十年生の教室
わたしと同じ歳のもふもふな動物や人間の生徒がこの教室の中にいるのだと思うとドキドキする。
友達になってくれるかな? 満里奈ちゃんは変わっているから友達になりたくないなんて言われないかな?
わたしは『十年生の教室』と書かれている室内札を眺めながらいろいろ考えた。
「さあ、授業風景を見てみましょうかにゃん」
言いながらマッシロ先生は教室の後ろのドアをそっと開け音を立てないように教室の中に入る。わたし達もその後に続きそろりと教室に入った。
すると、もふもふな可愛らしい姿の犬の先生が黒板にチョークで板書をしていた。
やっぱり先生ももふもふな動物だった。
生徒達はもふもふな猫、犬、うさぎ、コアラ、たぬき、きつねなどそれはもう様々な動物達が授業を受けているのだった。
ここまでは小さい一年生の教室と変わらない。
動物以外に人間の生徒ももちろんいるのだけど、小さな一年生の教室よりたくさんの人間の生徒がいた。
いかにも高校生らしい人間の生徒もいるし、高校生には見えないド派手な生徒や大人びた生徒や逆に子供に見える生徒とそれはもう様々だった。
このもふもふパラダイスには人間がたくさんいるものだなと思いびっくりする。
みんな地球からこの異世界にやって来たのかなと思うと不思議な気持ちになった。
でも、同じ人間の仲間がたくさんいるって心強いなと思う。この学校で頑張ってみようかな。
わたしの心は決まった。このもふもふ学校に通うぞ。
それからわたしとケンは校長室に行った。マッシロ先生がわたし達のことを紹介してくれた。 その校長先生も真っ白なお髭を生やしたもふもふな猫だったのだ。
「校長先生可愛いですね」とわたしは思わず言ってしまった。だって、もふもふふわふわしたその口髭を触りたくなってしまったのだから。
「元気な女の子だねにゃん」
校長先生はガハハにゃんと口を大きく開けて笑った。
「だって、お髭が可愛らしくてキュートだなって思ってしまいました」
あ、いけないわたしは久しぶりに空気の読めない満里奈ちゃんになってしまったかなと焦る。
「あはは良いぞにゃん元気なお嬢さんで何よりだにゃん」
校長先生は豪快に笑った。
「わたしの取り柄は元気なところです」
わたしはそう言ってにんまりと笑った。
「そうなんだね。それで、満里奈ちゃん君は我がもふもふ学校に入学するかね?」
校長先生のぱっちりした大きな目がわたしをじっと見て言った。
「はい、わたし、川本満里奈はもふもふ学校に
入学します」
わたしは思わず即答してしまったのだ。
「それは良かったにゃん、我らのもふもふ学校へようこそだにゃん!」と言って校長先生は肉球のある可愛らしい両手を大きく開いた。
そして、わたしの隣に座るケンをちらりと見て「君も我らのもふもふ学校に入学するかね?」
校長先生はケンの顔をまっすぐ眺めた。
ケンに視線を向けると重厚感のあるテーブルに目を落とし黙っている。
そして、顔を上げたケンは、
「俺ももふもふ学校に入学します」と言った。
「わっ、ケンもわたしと一緒にもふもふ学校に通うんだね」
「満里奈ちゃんと通うなんて言ってないけどね」
ケンは嫌そうな顔でそう言うけれど、それでもわたしは嬉しいのだ。
「みんなで仲良くもふもふ学校に通おうよ」
わたしはにっこりと微笑みを浮かべた。
「は~いにゃん! みんなでもふもふ学校に通おうにゃ~ん!」
ケンの代わりにミケにゃんがその可愛らしい肉球のある手を挙げた。
「うん、みんなで楽しい学園生活だね~」
「うん、みんな仲良く楽しく学校に通い美味しいご飯を食堂で食べるのだにゃん」
「……ミケにゃんちゃん」
「ん? 満里奈ちゃんどうしたのにゃん?」
「お勉強じゃなくてご飯なの?」
「うん、だって、もふもふ学校のご飯は美味しいって評判だもんにゃん」
「……そうなんだね」
「ミケにゃんちゃん、食堂の料理を褒めてくれるのは嬉しいけどちゃんとお勉強もするんだぞにゃん」
校長室先生はちょっと呆れたように笑う。
「にゃはは。はいにゃん」
ミケにゃんはなぜだか照れたように笑った。いつものパターンだ。
「では、満里奈ちゃんケン君ようこそだにゃん。入学手続きをして我が学園に通いお勉強をするのだにゃん」
校長室先生は満面の笑みを浮かべた。
わたしは可愛らしいもふもふな動物達と机を並べられると思うと嬉しくてたまらなかった。
それから地球からやって来た人間の同級生とも仲良くできるといいな。
満里奈とケンももふもふ学校の生徒になりました(=^・^=)




