椿ちゃん
わたしの隣の席は丸顔にくりんとした目の女の子だ。
「満里奈ちゃん、よろしくね。わたしは元井 椿だよ」
椿ちゃんはくりんとした大きな目でわたしの顔を見た。
「うん、よろしくね椿ちゃん」
わたしはにっこりと笑みを浮かべた。隣の席が椿ちゃんで良かったなと思った。
「満里奈ちゃんも地球からこのもふもふパラダイスにやって来たんだよね?」
「うん、気がついたらもふもふパラダイスに倒れていたよ。椿ちゃんもかな?」
「うん、シロッコちゃんって言う名前の可愛い白猫ちゃんが突然目の前に現れて我らと楽しいもふもふライフを送るかにゃんて言われてそしたら」
と椿ちゃんが言ったところでわたしは「えっ!? シロッコちゃんに言われたの~」と思わず大声で叫んでしまった。
すると、クラスメイトが一斉にこちらに振り返り、わたしの顔をじっと見た。ああ、またやってしまった。わたしは「あはは」と笑い頭を掻いた。
「満里奈ちゃん、ホームルームを始めるから静かにしてね」
ワンコロ先生が笑いながら言った。
「はい、すみません。気をつけます」
わたしはぺこぺこと頭を下げた。
「あ、そうだ。満里奈ちゃんとケン君に教科書を渡していなかったですね」
ワンコロ先生はそう言ってわたしとケンに教科書を配ってくれた。その教科書には十年生と書かれていて、なんだか新鮮な気持ちになった。
それからワンコロ先生は出席を取り「今日も楽しく勉強をしましょう」と言った。
わたしは「は~い」と大きな声で返事をしてしまった。みんながわたしの顔を見たけれどまあいっかな。
「満里奈ちゃんって楽しい子だね」
椿ちゃんはニコニコと笑っていた。
授業は元の世界とさほど変わらなかった。違いと言えば先生が全員もふもふな動物だったところぐらいかな。
わたしはもふもふな先生が可愛らしくて黒板よりも思わず先生をじっと眺めてしまった。
なんて可愛らしい授業なんだろうかとニコニコと笑っていると先生が、「満里奈ちゃん授業に集中してください」と言ってわたしの顔をじっと見た。
その先生はもふもふなうさぎだった。丸い大きな目があまりにも可愛らしくてわたしはうっとりしてしまった。
ああ、注意されたのにもかかわらず幸せすぎるではないか。やっぱりもふもふパラダイスは幸せな世界だね。
そんな授業が終わるとわたしの周りにもふもふな動物や人間が集まってきた。
「満里奈ちゃん、地球って世界からもふもふパラダイスにやって来たんだにゃん」
シロッコを小さくしたような真っ白な猫が言った。
「うん、地球からこの世界にやって来ました」
わたしはにっこりと笑い答えた。
「そっか、やっぱり人間は地球からやって来るんだね」
もふもふ感がたっぷりなポメラニアンと思われる犬がうんうんと頷いている。
「そうみたいだね」
わたしは隣の席に座っている椿ちゃんに視線を向けた。椿ちゃんもこちらを見ていて「そうだよ」と答えた。
「この世界は素敵な場所だからきっと、居心地が良いと思うにゃん。あ、わたしはシロッピだにゃん」
シロッピはそう言って柔らかい笑顔を浮かべた。
「うん、シロッピちゃんわたしこの世界が好きだよ」
わたしも満面の笑みを浮かべた。
きっと、この世界で楽しくこれからも生活していけるはずだ。わたしはクラスメイトの顔を眺めそう思ったのだ。




