第43話 ダンジョン踏破の報酬とギルドの交渉
三日間の自由が終わり、アイリスたちは拠点のセーフハウスを後にした。
目的は、先日のダンジョン踏破の報酬と、ドロップ品の買取交渉を冒険者ギルドに届けることだった。
街の通りは賑やかで、冒険者や商人たちが行き交う。三人と新しい仲間の付与術師レオは、荷物を肩にかけながらゆったりとした足取りでギルドへ向かう。
「さて、行くか」
アイリスが仲間たちに声をかける。
「レオ、今日の任務はサポートと荷物運び。無理はすんなよ」
「はい、わかりました」
レオは杖を手に、慎重にアイリスの隣を歩く。
街の雑踏を抜け、冒険者ギルドの大扉を押すと、中は活気に満ちていた。受付の冒険者がすぐにアイリスたちに気付き、報告書と荷物の内容を確認し始める。
「……あの、今回のダンジョン踏破は、かなり深い階層まで潜ったようですね」
受付が驚きの声をあげる。
「これは……買取額も相当なものになるかと」
アイリスは淡々と荷物をテーブルに置きながら答える。
「うんうん、もちろん買取もお願いね」
「でも、全部そのまま売らせてもらうから」
荷物の中には金銀財宝、貴重な素材、そしてプレイヤー製の酒類数種類も含まれていた。
「え……この量、間違いなく踏破報酬に相当する品ですよね……?」
受付の冒険者は目を丸くする。
「もちろん間違いない。俺たちが稼いだもんだ」
アイリスは冷静に告げる。
「その代わり、支払いは即日でな」
受付は少し困惑しつつも、上階のギルドマスターに報告するために席を離れた。
「……ま、長く潜ってたんだし、多少の説明は後回しでもいいか」
ガルドが荷物を整理しながらつぶやく。
「でも、俺たち、ギルドマスターに呼ばれそうだな」
三十分ほどでギルドマスターが現れる。長身で威厳ある男だが、アイリスたちを見つけると、少し困惑した表情を浮かべる。
「……君たち、ダンジョン踏破報告書、内容を誤魔化しているんじゃないか?」
マスターは眉をひそめる。
「このドロップ量……普通のパーティではここまでの結果は出せないはずだ」
アイリスは淡々と答える。
「……ふふ、普通じゃないんだよね、俺たち」
「でも報酬と買取額は正確に計算してくれ」
ギルドマスターは少し苛立ったように溜息をつく。
「……ならば、詳細な確認は三日後にしよう」
「了解。じゃあ今日はこれで終了」
アイリスは荷物をまとめ、仲間たちに向き直る。
「三日後にまた来るけど、それまで休暇を楽しむぞ」
ギルドを出ると、街の光景が一層鮮やかに見える。
「ふぅ……やっと一段落だな」
ガルドが肩の荷を軽く叩き、笑みを浮かべる。
「でも、三日後にはまたギルドと交渉か……面倒だな」
「ま、でもそのおかげで今回の冒険も安全に回収できたんだし」
リーナは納得した表情で頷く。
「準備があるからこそ、安心して踏破できるんだよね」
「そうそう」
アイリスはにやりと笑いながら荷物を整理する。
「そして次の冒険のためにも、準備と経験値は大事ってこと」
付与術師レオも静かに頷く。回復はできないが、デバフやバフで戦闘を支援する力は確実にチームを強化するだろう。
三日間の休暇で得たもの――仲間の信頼、準備の充実、ドロップ品――すべてが、次の迷宮攻略への布石となる。
物語の幕はまだ下りない。三人と一人の新しいチームは、次の冒険に向けて力を蓄えつつ、再びギルドへ戻る日を迎えようとしていた。




