第17話 おやすみ、永久に
「よし、これくらいで十分だな」
インパクトエクスプロージョンをまき散らしながら出口へと歩いて行っているうちに、光が差し込んできた。
さてと…魔物討伐はしなかったがある意味、ここからが本番だな。
ここら辺でインパクトエクスプロージョンを止めにして、左手にエクスプロージョンを貯めながら外に出る。
「待ってたぜ」
「そうかい」
そこには20人くらいの盗賊団らしき奴らが待ってましたと言わんばかりに待ち構えていた。
「魔物は倒したんだろうな?」
「まぁ倒したと言えば倒したな」
「…ならお前は用済みだ、ここで死んでもらおう」
「あぁ、その前にやらないといけないことがあるんだ」
「何だと?」
「エクスプロージョン!!」
と叫びながら剣聖の洞窟に向かって放つ。
ただ出口を潰すだけならただのエクスプロージョンでいいが、今回は違う。
この墓を二度と掘れなくなるくらいになるまで爆破しないといけない。
無論、既に対策済みだ。
――ドオォォォォォンッ!!
洞窟の入り口が爆破されると同時に
――ドドドドドドドドドォォォォォォォォンッ!!
洞窟内にまき散らしておいたインパクトエクスプロージョンが反応。
連鎖爆破が発動し、地面が大きく揺れ始めるとともに轟音が鳴り響く。
「うっ!?な、何をしやがった!?」
「…」
盗賊団が俺に訳を聞いてくるが、そんなことも気にせず俺は剣聖の墓場だったものを見る。
洞窟があったはずの場所は、瓦礫やらなんやらで完全に潰れ…まるでそこには何もなかったかのようになった。
誰にも見つからず、もう目覚めることもなく、永遠の眠りを三人へ。
だが、最後の証人として…剣聖の墓場の看板に一言添えておくとしよう。
『剣聖の墓地はここにあったが、眠るモノ。永遠の眠りを欲する。
目覚めることなく愛する者たちと共にいるために冷めぬ眠りを欲した。
故に剣聖の墓地は剣聖たちの寝室となり、この世から消えた。
そしてその永遠の寝室で三人の愛は、三人の絆は斬れる者でもなく、解かせる物でもない。
まさに熱を帯びても溶けぬ黄金の愛。故に彼らは共に歩む、共に眠る。
剣聖シルバ 愛狼フラッシュ 姫君ゴルドラ・バエル』
と近くにあった木片で看板にそう刻んだ。
長ったらしいが…これくらいで十分。あとは俺が語り継げばいい。
「き、貴様…!」
盗賊団の一人が俺の胸元を掴み、叫ぶ。
「何をしたのか分かっているのか!?お前のせいで俺たちの目的が」
「金銀財宝なんてものはなかったし魔物はお前たちが起こしたんだろう?」
「な…何故それを!?」
「知ってるよ」
「だ、だが知ったところで…!」
懐からナイフを取り出し、俺に向けてくるが
「お、お頭ッ!!」
また別の盗賊団が叫びながらこちらに向かって走ってきた。
お頭…ってことは、俺を掴んでいるコイツがネームレスの長か。
「何だ!今、忙し」
「魔術監査警備局!そいつらが俺たちを囲んでる!」
「…は!?」
ありがとう、アルファ警備長…!
最高のタイミングです!
なら俺も動くか!
胸元を掴むネームレスの長の腕をこちらから握り返し
「へ」
「そぉ…ら!」
そのまま背負って地面に向かって…叩きつける!
「ごはっ!?」
「おかし」
ついでにこっちに向かってきた奴も地面にキスさせてやる!
盗賊団の後頭部を掴み、地面に突き刺す。
見事に上半身が地中に埋まった。
「むごごごごー!!」
おーおー、元気に騒いでるな。
ただ地中に埋まっているときは変に騒ぐと酸素が無くなるし、無駄な体力を使うだけだぞ。
「な、ナニモンだコイツ!?」
「ただのレギオンのガキじゃねぇのかよ!」
「どうした?何を怖気づいている、来いよ。最も俺を倒さないと後ろから魔術監査警備局が押し寄せて来るけどな!」
「くっ…!!全員でやっちまえ!」
他の盗賊団も流石の光景に怖気づく。
進行すれば俺が居て、後退すれば魔術監査警備局が居る。
そうなると必然的に俺を倒さないと逃げることはできない。
全員の視線が俺に釘付けになる…うん、流石に殺気の視線で釘付けは嫌だな。
さてと、今回は一対一ではなく一対多数。
なら…!
「『全てを反す』、『肉片一つ残さず』!」
全てを反す:グラム。
俺が持つ他の魔剣よりもやや全長が大きく、黒と白の刀身に白いオーラが纏われている。
唯一無二の特性として、このグラムはありとあらゆる魔術と物理の攻撃の衝撃を全て貯えて一気に放出するというカウンター攻撃が可能。
肉片一つ残さず:レヴァンティン。
剣の刀身に別の剣が突き刺さっているかのようにギザギザとした魔剣で、剣の隙間を見ると黒く蠢いた何かがそこにいる。
単純明快に言うなら…この剣の刀身は伸びたり、しなったりと本来の剣とは思えない動きをする。
「――フレイヤ!」
「―ザバン!」
「――フーザ!」
「とにかく打て!弓も使え!」
盗賊団は一斉に俺を目掛けて様々な魔術攻撃と物理攻撃を仕掛けてくる。
それをグラムを盾にして防ぐ。
「…」
盗賊団はグラムの特性を知らない。
だからこそ、初見殺しのカウンターの攻撃が刺さる。
「レヴァンティン!」
グラムで攻撃を受け止めつつ、レヴァンティンを振るう。
剣が伸び、鞭のようにしなり無数の刃が盗賊団に襲い掛かる。
「ぎゃぁぁぁあ!!?」
「な、何だあれ!?」
「何でもいいからとにかく打ちまくれ!」
…他の犠牲は気にしないのか。
まぁ殺しはしないがな、魔術監査警備局が捕まえてくれるだろうし。
(よし、そろそろいいだろう)
大分、ご馳走になったな。
グラムも腹いっぱいだそうで、お前たちにお礼がしたいそうだ。
レヴァンティンをしまい、グラムを握りしめる。
「ブースト、フライ!」
補助魔法『ブースト』、補助魔法『フライ』。
身体強化魔法と飛翔魔法を同時にかけて一気に空へ飛ぶ。
そして…受けた魔術と物理の衝撃を全部、刀身に宿す。
――オォォォォォ…!
白と黒のオーラが一気に放出され、オーラ自体が刃となり、そのまま構える。
狙うは俺たちに刃を向けてきた盗賊団。
「大地すら…両断してやろう!」
これが、受けてきた攻撃だ。
全部…一撃で反す!
「散れぇぇぇぇぇぇ!!」
刀身を横に薙ぎ払い、集約されたオーラが斬撃波となって盗賊団を目掛けて襲い掛かる。
放たれた斬撃波が地面に着弾したと同時に、風を巻き上げ、轟音を響かせ、大地を揺らす。
そして
――ドォォォォォンッ!!!
「うぉぉぉぉ!?!?!」
「があぁぁ!?!」
大爆発。
斬撃波のオーラ自体に受けたダメージが全部、蓄積されている。
あれだけの量の攻撃を一気に放出するのなら、山なんて軽々しく砕けるだろう。
最も、標的にしたのが山ではなく盗賊団だがな。
山より硬ければ、無事で済むと思うぞ。
「…」
下へと降りて行き、地面に足を付ける。
これで終わりか?
「ありがとう、マガツ君。それと素晴らしい一撃だった」
「アルファ警備長。こちらもベストタイミングで援護に来てくれたので助かりました」
アルファ警備長が俺の元に賞賛しながら歩み寄ってきた。
無論、俺も賞賛する。ベストタイミングの援護に感謝を。
「それで…剣聖の墓場はどうなったんだ?」
「剣聖の墓場の中にいた魔物は、宝物を奪われ、怒りで現世によみがえった『剣聖シルバ』でした」
「剣聖シルバ…!」
「ゴルドラ姫様から頂いた黄金のペンダントを盗まれ、それで目覚めたという事です」
「なるほどな…伝記にも記されている通りゴルドラ姫様を溺愛していたからこその目覚めだったのだな」
まぁ…伝記関係なしにあそこまでの熱愛っぷりを見せられちゃね。
「それで剣聖シルバと愛狼フラッシュとも一戦を交えて、討伐ではなく和解という形で決着が付きました」
「た、戦ったのか?あの二人と」
「はい…正直、言うならもう二度と戦いたくないです」
「そ、相当の激戦だったようだな…」
あの戦いを思い出す。
弱点ナシ、隙ナシ、攻撃ムリ…あの二人のコンビネーションは本当にすさまじかったし、めっちゃ強かった。
もうね、戦いたくない。
勝てるビジョンが浮かばねぇ…!
「それで、剣聖シルバは二度と目覚めたくない、ゴルドラ姫様と愛狼フラッシュと永久に眠っていたいと言っていましたので完全に埋葬しました。あとは最後の証人として『中に金銀財宝なんてなかった』と墓を暴く理由を消せば終わりです」
「完璧だマガツ君。あの三人の事も考え、ベストな行動をしてくれた。警備長として感謝するぞ」
「…大丈夫です、それよりもネームレスの長がここに」
といって先程、背負い投げしたネームレスの長を明け渡そうとしたが
「…は!!?」
そこには地面に突き刺さった男以外の姿が無かった。
どこ行きやがった!!
「サーチ!」
何処だ…どこにいる…!
…見つけた!ローダムの方を目指して走って逃げてる。
というか早い!
「マガツ君、どうした?」
「長が逃げてます!ローダムの方を目指して!」
「何だって!?」
「俺が追いかけます!」
「…わかった、残りのネームレスの連中はこちらで対処しよう。くれぐれも気を付けてくれ」
「はい!」
「…む?」
そう言い残して俺はネームレスの長を追いかけようとしたが
「待て、マガツ君」
「何ですか!?」
急にアルファ警備長が俺を止める。
こんな時に何故!?
「その剣、何故光っている?」
「え?」
アルファ警備長の指摘。
それは、俺が剣聖シルバから譲り受け、愛狼フラッシュの加護が宿った『聖剣』。
それが緑色にトクントクンと心臓の鼓動のように光ったり消えたりしている。
俺もよく分からないまま、その聖剣を鞘から抜く。
「それは…?」
「剣聖シルバとの戦いののち譲り受けたものです。けど…何でそれが今」
次の瞬間
――パァァァッ!!
「くっ…!?」
「何!?」
柄から緑色の光が一気に溢れ出す。
やがて、その光の粒子は一か所に集まっていき形を生成していく。
爪、足、胴、尻尾…そして牙。
完全な姿を作り出し…
『アオォォォォォォォンッ!!』
巨大な魔狼となり、顕現した。
「ふ、フラッシュ…!?」
何処からどう見ても剣聖シルバの愛狼フラッシュ。
だが、一回り小さいが…ほんのちょっぴりだけ小さいだけだ。
何でこの聖剣から?と疑問に思ったが、先程の事を思い出した。
フラッシュはシルバから譲り受けた聖剣に何らかの加護を与えた。
その加護っていうのが、これか!
『フラッシュと似ている魔狼を召喚する』それが加護の正体か。
「お、おぉ…魔狼だが、まるで幽霊のような見た目だ」
「…フラッシュ?」
一度、確認のため剣聖シルバが名付けた名を呼ぶ。
…返事はないってことは、この魔狼はフラッシュとはまた別物。
ってそんな確認してる場合じゃない!
「ごめんなさい!とにかく長は俺が追います!」
「わかった、頼むぞ」
とアルファ警備長が俺に言った瞬間
『オウッ』
「へ?」
「は?」
召喚した魔狼が俺の服の襟に噛みつき
『オウッ!』
「うぉぉぉ!?!」
俺を上に投げ飛ばすと同時に、魔狼は俺の身体を空中で受け止め、背中に乗せた。
行動の意味が分からなかったが、召喚された魔狼の毛に触れた瞬間
『アォォンッ!』
「!!」
理解した。
今、この魔狼は俺を助けようとしてくれていて、俺の考えにも気が付いている!
「…わかった、頼むぞ!」
『ワアオォォォォンッ!!』
そう呼び掛けると魔狼は遠吠えを上げて、俺の考え通りにローダムへと逃げているネームレスを追いかけ始めた。
「うぉぉぉぉ!!?は、早あぁぁぁぁ!!?」
魔狼と共に風を切り、大地をかける。
この光景こそ、剣聖シルバが見て居た景色なのだが…こんなスピードで走り回っていたのか。
えぇい!剣聖シルバは化け物か!
下手に身を乗り出したら首を風圧で持ってかれそうだ…!
「くっ…!」
けど…ネームレスの長を捕まえないといけないんだ。
こんなところでへこたれてたまるか。
きちんと魔狼に捕まれ、標的を見失うな。
絶対に逃がすな…!
(依頼もそうだけど、剣聖シルバたちの為にも!)
誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします
感想も待っていますので気軽にどうぞ!
超絶不定期更新ですがご了承ください…




