複雑だ。油断は禁物」
アイリスが慎重に言う。仲間たちも真剣な表情で頷く。
この報酬と買取金は、単なる資金ではない。次の冒険を有利に進めるための道具でもあり、仲間たちの生活と安全を守るための保障でもあるのだ。
物語の幕はまだ下りない。報酬を手にしたことで広がる選択肢、仲間たちとの絆、そして未知の迷宮――すべてが、これからの冒険の鍵となるのだ。




