ただいま
ご飯をたくさん食べたあとの授業は眠かった。あくびを何回もしては壁に掛けられている時計を眺め溜め息をついた。
そして、長かった授業も終わった。
「やった~終わった~」
わたしは立ち上がり思わずバンザイをしてしまった。
「満里奈ちゃんってば授業が終わったのがそんなに嬉しいの?」
隣の席の椿ちゃんがわたしを見上げクスクスと笑った。
「あはは、だって、授業を久しぶりに受けたら眠くなってしまって辛かったんだもん」
わたしは、頭をぽりぽり掻きながら言った。
「確かに久しぶりだとより眠くなってしまうかもね」
「でしょ。さあ、帰ろう」
わたしは言いながら鞄に今日もらった新しい教科書を詰めた。
「わたしは部活に行くね」
「椿ちゃんは部活に入っているんだね」
「うん、イラスト部に入っているよ~満里奈ちゃんも余裕があれば部活に入るといいよ」
「うん、そうだね。ゆっくり考えるね。椿ちゃん部活動頑張ってね」
わたしは、鞄を肩にかけながら言った。
「うん、ありがとう頑張るね。満里奈ちゃんまた、明日ね」
「うん、また、明日~椿ちゃん」
わたしは、手を振り教室を出た。
今日一日頑張ったなとわたしは大きく伸びをした。このもふもふ学校ではなんとかやっていけそうかな。そう思うと嬉しくて頬がゆるゆると緩んだ。
「ただいま~」
わたしは元気よくカフェの扉を開ける。
「おかえりにゃ~ん」
ミケにゃんが振り返り言った。
「ただいま~ミケにゃんちゃん。もう帰っていたんだね」
見るとミケにゃんはオレンジジュースをストローで飲んでいた。
「うん、ミケにゃんは小さな一年生だから早く授業が終わるんだにゃん」
「そうなんだね~あ、そう言えばケン君は帰っている?」
「うん、さっき帰って来たよ。部屋に行っちゃったみたいだにゃん」
「そっか~」
ケンの奴はいつの間にか帰っていたんだと思っていると、
「満里奈ちゃんおかえりなさいにゃん」とシロッコが奥の部屋から出てきた。
「ただいま~シロッコちゃん」
わたしは元気よく挨拶をした。
「学校はどうだった? 楽しかったかな?」
シロッコはテーブルにバターの甘い香りがふわりと漂うクッキーと紅茶を並べながら言った。
「うん、友達もできたし楽しかったよ。あ、クッキー美味しそうだね」
「バターがたっぷりだから美味しいと思うにゃん。わっ、友達ができたんだね良かったね」
「うん、わたしと同じ人間の女の子やもふもふな猫ちゃんとも仲良くなれたよ」
「わっ、めちゃくちゃ美味しそうだにゃん」
わたしとシロッコが話をしていると、ミケにゃんが、「美味しそうだにゃん」と言って肉球のある可愛らしい手をにょきにょきとクッキーに伸ばし、そしてぱくっと食べた。
「満里奈ちゃんも食べてね」
「うん、ありがとうシロッコちゃん」
わたしもバターの甘い香りがふわふわと漂うクッキーに手を伸ばし口に運び食べた。
「う~ん、美味しいよ」
バタークッキーはそれはもう濃厚なバターの香りが口の中に広がり幸せな気持ちになった。
一方ミケにゃんはバタークッキーをパクパクと食べ美味しそうな笑顔を浮かべた。口の周りはクッキーの食べかすがくっついている。いつものミケにゃんだ。
「友達ができて良かったね」
「うん、良かったよ。明日も学校に行くのが楽しみだよ」
こんな気持ちになれたのは久しぶりだ。今までのわたしは学校に行きたくなくて休む理由を考えたりしていたのだから。
もふもふ学校は逆に早く明日になり登校したいくらいなのだ。わたしは、うふふと笑みを浮かべバタークッキーを食べた。口の中はバターの優しい香りが広がった。




