3話 親切な善人
「ということで白!レッツゴーだぞ!」
白は目を眠そうに擦りながら、ついてくる。
足元の木がボキボキと音がしながら森の中を歩いていく。
始めての事がたくさんでドキドキする。
「なぁ白、楽園って何処にあんだ?」
昨日、帰してやると言ったけど結局のところ楽園は何か分かってない、
その言葉に白は眠そうな目を開けて、首を横にふった。
「えっと……そういやお前迷子だったな!
楽園も何処か分かんないんだな。」
じゃあ……何処に行けば良いんだ…?
楽園………
「楽園ってなんだよ~!白~!」
そういうと白は呆れたような顔をしてこっちを見ている、そんな目で見ないでくれ!
まぁいい!取り敢えず今は町?を見つける事が一番だ!!
「でっ!白!町ってなんだ!?」
白の目がまたキツくなった気がする!!!酷い!
そうやってる間に目の前に森なくなっている場所がある事に気付く。
「おい白!森を抜けるぞ!」
俺は白の手を掴んで引っ張りながら走る、それに連れて白も早足になった。
そして森の木に遮られていた太陽が俺達を差していた。
「うわぁ!!!」
そこに広がっていたのか満面の白い花の花畑だった。
白い蝶達が舞っている。
「なぁ白!!なぁ!!凄いぞ!!」
その綺麗な白い花をつい触ろうとする。
けれど、触ろうとした手は、白に腕を掴まれていた。
「白?」
白は俺を押し退けて白い花に触れる。
そしてその花を引きちぎると、プツリ、と青い液体が溢れていた。
「おーい!そこの子~!新月花から離れろ~!」
「わっ!えっ!」
びっくりしてそちらを見て見ると、荷馬車に乗ったおじいさんが叫んでいた。
白の手を引っ張ろうとするが、強く引っ張っても中々テコでも動かなそうな為とりあえずおじいさんの元へ向かう。
「お前さん、迷子か?」
「いいえ!旅人です!」
豪快な笑顔を浮かべた優しそうなおじいさんだ、と思いながら俺も笑顔で答える。
元気良く返事をするとおじいさんは納得したような顔をして言った。
「こんな若い旅人なら新月花を知らなくても仕方ないか。」
そう言っておじいさんは荷車に乗り直して。
後ろを指差す。
「こんな若い旅人なら始まりの国に行くんだが、良かったらお前も乗せてくぞ。」
「いいのか!じゃあ白も連れてっていい!?」
花に視線を向けた白に指差しながら笑顔で言う。
そんな俺におじいさんは。
「白?なんかのペットか?」
おじいさんは不思議そうに言った。
俺は慌てて、白の近くに近寄り指差して言った。
流石に白も気付いたようで、怪訝そうに俺達を見ていた。
「えっと!この子が白です!」
これで多分伝わっただろうか……と思っていたのだが。
「う~んすまん、分からん。」
そう言っておじいさんは頬を掻いた。
「えっ?」
白の方を向くと、白は人差し指を立てて口元に当ていた。
まるで「しー」と言っているようだ。
「あ~……えっといや気にしないでくれ!」
おじいさんに案内され、急いで白の腕を引いて荷車に乗り込む。
そしておじいさんに聞こえない音量で白に聞いた。
「白って人から見えないのか?」
そういうと白は、こくこくと頷いた。
えっ?白って人から見えないの?
まさか……!?俺人じゃないのか!?
……でも視界あるしそれは無いな!!
「にしてもお前さん、危なっかしい奴だなぁ!」
「えっ!?そうか!?」
そう思い一人納得しているとおじいさんが後ろから話しかけてきた。
「そらそうだろう?だって気付けば新月花に触ろうとしているんだからな。
旅人なら、不用心に何でも触るのは御法度だぞ!」
「うーんその?って奴はなんだ?」
「はは!そうだな!
ちょっと待ってくれよー!」
さっき声をかけてきた時も言っていたが新月花?とは何なんだろう。
おじいさんが馬?とやらの縄を引いたら荷車が動き出す、……あの馬?って奴後で触らせてもらおう!
「あ~、新月花って言うのはな。」
そうしておじいさんは馬の縄を引きながら話始めた。
俺は白と荷車に乗りながらゆっくりと聞く。
「新月花ってのはな、見た目は白くて綺麗だが、凄く毒性の強くてな。
食べる処か、触ると触れた場所から毒がじわじわと侵食して行くんだ。
そしてそれがとても痛い。」
「えっ……痛いのは嫌いだ!」
「はは!それなら触らないが吉だな!」
そう言っておじいさんが笑った。
「それでな、元々新月花は神が作った花と言われていたんだ。」
情報メモ━━━━━━━━━━━━━━━━━
『新月花』
白い花弁を持ち蕾には人の願いを宿すと信じられている、青緑の茎と葉っぱを持ち、花の中の液体には人間には有害な高密度の魔力が詰まっている。
『自生地』
魔力濃度の高い土地
『繁殖方法』
空気中から魔力を吸い取り続け長い日々咲き続けている事は分かっているが、繁殖方法は不明
『花言葉』
「無知とは神性」、「杜撰な延命治療」、「無知は罪」
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